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今日はNHK受信契約義務付けの件です。
NHK受信契約義務付けは「合憲」 最高裁が初判断  :日本経済新聞

NHKの受信契約をめぐる訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、テレビを置く人に受信契約を義務付けた放送法の規定が「合憲」と判断した。受信料制度について、最高裁が憲法判断を示すのは初めて。

NHKの経営を支える受信料の徴収業務だけでなく、将来の公共放送のあり方をめぐる議論にも影響を与えそうだ。

大法廷は判決理由で、受信料制度について「財政面で国などの影響を受けずに国民の知る権利を充足する公共放送の目的にかなう合理的なもの」などと指摘し、憲法が保障する財産権の侵害などには当たらないとした。裁判官14人の多数意見。

一方、受信契約が成立する時期について「裁判で契約の承諾を命じる判決が確定すれば成立する」とした。「契約を申し込んだ時点で自動的に成立する」とのNHK側の主張は退けた。契約を拒む人から徴収するには、今後も個別に裁判を起こさなければならない。

受信料を徴収できる期間については「テレビ設置時点まで遡って支払い義務がある」とした。

NHKが東京都内の男性を提訴。「受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない」とする放送法の規定の合憲性が争われていた。

男性側は「契約の強制は、契約の自由に反しており違憲だ」と主張。NHK側は災害報道や全国の放送網など公共放送の役割を強調し、「安定財源として受信料制度は欠かせない」と訴えていた。

NHKによると、テレビを置いているのに契約に応じていないのは推計約900万世帯。

この判決については、法的観点だと放送法における公共放送の受信料制度という規定が合憲というところにあって、これを違憲とするには無理筋な話だと思いますし、当然の判決だと思います。あくまで裁判は法律の観点で判決を下すことが目的であって、NHKの正当性について問われる場所ではないです、ハイ。

重要なポイントは、受信契約が成立する時期について「裁判で契約の承諾を命じる判決が確定すれば成立する」ということで、NHKが受信契約を成立させるためには、個々で裁判の判決が必要という点に尽きます。最高裁の判例を紹介します。
裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

・判示事項
1 放送法64条1項は,受信設備設置者に対し受信契約の締結を強制する旨を定めた規定であり,日本放送協会からの受信契約の申込みに対して受信設備設置者が承諾をしない場合には,その者に対して承諾の意思表示を命ずる判決の確定によって受信契約が成立する
2 放送法64条1項は,同法に定められた日本放送協会の目的にかなう適正・公平な受信料徴収のために必要な内容の受信契約の締結を強制する旨を定めたものとして,憲法13条,21条,29条に違反しない
3 受信契約の申込みに対する承諾の意思表示を命ずる判決の確定により受信契約が成立した場合,同契約に基づき,受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する
4 受信契約に基づき発生する受信設備の設置の月以降の分の受信料債権の消滅時効は,受信契約成立時から進行する

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/281/087281_hanrei.pdf

あとは請求権については、こちらが参考になります。

NHK滞納受信料「請求の時効5年」 最高裁が初判断  :日本経済新聞

上記は滞納のケースですが、滞納以外のケースだと、「受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する」ということで、その基準をNHKが立証して裁判に勝って初めて成立することになります。そして、「契約を申し込んだ時点で自動的に成立する」とのNHK側の主張は退けた。契約を拒む人から徴収するには、今後も個別に裁判を起こさなければならない。というのは、NHKの主張からすれば敗訴に近い内容だと思います。請求権についても、「受信設備の設置の月以降の分の受信料債権が発生する」というのを完全に立証する必要が出てくるわけです。その意味というのは、その期間中ずっと受信設備が設立していた事をNHKが立証しないといけないということになります。

それを成立するためには、NHKが受信設備が設立を立証する方法が問われることになります。放送法64条の1項から「受信契約の締結を強制する旨を定めたもの」であるなら、契約者別に受信設備があることをNHKは証明しないといけないわけです。実質的な意味合いとして、上記の判事事項の3.の「受信設備の設置の月以降の分の受信料債権」というのは、現状においては実質的に機能しないという意味になります。法治国家であればねwww回りくどくて分かりにくいと思いますが、請求権については、滞納と同じ整理になるということになります。

判事事項の3を成立させるための方法論とすれば、スクランブル放送など、受信設備があるということを確認して受信出来るようにしないといけないわけです。そういう意味では、NHKが受信出来ない設備であれば、この契約が成立はしないとも受け取れるし、こういった機能をつける分には、今回の判決の範疇外で、別に法廷で問われる事案となりますので、NHK拒否の受信環境については、現状では法的問題はなく司法判断が必要になるわけです。


他の論点として、放送法64条1項の規定が合憲という判決となりますが、ここで一つ問題点が生じることになります。大法廷は判決理由で、受信料制度について「財政面で国などの影響を受けずに国民の知る権利を充足する公共放送の目的にかなう合理的なもの」とありますので、NHKが公共放送として相応しいことが前提での議論となります。NHKが公共放送として相応しくないのであれば、「NHKへの受信料制度そのものが不当なものである」ことを意味することになります。NHKが公共放送として相応しくないなら、受信料制度そのものが違憲ということを意味する判決とも言えるけどね(笑)

ここで放送法4条を振り替えてみましょう。
放送法第4条 - dskwiki

放送法第4条
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
二  政治的に公平であること。
三  報道は事実をまげないですること。
四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
2  放送事業者は、テレビジョン放送による国内放送等の放送番組の編集に当たつては、静止し、又は移動する事物の瞬間的影像を視覚障害者に対して説明するための音声その他の音響を聴くことができる放送番組及び音声その他の音響を聴覚障害者に対して説明するための文字又は図形を見ることができる放送番組をできる限り多く設けるようにしなければならない。

放送法64条の1項が合憲であれば、放送法4条が合憲であることが前提での議論であるということに繋がるわけです。放送法4条が違憲であることを立証しない限りは、NHKが公共放送であるということを立証することが難しくなります。放送法4条は罰則規定がないというのを口実としておりますが、公共放送の観点だと放送法4条の遵守があって初めて公共放送と言えるわけで、偏向報道というのは公共放送として相応しいものであると言えるかが問われることになります。この観点での司法判断も必要になるとは思うのですが。。。


あとは最高裁の裁判官についても触れておきます。

今回の判決の反対意見について紹介します。判例において「裁判官木内道祥の反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」とあります。

この裁判官は余命ブログでも記載があります。
1957 衆院選関連③ – 余命三年時事日記

◆木内道祥裁判長 朝鮮総連に便宜を図る判決

◆木内道祥裁判長
■総連本部の「売却許可」一時停止認める 最高裁
2014/6/20付
ttps://www.nikkei.com/article/DGXNASDG20046_Q4A620C1000000/
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地建物の競売で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は20日までに、落札した不動産業者への売却許可の効力をいったん停止する異例の決定をした。

こういった判決を下してるわけで、この人の反対意見があるということで、何か思い浮かぶところも出てくるのではないのでしょうか??内容を見る限り、NHKに対して相当な不利な判決であって、反対意見についても、最高裁判事国民投票で罷免対象になった判事が反対意見を述べたということからして、NHKが勝訴したとは思えないです、ハイ。