テストコンテンツとして、余命ブログのGoogleサイト内検索を作ってみました。

まずは小坪市議の記事を紹介します。

【懲戒請求戦線】余命氏と、個人情報について。明かそうとした余命氏と反対した私 | 小坪しんやのHP~行橋市議会議員

余命さんの個人情報を公開しようとしてたのですね。余命ブログの記載を見る限りでは、相手側が余命さんの情報は知ってるという認識です。

1528 青林堂 – 余命三年時事日記

.....余命の正体?
そんなものは公然の秘密であってデモの際、神奈川新聞の石橋にも会っている。安田も島崎も同様だし、行動する保守の幹部クラスならほぼ半数とは面識がある。ローカルはともかく警察も公安もとっくの昔に知ってることだ。安田浩一?沖縄で初めて会った。もちろん相手が余命を知っているかどうかなど興味はない。

自らに敵の火力を集中させ、懲戒請求者・読者を守ろうとしたというのが意図であって、あくまで読者を守るために個人情報を公開しようとしてたと思います。ここで、小坪市議の記事なんだけど、ここがポイントとなるわけですね。小坪市議の記事から。

実は、皆さん、好き放題に言っておりますが、余命氏自身が懲戒請求を行ったか否か。これは、弁護士側もわかっていないのです。少し議員風に言えば「わかっていないはず」なのです。正確を期すために語尾を修正したのは、「合法的に余命氏の個人情報を持っていない」ためです。

①もしも持っていたならば、それは不法に得たもの、となる。当事者が公開していないためです。
②また、懲戒請求を行った者のリストを、なぜ弁護士が所持できているのか?ということが議論になっております。

何度も書いたんだけど、②が重要なポイントなんですが、以下の記事を紹介します。

匿名と勘違い? 1000人が弁護士の懲戒請求、懲戒請求ってどんな制度なの? | THE PAGE(ザ・ページ)

 つまり、弁護士の社会的身分は法律で保護されており、懲戒などの措置はあくまで弁護士会自身が行う形になります。また、懲戒請求を行った人の住所、氏名は、懲戒請求の対象となった弁護士に告知されますから、匿名で懲戒請求ができるわけではありません。当然のことですが、懲戒請求の理由が著しく不当だった場合には、弁護士は損害賠償を請求することができます。

弁護士自治は重要だと思いますが、「懲戒請求を行った人の住所、氏名は、懲戒請求の対象となった弁護士に告知されます」というのは、弁護士会では許されても、世間一般的に考えた場合、通報相手の個人情報を通報相手に告知されるというのは、道理的に問題とも言えます。そして弁護士法が個人情報保護法より上位の法律であるから許されるというのはあり得ないし、この判断においては司法判断が必要ともいえます。そこまで言うなら、弁護士会側で弁護士法が個人情報保護法より上位であって、個人情報保護法の対象外であるということを裁判に訴えるべき事案と思いますがね。

弁護士が個人情報保護法を守らなくていいという法的根拠がないわけです。ここで懲戒制度を振り返りましょう。

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:懲戒制度

懲戒請求は何人でも可能で、手続きは懲戒対象の所属の弁護士会の網紀委員会に対して提出という手続きが行われます。この図を見れば、「懲戒請求を行った人の住所、氏名は、懲戒請求の対象となった弁護士に告知されます」という図式には見えないですし、原則的に対象となった弁護士に告知する正当性があるとは思えません。

ここで網紀委員会について振り返ってみます。

この弁護士は第二東京弁護士会の網紀委員会の委員長となります。懲戒請求を直接判断する網紀委員会の委員長がこういった発言をしてるわけです。年始に取り上げたというのはそれなりの意味はあっての話とも言えますがね。

ぱよぱよ雑談~20180102|ぱよぱよ日記


法的手続きが可能なケースとして、弁護士会が懲戒請求を告知した余命ブログを対象にした訴訟であれば、一定の正当性はあるのは事実です。逆を言えば、これ以外のケースで裁判で勝つ可能性はゼロに近いです。そういう意味では、余命さんの情報を開示した方が、弁護士会へ反撃の材料を与えることになるわけです。

小坪市議のいう「合法的に余命氏の個人情報を持っていない」というのは、これを意味します。かといって、法的措置を取るにしても、余命ブログの運営者情報をサーバ会社に請求して開示するというのも難しいと思いますがね。

この件を根拠としてますが、これも苦しいと思います。
損害賠償請求事件 - 平成17年(受)第2126号 - 最高裁判所第三小法廷 判決 その他 東京高等裁判所

弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成する。

詳細を読めば分かると思いますが、裁判の当事者同士の話での懲戒請求であって、違法な懲戒請求としての不法行為の構成というのは、何らかの司法判断の場所があっての話ともいえます。この件は見解は分かれてますが、こちらを読めば難しい部分があるということは分かると思います。法学部教授の研究となります。

弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が 不法行為を構成する場合

おわりに
以上,本判決については,おおむね同調しうるものの,若干の疑問も抱き,また逆に,本判決から今後の検討課題とすべき点の示唆も受けたように思う。本判決によって,懲戒請求が違法とされる基準は確かに広げられたが,今後,実際の紛争事件への適用の場においても大きな変更をもたらすかについては,裁判例の蓄積を見守りたい。
この件を根拠にするにしても、今後の検討課題とすべき点の示唆というのが重要なポイントともいえます。となると、懲戒請求対象となる弁護士による懲戒請求者への損害米商請求というのは無理筋な話で、「弁護士法が個人情報保護法より上位の法である」という司法判断が求められるのと、「懲戒請求を行った者のリストを、なぜ弁護士が所持できているのか?ということが議論」という問題をクリアする必要があるわけです。

法的観点ではこんなところになると思います。現状としては立場としては逆転しており、一定の構図が描かれつつあります。そして、「懲戒請求者だけならば、実はノーダメージとなる可能性もある」というか、法律に抵触する形で、先に手を出した方が負けだと思います。だからこそのキャンバラ先生の普通郵便であって、佐々木亮先生のキャンバラ先生に押し付けようとしたり、ショボい会見を開いたというところに繋がるわけです。てなわけで、弁護士会が動かないと収拾がつかないし、先日のNHKのディレクター案件といった感じになると思いますwww