今回はフランスと旧アフリカ植民地についてです。

以下の記事を紹介します。

この記事で一つだけ気になるのは、「14カ国のアフリカCFA諸国の外貨準備金の85%は自動的に共同準備金として  フランス銀行に預けなければならない」という部分なんだけど、外貨準備金(外貨準備高)を預金しないといけないという意味がどこにあるかです。外貨準備について、以下の記事を紹介します。
外貨準備│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

各国の通貨当局の管理下にある、直ちに利用可能な対外資産のこと。通貨当局が急激な為替相場の変動を抑制するとき(為替介入)や、他国に対する外貨建債務の返済が困難になったときなどに用いられます。
その点では、外患準備が直接的な搾取ではなく、 搾取する枠組みを作っているのは、CFAフランそのものにあると思います。こういったのが新植民地主義の手口とも言えます。

新植民地主義 - Wikipedia

その点では、EU統一通貨のユーロの先駆者になっている点が重要です。
CFAフラン(セーファーフラン)とは - コトバンク

主にフランス語圏アフリカ諸国で使用されている共通通貨の単位。CFAはCommunaute financiere africaineの略。アフリカ・フランとも。元来はフランス領植民地の共通通貨。1994年1月以降,100CFAフラン対1フランス・フラン(フランのユーロ移行に伴い,1CFAフラン=0.00152ユーロ)の固定レートで交換を自由に行うことが保証されている。発券銀行は西アフリカ諸国中央銀行(BCEAO)と中部アフリカ諸国中央銀行(BEAC)。ベナン,ブルキナファソ,コートジボワール,マリ,ニジェール,セネガル,カメルーン,中央アフリカ共和国,チャド,コンゴ共和国,赤道ギニア,ガボン,ギニア・ビサウが加盟している。
この枠組みについては、以下の記事が詳しいと思います。重要なので全文紹介します。
西アフリカはいまもフランスの植民地!? 「CFAの廃止こそが真の独立だ」 - ganas 開発メディア

ベナンを含む西アフリカはいまだにフランスの植民地――。最大の理由は、西アフリカの共通通貨セーファーフラン(CFA)がフランスで発行され、フランス政府がレートを管理しているからだ。ベナンを代表する社会派ミュージシャンのカマル・ラジ氏(29)は「西アフリカはまだ本当の独立を果たしていない。自分たちで管理できる通貨をもつために戦わなければならない」と声を大にする。

CFAの為替レートは1ユーロ=655CFAの固定相場だ。レートを決めるのはフランス政府。この不条理なルールの根拠は、「西アフリカ諸国の独立」を条件として1960年に交わされた条約がこう定めているからだ。ベナンの名門大学であるアボメカラビ大学大学院で国際関係を専攻するエウデュ・クウドロさんは「でもCFAのレートをフランスが決めるということは、ベナンのすべてのモノの値段を決めるようなもの。これは、フランスがいまだにベナンを支配している証拠だ」と不満をぶちまける。

50年以上続く“フランスの植民地状態”だが、カマル氏によると、フランスがCFAを管理しているという事実を、西アフリカで暮らすほとんどの人は最近まで知らなかったという。CFAの実情を西アフリカの人たちに知らしめたのは、フランスとベナンの両国籍をもつ汎アフリカ主義者の活動家ステリオ・カポ・チチ(通称:ケミ・セバ)氏だ。同氏は「CFAの廃止」を求め、同じ西アフリカのセネガル国内で、CFAの札を燃やす運動を2017年に展開。この運動は瞬く間に西アフリカ全土に広がった。

ケミ・セバ氏の考えに呼応して、ベナン4都市でのデモ行進を呼びかけたのはカマル氏だ。「フランス支配の名残であるCFAをなくそう」と訴えた。ケミ・セバ、カマル両氏の運動で、西アフリカの人たちは、自分たちが使う通貨(CFA)を、誰が管理していて、どこから来るのか、を知ることとなった。ベナンの若者たちは、CFAがベナン経済にどんな悪影響を及ぼしているのか、といった議論をするようになった。

カマル氏は言う。「CFAは、ベナンの経済と産業を破壊している。(CFAの為替レートをフランスに有利にすることで)せっけんから鶏肉まで、多くのフランス製品が安い価格でベナンに入ってくる。ベナンの製品は価格競争で勝てない。輸入に依存する状態が続き、その結果、ベナン経済は自立できない」

こうした事態をより深刻にさせているのは、西アフリカの政治家がフランスに逆らいたくてもそれは不可能に近いという事実だ。「西アフリカ諸国の大統領はCFAを廃止したくても、それを言えばフランスに暗殺されてしまう。政治家はフランスの言いなりになるしかない。西アフリカは“経済的な奴隷状態”だ。ベナンを含む西アフリカはまだ独立を果たしていない」(カマル氏)

CFAを通じたフランスによる西アフリカの経済支配‥‥。意識が高い数人のアフリカ人が反対するだけでは現状を変えられないのは火を見るよりも明らか。西アフリカの多くの人たちが、CFAをフランスが発行し、レートを管理し、それによって経済が牛耳られていることを理解することが“脱・植民地支配”への第一歩となる。そのためにケミ・セバ氏やカマル氏は運動している。

「CFAの廃止こそ、西アフリカの真の独立だ。中央銀行をもって、俺たちアフリカ人が管理する通貨を作るべきだ」。カマル氏はこう強く訴える。
重要なのは通貨を通じた支配構造そのものにあって、中央銀行の仕組みにも関係しているわけですね。ロスチャイルドは別にして、通貨の枠組みを知る上で重要な記事です。
ロスチャイルドが支配する中央銀行でない国|常滑 社会問題 戦士 嶺|note

2018年現在、ロスチャイルド支配の中央銀行でない国

北朝鮮、イラン、キューバ、ハンガリー、アイスランド、ロシア、中国、ベネズエラ
北朝鮮については、微妙な部分はあります。
朝鮮民主主義人民共和国ウォン - Wikipedia

北朝鮮の住民は1990年代より慢性的な飢饉に苦しめられており、その対策として、闇市などの資本主義による手法で、北朝鮮ウォンを銀行に預金せずタンス預金していた。しかし、北朝鮮の人々はこのデノミによって、突如として溜め込んでいた資金が紙屑になる苦難を味わった。このため、2009年のデノミ以降、北朝鮮の住民は自国通貨を信用しなくなり、人民元や米ドル、ユーロ、日本円などの外国通貨を求めるようになった。
ベネズエラも微妙な状況です。

ここらへんも含め、通貨を通じた支配構造にあって、CFAがフランスによって管理されており、通貨の発行権は、西アフリカ諸国中央銀行、中部アフリカ諸国銀行にありますが、ここを支配しているのが、フランスになるわけですね。共通通貨というのは、各国の事情を考慮せずに変動することから、管理側の意向には逆らえない構図にあります。

基本的にゲームというのは、ルールを作る側に主導権があるわけで、主導権を握ったものが勝つといった性質を持っております。現場でいくら頑張っても、ルールが歪んでたら徒労に終わるわけです。

そういう意味では、以下の発言は真実なんだよね。

・一国の中央銀行を支配すればその国全体を支配できる
・私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでもよい

物事は経済で動いており、通貨を善とすれば、発行権と管理権がルールを作る側の論理であって、これを握ってしまえば、負けることはないです。


ユーロの枠組みも、EUを通じた搾取の構造ともいえます。CFAフランと似た要素があると思うけどね。この制度は問題ともいえるし、この指摘は妥当かもしれません。
仏極右ルペン氏、アフリカ政策見直しを提案 CFAフラン廃止も - ロイター

ルペン氏はまた、アフリカの中・西部14カ国で使用されている通貨CFAフランの廃止も提案。「CFAフランが経済発展を妨げており、自国通貨を持つべきだとするアフリカ諸国の訴えに賛同する」と語った。
CFAフランが既得権益の一つであるのは事実で、「CFAフランが経済発展を妨げており、自国通貨を持つべきだとするアフリカ諸国の訴えに賛同する」というのを、フランスの政治家が認識しているということが、一つの闇ともいえると思います。