今回は日米共同外交戦略がテーマです。

ここを抑えていないと、全体図がぼやけてしまいますので、外務省の資料の内容については、ある程度把握しておく必要があると思います。

自由で開かれたインド太平洋について

外務省のHPを紹介します。

自由で開かれたインド太平洋 | 外務省

セキュリティダイヤモンド構想を発展させたのが、自由で開かれた太平洋といった形となっており、安倍首相の基本戦略となります。2017年11月にドナルド・トランプ大統領は安倍晋三首相との首脳会談後、「Free and Open Indo- Pacific Strategy」を日米共同外交戦略として発表したことで、日米の共同戦略となりました。

セキュリティダイヤモンド構想 - Wikipedia

自由で開かれたインド太平洋については以下の資料が分かりやすいです。外交基本戦略はこの資料である程度網羅されていると思います。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000430631.pdf


資料にありますが、基本の柱は以下となります。

・自由で開かれたインド太平洋の実現のための三本柱
① 法の支配,航行の自由,自由貿易等の普及・定着
② 経済的繁栄の追求(連結性,EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
③ 平和と安定の確保(海上法執行能力の構築,人道支援・災害救援等)

一番重要なのは最初に出てくる「法の支配」となります。地域全体の平和と繁栄、包括的かつ透明性のある方法によるルールにおける国際秩序の確保というのが基本戦略となっております。逆を言えば、これを守らない相手については、日本として何もやることはないということも意味するわけです。これは当然の話であって、包括的というキーワードも重要ですが、独自ルールは作らないということも意味し、特定の配慮もしないというのも暗に含まれるわけですね。そういった前提の外交戦略であるというのが基本です。

一帯一路について

これに加えて、日本の一帯一路の取り組みも重要です。



日本は「一帯一路」に協力のスタンスとなっておりますが、条件として、適正融資による対象国の財政健全性やプロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を満たした場合と言及しております。

こちらの記事を紹介します。
アフリカ30カ国で債務管理研修=安倍首相表明、「借金漬け」中国に対抗:時事ドットコム

 安倍晋三首相は29日、横浜市で開催中の第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の官民ビジネス対話会合に出席した。首相は「相手国が借金漬けになっては(企業の)進出を妨げる」と強調。今後3年間、重点国を毎年10カ国選び、延べ30カ国で公的債務やリスク管理に関する研修を行う支援策を表明した。
 アフリカでは、中国が途上国を借金漬けにして支配する「債務のわな」が大きな問題になっている。首相は人材育成や「質の高いインフラ」整備など日本の得意分野での支援強化も打ち出し、中国との差別化を図った。
先日行われたアフリカ会議において、アフリカでは対中債務の返済が滞り、中国にインフラ利用権を奪われる「債務のわな」への懸念が高まっていることからも、日本での支援策を表明することで、アフリカ諸国の支持を集めるように動いております。

債務のわなについては、Wikipediaを紹介します。

債務のワナ - Wikipedia

そして去年の日中首脳会談やG20でも、「お互いを協力のパートナーとし、互いに脅威とならない」「競争から協調へ」という精神に基づき、日中関係を正常な軌道に沿って引き続き前向きに発展させることで一致しております。

日中首脳会談で10項目について合意、中国側が説明 | ビジネス短信 - ジェトロ

一帯一路構想において、条件を満たしたものについては、日本として協力するというスタンスともいえます。これは結構えげつないとも言えますが、日本の主張を受け入れれず、中国のルールに従うのであれば、それについては反対はしないとも言ってるわけです。「包括的かつ透明性のある方法によるルールにおける国際秩序の確保」が出来ないなら、日米共同外交戦略の領域ではないですしね。そういった理解でいいと思います。


これらの基本外交戦略が重要で、これを踏まえないところについては、距離を置くといった動きと見ていいと思います。中国についても同様で、本質的には日中首脳会談の合意内容は最後通牒といった一面もあって、日中の首脳間でこれらの内容について合意したことを意味しております。

習政権についてですが、用日要素があるのは事実ではありますが、少なくとも言えることは、日中関係において、江沢民→胡錦濤政権と比べて良好な関係にあることだけは確かだと思います。