まずはこちらの話題から。

トランプ大統領の国連演説の件

トランプ氏、自国民優先を呼び掛け 国連総会で演説 - WSJ

 【国連】ドナルド・トランプ米大統領は24日、国連総会で演説し、米国の国家主権に加え、不公正な貿易慣行や国民の安全対策などあらゆる脅威から米国が自国を防衛する権利を尊重するよう世界に求めた。

 トランプ氏が国連総会で演説するのは今年で3度目。「米国第一」主義をあらためて掲げ、世界の平和と繁栄を確実にするため、自国民を最優先するよう各国に促した。

 トランプ氏は冒頭、「未来はグローバリストの手にはない。愛国者の手にある」と述べ、「自由を望むなら、自国に誇りを持て。民主主義を望むなら、国家主権を維持せよ。平和を望むなら、自国を愛するべきだ」と主張した。

 演説からは、米国の力を一段と尊重するような世界像を描こうとする様子がうかがわれた。トランプ氏は、米国と長らく敵対していた北朝鮮やイランの首脳らを含め、誰とでも対話に応じる自身の姿勢も強調。「米国の偉大なる友人の多くは、かつては最大の敵だった」とし、「われわれは敵ではなく、パートナーを望んでいる。(中略)誰でも戦争をすることはできるが、最も勇気ある者は平和を選ぶことができることを米国は知っている」と語った。

 トランプ氏は国際協調の枠組みには長らく批判的な立場を示していたが、この日の演説では、世界が新たに連合を結成して、核問題を超える新たな合意をイランと交渉すべきとの考えを示した。

 さらに民主化デモが長期化する香港情勢を巡り、中国を名指しして「香港の自由、法制度や民主的な生活を守る(中略)法的拘束力のある協定を順守する」よう求めた。

 また中国が不公正な貿易を行う手段として世界貿易機関(WTO)の制度を乱用していると批判し、自らが仕掛けた中国との貿易戦争を擁護。「これらの乱用は長年、容認・無視され、奨励さえされてきた」とし、中国に公正で相互的な貿易慣行を徹底させるため、国際社会が団結して圧力をかけるべきだと訴えた。
今回の演説かなり踏み込みましたね。

「未来はグローバリストの手にはない。愛国者の手にある」と述べ、「自由を望むなら、自国に誇りを持て。民主主義を望むなら、国家主権を維持せよ。平和を望むなら、自国を愛するべきだ」

これが重要です。

こういった正論が堂々と言えるようになったのは、トランプ大統領の成果ともいえるし、「グローバリストからの決別、自国への誇り、国家主権の維持」については、ごく当たり前のことなのですが、グローバリズム(無国籍)という思想、愛国心の放棄、国家主権の放棄といった議論が平然と行われているほどの状況にあったともいえます。

「米国第一」主義というレッテルを貼られてますが、自国を愛して何が悪いんだという話ですし、自国から離れたとしても、自国に誇りを持った上で、相手の国を愛して、その国の国民としての責務を果たすのが当然の話です。自国のエゴを押し付けるのは論外だし、共存という概念のない人間が、外で生きる資格はないと思います。自国に誇りを持てないような人が、他の国で真っ当に生きていけるものではないと思います。

トランプ大統領は、誰とでも対話に応じる姿勢を持って接しており、戦争を回避するためにいろいろと取り組んでおります。トランプ大統領就任時には、朝鮮半島有事も避けられない状況にあったし、中国との有事の可能性も残されておりました。イランについても、いろいろと焚き付けられておりますが、それでも対話への道筋を残すように動いているわけで、ここらへんは思っている以上に難しいです。恐らくトランプ政権でなければ、有事になってた可能性が高いと思います。戦争反対と主張するなら、トランプ大統領の取り組みを理解するべきだと思います。

最も、対話の条件としては、本来の意味での国際社会としての当然のルールを守ることであって、ルールを守らない相手に対して対話は成立しないし、交渉というのは、一方的に押し付けて成立するものではないしね。


香港情勢について触れておりますが、「香港の自由、法制度や民主的な生活を守る(中略)法的拘束力のある協定を順守する」って、逃亡犯条例がないことで、犯罪者を罰することが出来ないという意味も含まれていると思いますし、一国二制度としてホントの意味での落とし所を探ることを求めてる部分もあると思います。暴動については、民主的な生活を守るわけでもないし、そういった意味合いも含まれてるでしょうね。

あとは中国が世界貿易機関(WTO)の制度を乱用して、公正で相互的な貿易慣行ではなかったのは事実です。知的財産保護も含めた形で、本来の意味での自由貿易というのを望んでるのが、トランプ大統領自身であって、何をやっても許される自由貿易ではないというのは、日本との貿易交渉の決着につながっております。


事前に日米貿易交渉の決裂の話が出てましたが、上手く決着しましたね。
日米貿易交渉が決着 両首脳、共同声明に署名 (写真=共同) :日本経済新聞

【ニューヨーク=重田俊介】安倍晋三首相とトランプ米大統領は25日午後(日本時間26日未明)、ニューヨーク市内のホテルで日米貿易協定の最終合意を確認し、共同声明に署名した。

トランプ氏は「公正で、互恵的な貿易協定だ。米国の農家にとって大きな価値がある」と評価した。首相は「最終合意に至ったのをうれしく思う。相互に利益のある合意となった」と語った。
トランプ大統領は「公正で、互恵的な貿易協定」と語っております。上記の記事も含めて一貫しているわけで、きちんと対話を重ねて、相互に利益のある形で決着をつけるというのが、本来の交渉であって、不要な譲歩をするのが交渉ではありません。あくまで共存という考えで、「相互に利益のある形で決着をつける」ことが重要ですし、そのためには、公正なルールが必要です。


因みにトランプ大統領がTPPから離脱した理由なんだけど、これについて言及はされてなかったように思います。トランプ大統領がTPPから離脱した理由は、NAFTAといったアメリカにとって不利な協定にあったと思われます。

北米自由貿易協定 - Wikipedia

協定というのは、多国間でも2カ国間でも緩いところがセキュリティホールになるわけで、「公正で、互恵的な貿易協定」を結んでも、それ以外のところでそうではない協定があれば、貿易協定としての抜け穴になるわけです。だからこそ、NAFTAの抜け穴を塞ぐためには、TPPから離脱する必要があったという背景もあったかと・・・。

昨年の日米首脳会談で、以下のように声明を出してたので、TPP準拠が最大限となってたことからも、TPPの条件は問題視はしていなかったと思います。ここでも、双方の利益になることを目的とした交渉と書いてるしね。
日米共同声明 | 在日米国大使館・領事館

5. 上記協定は、双方の利益となることを目的とし、米国と日本は、交渉を行なう際、相手国政府の立場を尊重する。

米国としては、自動車分野における市場アクセスの結果は、米国自動車産業の製造および雇用の増加につながることを目指すものとする。

日本としては、農林水産品について、日本の過去の経済連携協定に反映されている市場アクセスの譲許内容を最大限とする。

安倍首相とイラン大統領との会談について

日・イラン首脳会談 | 外務省

 9月24日,午前11時頃から約1時間,国連総会のためにニューヨークを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ローハニ・イラン大統領と日イラン首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1.両首脳は,先般のサウジアラビアの石油施設に対する攻撃により,事態が深刻化していることを踏まえ,中東地域の緊張緩和及び情勢の安定化に向けて率直な意見交換を行いました。

2.その中で,安倍総理から,中東情勢の深刻化への強い懸念を示すとともに,イランには地域の平和と安定に向けて建設的な役割を果たしてほしい旨述べ,日本としても緊張緩和と情勢の安定化に向けて役割を果たしていく考えを伝えました。これに対し,ローハニ大統領から,地域の安全保障はイランにとっても重要であり,協力して対処していきたい旨の発言がありました。

3.また,安倍総理から,イランによる一連の核合意の履行停止措置について懸念を伝え,核合意を損なう措置を控えるよう強く求めました。これに対し,ローハニ大統領からイランの立場について説明があるとともに,日本は核兵器,イランは化学兵器の犠牲者であり,すべての大量破壊兵器に反対するとの立場の表明がありました。

4.さらに,安倍総理から,中東から原油の8割以上を輸入する日本にとって中東における航行の安全確保は極めて重要であり,イランが船舶の安全な航行確保に向けて沿岸国としての責任を全うするよう要請しました。

5.両首脳は,二国間関係についても意見交換を行い,引き続き,外相レベルをはじめあらゆるレベルで意思疎通を継続していくことで一致しました。
ローハニ大統領との会談において、お互いの意見交換は出来てるし、率直な意見交換が出来ることに大きな意味があります。イラン問題の本丸は、アメリカ政府の制裁対象の革命防衛隊やイラン中央銀行、その背後の企業にあるわけで、首脳同士では望んではいなくても、首脳同士が合意しても、それで決着がつくという性質を持っていないしね。

「すべての大量破壊兵器に反対する」というのが重要で、日本とイランとの間では問題はありませんが、アメリカとイランとの間では不信感もあるし、焚きつける連中もいることからも、対処が難しいのが現実で、ホントの意味での仲介者が必要ともいえます。ここらへんは日韓関係においても同じですし、その点では苦労するのはありますね。前提条件をクリアしない限りは、この手の対話は難しいです。

前提条件としてあるのが、国内の安全保障にあるわけで、その阻害要因としてあるのが、DS界隈であって、こういったのを排除しないと対話は成立しません。これはイランだけではなく、中国、ロシア、南北朝鮮共通の敵となっているのが現状です。そのためには、アメリカ側の問題解決も必須ですし、それについてはトランプ大統領も理解はしていると思います。対話の条件を満たすためには、DS界隈の排除が必要ですし、根源を取り除かない限りは、一連の問題解決は難しいと思います。