今日はロシア関係です。

遅くなりましたが、先日東方経済フォーラムが開催されました。東方経済フォーラムは以下となります。資料紹介がメインとなります。

東方経済フォーラムについて

東方経済フォーラムについて紹介します。
東方経済フォーラム - Wikipedia

東方経済フォーラムはロシア極東部へ外国からの投資を促すのが主目的の国際会議で、2015年から毎年9月にウラジオストクの極東連邦大学を会場として開催されている。ロシア連邦大統領、日本の首相も毎年参加している。
外交戦略については、こちらを見るのがいいでしょう。

東方経済フォーラムに関する外務省のページとなります。

首脳会談は以下となります。

日露首脳会談(令和元年9月5日)

日・モンゴル首脳会談(令和元年9月5日)

日印首脳会談(令和元年9月5日)

経産省の記事。

世耕経済産業大臣兼ロシア経済分野協力担当大臣がロシア連邦に出張しました (METI/経済産業省)

安倍首相のスピーチは以下となります。

首相のスピーチで重要なのはここだと思います。
 そして、最も胸躍るお話。北極圏のLNG(液化天然ガス)、砕氷LNGタンカー、カムチャッカ半島での積み替えを経て、アジア各国へという躍動的な発展です。昨年お話ししたときは、まだ計画段階でした。今や、日本企業が設計や建設に加わったヤマルのLNG設備は、3系列みな生産、輸出を始め、ついに6月、日本向けが初出荷にこぎ着けました。日本の海運大手・商船三井は、砕氷LNG船を3隻そろえ、ヤマルLNGの輸出に力を注いでいます。

 それからアルクティクLNG2事業です。年産2,000万トン規模の巨大LNGプロジェクトに、去る6月、三井物産とJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の出資が決まりました。日本は一大ステークホルダーになり、やがて、ここから採れるLNGの買い手となるでしょう。カムチャッカを越えると、氷との戦いが無用になります。そこで、普通のタンカーに積み替える。これが実現すれば、一筆書きの雄渾な連結の実現です。自由で開かれたインド太平洋とロシアが開発を進める北極海。人類史上初めて、二つの海域が一つとなって、偉大な物流の大道が誕生します。見てまいりましたような実例は、ほんの一部です。この3年間、日露の協力が生んだ民間プロジェクトは、合計200件を優に上回ります。フョードル・チュッチェフではありませんが、日本に対する接し方はただ一つ。「信」を置いていただくことだと繰り返したいと思います。
事業内容についてはジェトロの記事を紹介します。

「ヤマルLNG」プロジェクト、日本向け出荷を開始 | ビジネス短信 - ジェトロ

「アルクティクLNG2」プロジェクト、JOGMECや三井物産などへの事業権益売却が完了 | ビジネス短信 - ジェトロ

日露の協力で生んだ民間プロジェクトは成果を出しており、日露との関係の改善にも繋がりますし、新たな事業が作られるということによる既得権への打破という意味合いでも、今回の取り組みはかなり重要なことなんだと思います。日露関係についていろいろと思う部分があるのは否定はしませんが、国防を考える上でも重要な国であるのは確かですし、反日教育をしていない分だけ、重要なパートナーになれる可能性のある国だというのは事実だと思います。あらゆる事態を想定した場合、自国だけで調達出来ないものについては、一箇所に依存するのは危険ですし、協力国を増やして、選択肢を増やすということが重要です。選択肢がなければ、交渉の幅が狭まるし、選択肢の数というのは武器になるということも重要です。

ロシア経済とガスプロム

ここでロシア経済について紹介します。

ロシアの経済 - Wikipedia

あとはこちらも。

ロシア経済の見通し-低成長が続くロシア経済。潜在成長率の上昇に向けた国家事業も、その効果は限定的か。 | ニッセイ基礎研究所

こちらの記事も紹介します。
ロシア経済に関する13のショッキングな事実 | BUSINESS INSIDER JAPAN

1. ロシアでは、人口が毎日700人ずつ減っている
2. ロシアには、4600億ドル以上の外貨準備がある
3. ソ連崩壊の前後10年間で、ロシアの経済生産は45%減少した
4. 原油と天然ガスがロシアの輸出の59%を占める
5. ロシア人の13%以上が貧困状態にある
6. ロシアには、ビリオネアが70人以上いる
7. ロシアの通貨ルーブルの価値は、この10年で半分になった
8. ロシアの平均月給は670ドル
9. ロシアの家具市場の20%をイケアが占めている
10. ロシアのウォッカの消費量はここ20年で50%以上減少した
11. ロシアの都市アスベストは2018年、31万5000トンの石綿を生産した
12. ロシアはジンバブエのダイヤモンド産業に2億5000万ドル以上を投資している
13. 2014年の冬季五輪にロシアは500億ドルを使った
記事の紹介だらけですね。

「孤立するロシア」はウソ? 日本人が知らないロシアの実態 - 新刊JP

識者が語る ロシアに経済制裁が効かない本当の理由 - 新刊JP

案外ロシアの実態って知らないと思います。ただ言えてることは、ロシア利権の殆どが「原油と天然ガス」にあるということに尽きます。

ガスプロムは、ロシア最大規模の納税企業であり、ロシア連邦政府への影響力は巨大ですし、ロシア連邦政府とガスプロムの利害が常に一致するとは限らないわけですが、ガスプロムの会長にメドヴェージェフ氏がいたというのが全てでしょう。
ガスプロム - Wikipedia

2008年5月、ドミトリー・メドヴェージェフ第一副首相が大統領当選に伴い、取締役会議長(会長)を辞任。同年6月27日、役員会は、後任の会長にヴィクトル・ズプコフ第一副首相(前首相)を選出。メドヴェージェフ新政権でもロシア連邦政府によるガスプロムを筆頭とする、エネルギー産業の支配が継続される。
メドヴェージェフ氏についてWikipediaを紹介します。

ドミートリー・メドヴェージェフ - Wikipedia

メドヴェージェフ氏については、こういった記事もありますね。
ロシア共謀・・・それは民主党の疑惑 - ドナルド・トランプNEWS

ヒラリー・クリントンは、国務長官として、米国がモスクワ版シリコンバレーのスコルコヴォという広大なハイテク・キャンパスと技術提携を結ぶために、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と当時のドミートリー・メドヴェージェフ大統領をはじめとするロシア首脳陣に協力していた。

クリントンの手形は2009年から2010年のプロジェクトのあちらこちらに付いていた。それは、元ソビエトの共和国で現在は米国の同盟であるジョージアに対する、ウラジミール・プーチンの軍事行動によって引き起こされた数年の敵対関係の後、米ロ関係を再起動するために外交的な突破口を開こうとするものだった。

ロシア側の取り組みを主導した、クリントン財団献金者である、ロシア新興財閥のヴィクトル・ヴェクセリベルクと、同財団への複数の米国人献金者が関与していた。クリントンの国務省は、米国企業がロシアのプロジェクトに協力するよう促進し、個人的にメドベージェフをシリコンバレーに招待した。

協力関係が始まったのは、今や悪名高い話だが、ビル・クリントンがたった1度の講演料として、50万ドルという法外な金額を受け取るために、ロシアを訪れたのと全く同じ時だった。
米民主党(クリントン)とメドヴェージェフとの繋がりが見えるし、ロシアゲートというのは、実質的に米民主党が関わっていたというのは、お約束的なお話ともいえます。

となれば、プーチン大統領とメドヴェージェフの力関係がどこにあるかということに尽きます。ロシア経済の殆どを握っていたメドヴェージェフのガスプロムと、プーチン大統領となれば、実質はガスプロムには逆らえないというのが、プーチン大統領の置かれているの現状とも言えます。

そういった背景もあって、ガスプロムに対して、アメリカは制裁を行っております。
ロシア新興財閥などを対象に米国が追加制裁 | ビジネス短信 - ジェトロ

制裁対象には、国有武器輸出会社ロスオボロンエクスポルトやニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記などの国防・安全保障関係者・企業のみならず、資源関連企業も多く含まれるのが特徴。アルミ大手ルスアルおよびオレグ・デリパスカ社長、レノバ・グループおよびビクトル・ベクセリベルク会長、ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長などが含まれる。
端を折ってる部分もありますが、背景の一部としてこういったものがあります。


ここで過去記事を再掲します。

ぱよぱよ雑談~20190806-ぱよぱよ日記

以下引用。
ロシアの射撃訓練に抗議=政府:時事ドットコム

 菅義偉官房長官は5日午前の記者会見で、ロシア政府から北方領土の国後島周辺で射撃訓練を行うとの通告があり、1日に外交ルートを通じて「わが国の立場と相いれず、受け入れられない」と抗議したことを明らかにした。
 一方、菅氏は、9月上旬にロシア極東ウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムへの安倍晋三首相出席に向け、調整すると説明。「日ロ間に問題があるからこそ、両首脳が直接会って協議しなければならない」と述べた。
あとこちらの記事も紹介。

ロシア首相、日本と領有権争う島を訪問_中国国際放送局

個人的な雑感ですが、プーチン大統領の政治基盤がどの程度あるのかという話なんだけど、ロシア国内において、プーチン大統領の政治基盤はそこまで強いとは思えないです。多分、習近平の方が政治基盤は強いという見立てですかね。プーチンとメドヴェージェフは表向き対立関係にあるまではいかなくても、イコールの関係ではないように見受けられます。決してお互いが支持してるわけではないでしょうね。

ここで以下の記事を紹介します。部分抜粋。
現代ロシアの「強欲な利権構造」を浮き彫りにする - 草思社のblog

本書では、プーチンが2000年に大統領に就任して以来今日まで、いかに経済利権に固執してきたか、そしてその利権政治にメドヴェージェフら欧米寄りのリベラルグループがいかに対抗してきたかを時系列で克明にたどります。

プーチンは大統領就任以来、ソ連のKGB時代の古い友人グループを政府や国営企業の要職に送り込み、彼らに石油や天然ガスなどの生産・販売に関する利権を分け与え、それを固守してきました。2008年頃の時点で利権分配は完成し、利権を手にした政治家や経済人は巨万の富を築きます。彼らは、モスクワ郊外の別荘地や黒海沿岸の保養地にぜいたくな不動産を数々所有し、権力者プーチンの庇護のもと、エリートの生活を謳歌しているといわれます。彼らが是が非でも利権を手放せない理由がわかろうというものです。
利権の観点では、「メドヴェージェフら欧米寄りのリベラルグループ」というのが、一つの鍵となります。「欧米寄りのリベラルグループ」というのが何を意味してるのかといえば、米民主党など所謂ディープステートに絡んだ利権であって、プーチンはこういった利権と戦ってきたともいえます。

ロシアは典型的な資源国で、利権というのは、「欧米寄りのリベラルグループ」が握っており、そこにメドヴェージェフが存在するともいえます。ロシア経済の産業基盤は弱く、資源を握られると何も出来ない構造にあります。だからこそ、プーチンは腐心しているとも言えるし、利権の奪い合いというのが、ロシアの権力構造に繋がるとも言えます。

北方領土問題のロシア側の事情はここらへんにあるわけで、プーチンとメドヴェージェフのスタンスはこんなところになると思われます。

プーチン:2島引き渡し&資源開発
メドヴェージェフ:日露分断&現状維持

日本にとっては厳しい話ではありますが、外交による解決方法を模索するためには、プーチンの筋書きの通り、北方領土の開発などの経済協力を通じて、プーチンの政治基盤の強化というのが、最短の道筋となります。だからこそ、安倍首相のアプローチの背景とも言えるわけですね。実際問題、安倍首相とプーチン大統領においては、ある程度の話は共有は出来てるが、それが出来ない理由は、プーチン大統領個人ではなく、別の理由があるとみるのが自然です。北方領土問題の解決の道筋は、プーチンの政治基盤を強化しつつ、最終的には一応の落とし所である四島返還といった筋書きといった感じになるかもです。

もう一つ重要な要素として、プーチンと森喜朗と鈴木宗男の関係についても一つの鍵となります。何個か記事を紹介します。


森喜朗も鈴木宗男も好きにはなれないのはあるけど、ロシア関係においては重要な人物ですし、この二人はディープステートと戦ってきた人ともいえます。だからこそ潰されたとも思ってるけどね。


日露関係を考える上で重要な要素となるし、日本政府の取り組みの意味については考えて欲しいと思います。