まずはこちらの話題から。。。

台湾総統選関係

台湾総統に蔡氏再選 最多得票で圧勝、香港問題追い風  :日本経済新聞

【台北=伊原健作】台湾の総統・立法委員(国会議員に相当)選挙が11日投開票され、対中強硬路線をとる与党・民主進歩党(民進党)の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統(63)が再選を決めた。香港の政情混乱を追い風に過去最多の得票で、対中融和派の最大野党、国民党の韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長(62)らに圧勝した。

中央選挙委員会の午後9時半(日本時間同10時半)ごろの集計では、蔡氏の得票率は約57%と韓氏を約20ポイントの大差でリード。得票数は800万超に達し、1996年以降の直接総統選で最多となった。

蔡氏は11日夜に勝利宣言し「台湾は民主的で自由な生活を守る意志を明確に示した」と述べた。これに先立ち韓氏は蔡氏に「電話で祝意を伝えた」と述べ、敗北を認めた。
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最大の争点は中国との距離だった。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2019年1月、台湾を香港と同じく(高度な自治を認めるという)「一国二制度」で統一する方針を明言。6月からは香港の政情混乱が深まり、台湾に「香港の二の舞いを避けたい」との警戒感が高まった。
台湾総統選関係となります。結果については予想通りというか、対抗馬の名前が悪いことが原因などもありますが、既定路線ともいえますし、特に取り上げる必要もないと思います。外務大臣の談話を紹介します。

台湾総統選挙の結果について(外務大臣談話) | 外務省

1 1月11日,台湾の総統選挙において蔡英文(さい・えいぶん)氏が再選されました。民主的な選挙の円滑な実施と同氏の再選に祝意を表します。

2 台湾は我が国にとって,基本的な価値観を共有し,緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり,大切な友人です。政府としては,台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ,日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えです。

3 台湾をめぐる問題については,当事者間の直接の対話により平和的に解決されること,また地域の平和と安定に寄与することを期待します。
台湾を巡る問題については、「当事者間の直接の対話により平和的に解決されること,また地域の平和と安定に寄与すること」の通りなのですが、日本としては「日台間の協力と交流の更なる深化」を図っていくということに尽きます。

あとはアメリカの動向も重要となります。
【台湾・総統選】米、安全保障連携の行方を注視 中国の選挙干渉も警戒 - 産経ニュース

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は台湾総統選で現職の蔡英文氏が再選されたことに関し、蔡政権下で進められてきた、中国の覇権拡大をにらんだ米台による安全保障連携の強化を引き続き推進できるとして歓迎しているのは確実だ。
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 米政権は昨年8月、台湾に対して「武力統一」をちらつかせて軍事的圧力をかける中国に対抗するため、台湾が切望していたF16V戦闘機66機の売却を正式決定したほか、7月にはM1A2Tエイブラムス戦車108両や、携帯型地対空ミサイル「スティンガー」250発の売却も決めた。

 18年3月には米台の閣僚や政府高官の相互訪問の活発化を目的とした「台湾旅行法」が成立するなど、米国では政権と議会の超党派で台湾支援の機運が強まっている。それだけに、蔡氏の再選は米政権にとり、中国に対抗する形で自由世界の糾合を図るインド太平洋戦略の結実に向けた追い風材料になったといえる。
重要なのは、「米台による安全保障連携の強化」と、「インド太平洋戦略の結実」の2点となります。それ以外の要素はありませんのでくれぐれも注意してくださいね。恐らく、一部の連中がノイズを大量に発信することが予想されますのでwww

日本の外交戦略を見る上では、外務省関係の資料を見るのが一番です。

自由で開かれたインド太平洋 | 外務省

外交青書 2019 | 目次 | 外務省

日台関係は以下となっております。
ウ 日台関係
台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーであり、大切な友人である。日本と台湾との関係は、1972年の日中共同声明に従い、非政府間の実務関係として維持されている。11月には、日本側の民間窓口機関である日本台湾交流協会と台湾側の民間窓口機関である台湾日本関係協会との間で5本の協力文書が作成され、また、12月には第3回となる海洋協力対話を開催して2本の協力覚書が作成された。

一方、東日本大震災後に台湾が日本産食品に課している輸入規制は依然として解除されておらず、日本側は科学的根拠に基づき、その撤廃・緩和を繰り返し強く求めている。
日本産食品に課している輸入規制の問題もそうだし、日台関係を今後もっとよくするためにも、こういった取り組みも重要になってくると思います。台湾の事情としても中国との関係も重要になってくるし、「当事者間の直接の対話により平和的に解決されること,また地域の平和と安定に寄与すること」に期待したいと思っております。

ウクライナ航空機墜落の件

イラン政府、ウクライナ航空機を「人的ミス」で撃墜と認める - BBCニュース

イラン政府は11日午前、首都テヘランで8日に墜落したウクライナ航空PS752便について、「人的ミス」によって「意図せず」して撃墜したことを認めた。墜落では乗客乗員176人全員が死亡した。8日未明にはイラン革命防衛隊が司令官殺害の報復としてイラク国内2カ所の米軍基地に多数の弾道ミサイルを発射していた。

イラン国営テレビはイラン軍の声明を読み上げ、ウクライナ航空機を誤ってミサイルで撃墜したと明らかにした。革命防衛隊の「機密上重要な軍施設」の近くを旅客機が飛行したため、「敵性標的」と誤認したという。

米軍との緊張関係が高まる中でイラン軍は「最高レベルの臨戦態勢」にあり、「そのような状況で、人的ミスのため、そして意図しない形で、旅客機を撃墜してしまった」と説明した。

軍は旅客機撃墜について謝罪し、将来的にこのような「ミス」を防ぐために防衛システムを刷新すると述べた。さらに、責任の所在を明確にし、責任者を訴追する方針を示した。

イランのハッサン・ロウハニ大統領はツイッターで、「軍の内部調査の結果、残念ながら、人的ミスによるミサイル射撃がウクライナ機の恐ろしい墜落と176人の罪のない人たちの死亡の原因となってしまった。このひどい悲劇と許されない過ちについて、(責任者を)特定し訴追するため、調査を継続する」と書いた。

イランのジャヴァド・ザリフ外相はツイッターで、被害者の遺族に謝罪し弔意を示しつつ、責任の一端はアメリカにあると批判。「アメリカの冒険主義が引き起こした危機の時に、人的ミスが起きて、この悲惨な事態につながった」と書いた。
先日のウクライナ機墜落の件ですが、墜落した理由として、革命防衛隊の「機密上重要な軍施設」の近くを旅客機が飛行したことによる人為的ミスが原因であることを発表し、ロウハニ大統領も責任者を特定し訴追するとコメントを残しております。ある程度、踏み込めるのであれば、革命防衛隊の問題解決に少しは進むと思います。

安倍首相とロウハニ大統領は先月も会談しており、結構長い時間会談していることからも、意思疎通は出来ており、信用できる人物といったところでしょう。
日・イラン首脳会談 令和元年12月20日 | 外務省

 12月20日,安倍晋三内閣総理大臣は,訪日中のローハニ・イラン大統領と日イラン首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです(少人数会合:18時00分から約80分間,拡大会合:19時30分から約50分間,ワーキングディナー:20時30分から約50分間)。
その点からも、今回の件はロウハニ大統領にかかっておりますし、決して失脚はさせてはいけない人物であるのは確かです。それだけの重要人物であると認識していただければと思います。

因みにジャヴァド・ザリフ外相ですが、少し注意が必要かもです。

モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ - Wikipedia

カリフォルニア州のサンフランシスコ州立大学を卒業してるのはさておき、ロウハニ大統領もこの人が失脚しそうなときに止めてるのもあるので、バランサー的な役割もあるかもなので、どっち側の人物とまでは何とも言えませんがね。

あとは以下の動きも重要です。
日・カナダ首脳電話会談 令和2年1月11日 | 外務省

1 冒頭,安倍総理大臣から,今回のイランでのウクライナ航空機の墜落により,多数のカナダ人の命が失われたことに対し,亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに,御遺族に対して心からの哀悼の意を表しました。これに対し,トルドー首相から謝意の表明と現状説明がありました。

2 両首脳は,中東情勢等につき意見交換を行い,地域の緊張緩和及び情勢の安定化に向けて引き続き協力していくことで一致しました。

カナダの首脳と電話会談をしておりますが、今回の墜落の件と、中東情勢に関する意見交換を行い、地域の緊張緩和及び情勢の安定化に向けて協力することを一致したことからも、今回の墜落の件による外交問題化を避ける動きになると思われます。当然、イラン側の責任を果たす必要はありますし、中東情勢の悪化を避けるためにも、国際社会が協力して問題に取り組む姿勢が重要と思います。

トランプ大統領からの親書について

米大統領、金正恩氏に直接親書 北朝鮮、対話再開は応じず | 共同通信

 【北京共同】北朝鮮の金桂冠外務省顧問は11日、談話を発表し、トランプ米大統領が8日の金正恩朝鮮労働党委員長の誕生日を祝う親書を直接送ってきたと明らかにした。両首脳の関係は良好だとする一方、米側が北朝鮮の要求を全面的に受け入れない限り、対話再開に応じないと強調した。朝鮮中央通信が伝えた。

 金正恩氏は昨年末の党中央委員会総会で、米国が制裁などの敵視政策を続けていると非難し、核戦力増強を進める方針を表明した。トランプ氏との関係は維持しながら、譲歩を迫る構えだ。
親書の具体的な内容は分かりませんが、このような親書ではないことだけは確かだと思われますwww

言えることとして、現状維持といったところに尽きます。イラン情勢のタイミングでの親書で、両首脳の関係は良好というメッセージを発していることからも、現段階における北朝鮮に対する優先順位自体はそこまで高くはないことだけは確かだと思います。というか、国の構造としては、イランと北朝鮮は似てるしね。

イランの問題を解決すれば、北朝鮮もアメリカとの対話に応じざるを得なくなりますので、今の路線で着実に進めることが、北朝鮮問題の解決の道筋であるとも言えることは確かなんだと思います。