シャープの行方
本日の余命更新情報です。
471 雪印事件
472 文化庁②とアイヌ問題
今日はシャープの件です。過去ログについては以下の通り。
鴻海精密工業|ぱよぱよ日記
シャープと鴻海精密工業|ぱよぱよ日記
シャープと鴻海精密工業2|ぱよぱよ日記
深田萌絵氏のHPの記事を紹介します。
シャープ記事 削除された分の再生
シャープ記事 削除された分の再生2
シャープ記事 削除された分の再生3
株式市場今後の技術トレンドと東芝(1)
株式市場今後の技術トレンドと東芝(2)
株式市場今後の技術トレンドと東芝3
株式市場今後の技術トレンドと東芝4
まずは毎日新聞のこちらの記事から。
毎日新聞の記事になりますが、鴻海傘下で再建を図る方針を固めたようです。因みに鴻海は台湾企業というより、中共の企業という位置付けなのでこの点は間違えてはいけません。他のソースでも同様の報道があれば、ある程度の信用は出来ますが、毎日新聞単独の記事ということもあって、飛ばしの可能性も考えられます。個人的に気になるのは以下の内容です。「すでにシャープに対し、1000億円を預けたという」なのですが、取締役会を通さない状態でどのようにして1000億円を預けたのだろうか??他のソースで契約不履行の場合、違約金として1000億円を預けるといった報道があったので、この1000億であれば話は成立すると思いますが、そもそも取締役会で決議を取らない限りは契約の締結は出来ず、1000億を預かる意味というのが少し気になります。
日経の記事も参考程度に。会員登録は必要ですが、月10本までは無料で見れます。
シャープの経営危機の元凶は、町田勝彦社長時代に企業体力と投資時期を弁えない液晶への過剰投資という選択と集中という戦略を取ったことに尽きます。選択と集中の戦略というのも、液晶と太陽光というコモディティへの選択と集中が思い切り裏目に出たと思います。その戦略そのものが罠であった可能性も否定は出来ないのも事実です。先端ディスプレイ技術の流出についても、技術トレンドはシャープの先を行っている可能性は否定はしませんが、シャープの今まで培った技術については別の話であって、エア投資であっても、6500億の投資という空気を作り出すだけの価値があるわけで、それだけシャープという企業に価値があるからこそ、買収したいと思ってるわけです。鴻海としても、Apple社との取引が減ることが明白な状況だからこそ、買収に焦ってるという図式と思うけどね。
読売新聞の記事です。
読売新聞の記事の方が信頼性は高いと思いますが、毎日新聞の1000億というのは、このことを意味すると思われます。一番気になるのは、6500億円の調達ルートとなります。
馬政権とホンハイが癒着のインチキ融資によって、2014年第3四半期までの累計負債は1.3兆台湾ドル(日本円で4兆円くらい)となっており、台湾の銀行からの融資は出来ないようで、実際に資金に余裕があるわけではありません。
鴻海の現金残高。6400億台湾ドル(2兆円)程度です。
http://www.cnyes.com/twstock/bs/2317.htm
売上13兆円で利益2.7%の会社は月々の支払い1兆円くらいはあるわけで、鴻海の手元には2か月分の資金繰りのお金しかないということになります。これで7000億も出せるかと言われたら出せないわけで、どのようにして資金を作るかが重要になります。
鴻海は馬政権時に好き勝手やってたわけですが、選挙で国民党から民進党に政権が変わることで、鴻海への締め付けが厳しくなる可能性もあります。元々、鴻海は中国共産党と連携して、低コストで従業員を利用することで成長してきた企業なわけで、低水準の人件費でないと、企業の存続が難しい体質なわけです。現金残高も2兆円で数ヶ月程度の資金繰りのお金しかないようで、シャープの買収に資金を投じるほどの余裕があるとは思えないわけで、そうなると資金源は日本の銀行から借り入れを行わないといけないわけです。そういう事情もあるので、ソフトバンクに太陽光の名目で支援要請してる一面もあるわけで、また、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の人民元建て社債の引き受けあたりもこの件に関連する可能性もあります。
以下の記事も参考になるかと。
ここで重要なのは、実質的な対立の構図は、シャープのプロパー系と金融機関系といった構図となるわけです。誤解しないで欲しいのが、シャープのプロパー系の取締役が保身のために鴻海案に乗るのではなく、産業革新機構案の場合、銀行側が金融支援を求められるため、銀行側は一部債権の放棄を求められていることです。それを嫌って鴻海案に乗っかりたいといった事情もあるわけで、役員の保身ではなく金融機関系の意向と見ていい。金融機関は日銀から補完当座預金制度による適用利率でノーリスクで0.1%のお小遣いを貰ってるわけで、かなり心証が悪い一面もあります。
当然、産業革新機構案を選択する場合は、取締役が責任を負うことになるわけですが、それも踏まえて産業革新機構案を支持しているわけで、これのどこが保身なんだかと言いたい。どっちにしてもある程度の痛みは避けられないのは事実ですが、産業革新機構案の方が雇用への影響は低いのは事実で、シャープ本体の従業員だけの観点で考えてはいけないし、下請けなども含めた関連企業などの雇用なども考えないというのも事実と思います。
そういう意味では、先ほどの毎日新聞の記事というのは、銀行の焦りと読むことも出来るわけで、鴻海支援を既成事実化したいためにリークした内容の可能性が高いわけで、実態としては機構案を選択する可能性が高いという裏付けとも言えなくもない。鴻海案を支持している一部の取締役については『善管注意義務違反』の可能性も出てくるため、決議についても、機構側の案が有利な可能性も出てきます。シャープにしても、鴻海の事情は知ってると思いますので、案以前の問題を抱えているというのも、恐らく把握しているでしょう。
これらの事情も踏まえて、シャープの取締役会でどのような結論を下すのか。鴻海か産業革新機構か、どちらを選ぶかは明日議論され、早ければ同日、正式決定されるようです。恐らく、揉めると思いますので、25日に結論が出ると踏んでいます。
471 雪印事件
472 文化庁②とアイヌ問題
今日はシャープの件です。過去ログについては以下の通り。
鴻海精密工業|ぱよぱよ日記
シャープと鴻海精密工業|ぱよぱよ日記
シャープと鴻海精密工業2|ぱよぱよ日記
深田萌絵氏のHPの記事を紹介します。
シャープ記事 削除された分の再生
シャープ記事 削除された分の再生2
シャープ記事 削除された分の再生3
株式市場今後の技術トレンドと東芝(1)
株式市場今後の技術トレンドと東芝(2)
株式市場今後の技術トレンドと東芝3
株式市場今後の技術トレンドと東芝4
まずは毎日新聞のこちらの記事から。
「鴻海精密工業傘下での再建」方針固める
経営再建中のシャープは22日、電子機器受託製造大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの出資を受け入れ、同社傘下で再建を図る方針を固めた。24日の定例取締役会で議論し、早ければ同日にも正式に決定する。日本の電機大手が外資系企業からの買収によって、再建を図るケースは初めてとなる。シャープ本体への出資など支援総額は6600億円規模になる見通しだ。
関係者によると、鴻海はシャープ支援に関する契約内容を守ることを証明するための保証金として、すでにシャープに対し、1000億円を預けたという。シャープは鴻海案に軸足を置いて検討を進める一方で、官民ファンドの産業革新機構による支援案についても検討したが、今後の成長に向けた投資総額などで、鴻海案の方が再生の可能性が高いとの判断に傾いた。
主力取引銀行も鴻海案を軸にシャープとの最終協議に入っており、主力行の幹部の一人は22日夜、毎日新聞の取材に対し「もし革新機構の案になれば我々(銀行)は手を引く」と述べた。
鴻海案は、シャープへの出資や今後の成長資金などに総額5000億円を投じるほか、主力行などが持つ優先株2250億円分の約半分の1000億円分について額面通りで買い取る。太陽電池以外は事業を売却せず、「シャープ」ブランドも継続。若手を中心に社員の雇用も維持する方向で調整している。
鴻海は米アップルからスマートフォンの組み立てを受託。だが、液晶については自社グループの製品は納入できておらず、シャープなどから購入して組み立てている。鴻海は、シャープ買収によって技術を獲得することで、液晶のような基幹部品も直接製造する企業への転換を目指す。また、シャープの持つ白物家電やロボット関連の技術も今後の世界的な競争に生かす方針だ。
15兆円規模の巨額の売上高を計上する鴻海の傘下に入れば、液晶パネル最大の顧客である米アップルとの交渉力が高まる利点も見込まれる。【宇都宮裕一、鈴木一也】
鴻海精密工業
台湾に本社を置く電子機器受託製造の世界最大手。郭台銘会長が1974年に設立した。各国から電子部品を仕入れ、安価に製品を組み立てる手法で成長。米アップルのスマートフォン「アイフォーン」やソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」のほか、テレビ、ゲーム機などの生産を世界の電機大手から受託している。2014年12月期の連結売上高は約15兆円、連結最終(当期)利益は約4600億円に上る。
毎日新聞の記事になりますが、鴻海傘下で再建を図る方針を固めたようです。因みに鴻海は台湾企業というより、中共の企業という位置付けなのでこの点は間違えてはいけません。他のソースでも同様の報道があれば、ある程度の信用は出来ますが、毎日新聞単独の記事ということもあって、飛ばしの可能性も考えられます。個人的に気になるのは以下の内容です。「すでにシャープに対し、1000億円を預けたという」なのですが、取締役会を通さない状態でどのようにして1000億円を預けたのだろうか??他のソースで契約不履行の場合、違約金として1000億円を預けるといった報道があったので、この1000億であれば話は成立すると思いますが、そもそも取締役会で決議を取らない限りは契約の締結は出来ず、1000億を預かる意味というのが少し気になります。
日経の記事も参考程度に。会員登録は必要ですが、月10本までは無料で見れます。
シャープ「巨額買収」狙う鴻海の裏事情
会員記事なので詳細は省きますが、こんな事情のようです。
【Q1】 何がシャープを経営危機に追いやったのか?
【A1】 液晶パネル事業の「世界基準」に対する認識不足
【Q2】 鴻海の買収でシャープの先端ディスプレー技術は流出するか?
【A2】 技術トレンドはシャープの先を行っている
【Q3】 なぜ鴻海はシャープの中小型液晶事業を欲しいのか?
【A3】 Appleのパネル供給サプライチェーンに割り込むチャンスがある
シャープの経営危機の元凶は、町田勝彦社長時代に企業体力と投資時期を弁えない液晶への過剰投資という選択と集中という戦略を取ったことに尽きます。選択と集中の戦略というのも、液晶と太陽光というコモディティへの選択と集中が思い切り裏目に出たと思います。その戦略そのものが罠であった可能性も否定は出来ないのも事実です。先端ディスプレイ技術の流出についても、技術トレンドはシャープの先を行っている可能性は否定はしませんが、シャープの今まで培った技術については別の話であって、エア投資であっても、6500億の投資という空気を作り出すだけの価値があるわけで、それだけシャープという企業に価値があるからこそ、買収したいと思ってるわけです。鴻海としても、Apple社との取引が減ることが明白な状況だからこそ、買収に焦ってるという図式と思うけどね。
読売新聞の記事です。
シャープ、鴻海傘下か機構案か24日にも決定
経営再建中のシャープは24日、取締役会を開いて新たな支援の枠組みについて最終協議に入る。
台湾の電子機器大手、鴻海精密工業と政府系ファンドの産業革新機構から受けた提案内容を精査し、25日までにどちらの傘下に入るかを決議する。24日に決定する可能性もある。
鴻海は6500億円程度を投じ、シャープを子会社化する方針だ。経営不振で見送ってきた液晶事業への大型投資を行うほか、高画質の有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)パネルの開発も加速させる。液晶と有機EL以外の事業や雇用も原則、維持すると説明している。
鴻海は2012年にシャープ本体への出資で合意したが、その後の株価下落を理由に白紙撤回した経緯がある。シャープ側の警戒感を払拭するため、鴻海は契約内容を守らなかった場合に1000億円規模の違約金を支払う。買収の契約時に、シャープに違約金を預ける方向だ。
読売新聞の記事の方が信頼性は高いと思いますが、毎日新聞の1000億というのは、このことを意味すると思われます。一番気になるのは、6500億円の調達ルートとなります。
馬政権とホンハイが癒着のインチキ融資によって、2014年第3四半期までの累計負債は1.3兆台湾ドル(日本円で4兆円くらい)となっており、台湾の銀行からの融資は出来ないようで、実際に資金に余裕があるわけではありません。
鴻海の現金残高。6400億台湾ドル(2兆円)程度です。
http://www.cnyes.com/twstock/bs/2317.htm
売上13兆円で利益2.7%の会社は月々の支払い1兆円くらいはあるわけで、鴻海の手元には2か月分の資金繰りのお金しかないということになります。これで7000億も出せるかと言われたら出せないわけで、どのようにして資金を作るかが重要になります。
鴻海は馬政権時に好き勝手やってたわけですが、選挙で国民党から民進党に政権が変わることで、鴻海への締め付けが厳しくなる可能性もあります。元々、鴻海は中国共産党と連携して、低コストで従業員を利用することで成長してきた企業なわけで、低水準の人件費でないと、企業の存続が難しい体質なわけです。現金残高も2兆円で数ヶ月程度の資金繰りのお金しかないようで、シャープの買収に資金を投じるほどの余裕があるとは思えないわけで、そうなると資金源は日本の銀行から借り入れを行わないといけないわけです。そういう事情もあるので、ソフトバンクに太陽光の名目で支援要請してる一面もあるわけで、また、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の人民元建て社債の引き受けあたりもこの件に関連する可能性もあります。
以下の記事も参考になるかと。
揺れるシャープ再建、「鴻海案」支持の欺瞞
シャープ再建の行方が揺れている。支援するのは鴻海(ホンハイ)精密工業か、産業革新機構か。シャープ経営陣の「決断の時」が刻一刻と迫る。20日の取締役懇談会で議論したうえで、24日の取締役で決議する、という流れが濃厚だ。
2月4日以降、シャープ経営陣が鴻海による支援に心を固めたかのような報道で一色になったが、舞台裏を探るとそう単純な構図ではない。鴻海派と機構派の対立が生じており、足元では「鴻海案を支持する取締役には欺瞞がある」との指摘も出てきた。
鴻海は1月30日、支援額を積み増し7000億円規模の再建案を提示した。一部のシャープ取締役、そして債権を抱える主要取引銀行がそれに乗り、約3000億円を出資するという機構の提案が揺らいだのは事実だ。
一部の取締役の間に「条件の良い鴻海案を蹴って機構案に乗ることは、シャープ株主に対する『善管注意義務違反』に問われかねない」という意思が働いたとされている。
しかし、真相はそう単純ではない。「高橋興三社長以下、シャープのプロパー系の取締役は、依然として機構案を支持し続けている。鴻海案を支持しているのは、主に金融機関系の取締役だ」(シャープ関係者)。
ここで重要なのは、実質的な対立の構図は、シャープのプロパー系と金融機関系といった構図となるわけです。誤解しないで欲しいのが、シャープのプロパー系の取締役が保身のために鴻海案に乗るのではなく、産業革新機構案の場合、銀行側が金融支援を求められるため、銀行側は一部債権の放棄を求められていることです。それを嫌って鴻海案に乗っかりたいといった事情もあるわけで、役員の保身ではなく金融機関系の意向と見ていい。金融機関は日銀から補完当座預金制度による適用利率でノーリスクで0.1%のお小遣いを貰ってるわけで、かなり心証が悪い一面もあります。
当然、産業革新機構案を選択する場合は、取締役が責任を負うことになるわけですが、それも踏まえて産業革新機構案を支持しているわけで、これのどこが保身なんだかと言いたい。どっちにしてもある程度の痛みは避けられないのは事実ですが、産業革新機構案の方が雇用への影響は低いのは事実で、シャープ本体の従業員だけの観点で考えてはいけないし、下請けなども含めた関連企業などの雇用なども考えないというのも事実と思います。
そういう意味では、先ほどの毎日新聞の記事というのは、銀行の焦りと読むことも出来るわけで、鴻海支援を既成事実化したいためにリークした内容の可能性が高いわけで、実態としては機構案を選択する可能性が高いという裏付けとも言えなくもない。鴻海案を支持している一部の取締役については『善管注意義務違反』の可能性も出てくるため、決議についても、機構側の案が有利な可能性も出てきます。シャープにしても、鴻海の事情は知ってると思いますので、案以前の問題を抱えているというのも、恐らく把握しているでしょう。
これらの事情も踏まえて、シャープの取締役会でどのような結論を下すのか。鴻海か産業革新機構か、どちらを選ぶかは明日議論され、早ければ同日、正式決定されるようです。恐らく、揉めると思いますので、25日に結論が出ると踏んでいます。