アメリカ中間選挙が気になる1日でした。
トランプ氏、選挙結果にある程度満足か 「素晴らしい成功」と投稿 | ロイター

[ワシントン 6日 ロイター] - 米中間選挙で下院では与党・共和党の議席が過半数を割り込む一方、上院では過半を維持しつつ議席を上積みするとの見通しを聞かされていたトランプ大統領にとって、今回の結果はショックではなかったようだ。コンウェイ大統領顧問は「(選挙結果は)残念ではあるが、驚きではない」と語った。

下院での敗北はトランプ大統領が自身の納税申告書や事業、政権に対する民主党議員の調査に直面することを意味する。中間層を対象とする所得減税を含む大統領の政策方針は今後行き詰まりそうだ。

ホワイトハウスでは6日夜、選挙の開票を見守るパーティーが開かれ、トランプ大統領は陽気に振舞っていた。唯一公表したコメントは「今夜は素晴らしい成功だ。みんな、ありがとう」とのツイッター投稿。

民主党の「ブルー・ウエーブ(勢力拡大の波)」が下院で40議席を奪還するとの専門家の見通しもあった中、トランプ大統領と側近には、それほど悪い敗北ではないという、ある程度の満足感があるもようだ。

ホワイトハウスを掌握した与党が大統領選での勝利から2年後に初めて迎える中間選挙で議席を減らすのは通例となっている。オバマ政権時代の民主党は2010年に63議席を失った。

共和党のストラテジスト、スコット・リード氏は「トランプ大統領は現在、気分が良いはずだ。与党は最後まで踏ん張った。上院で議席を上積みし、下院でのブルー・ウエーブを最小限に食い止めた」と述べた。
結果としてはこんな感じです。下馬評通りといったところですかね。

民主が下院過半数 米中間選挙、上院は共和多数派  :日本経済新聞

元々中間選挙というのは、与党に不利ですし、近年において大統領の与党が両院で議席を増やした中間選挙は、9・11テロ翌年の2002年のみです。そういう意味では、アメリカ議会においては、上院と下院という意味ではねじれ国会が殆どですし、そんなに言うほど珍しいことではないですし、両院が大統領の野党が占めることもあります。

上院の議席が増えることだけでも珍しい話ですので、トランプ大統領としては、上院の議席を上積みして、下院の議席減も一定の範囲で留めて、知事選においても、重要なところは共和党系で抑えているので、トランプ大統領としては、引き分け以上といった評価といったところになると思います。

アメリカ議会の仕組みですが、下院の権限としては予算案および関連法案の先議権を持っています。上院の権限としては条約の批准と指名人事について、大統領に「助言と同意」を与える権限を持っています。下院は弾劾の訴追は可能で、上院の2/3以上の賛成で成立します。あとはアメリカ議会では、議会は対等であって優越性はありません。

こういった性質もありますので、トランプ大統領は上院の勝利を優先しました。上院が持つ人事承認権限は再選戦略に不可欠な要素で、最重要とされたのは、連邦最高裁人事に尽きます。

以下の記事を紹介します。

アメリカの最高裁判事人事:「保守永続革命」を目指すトランプ政権(前嶋和弘) - 個人 - Yahoo!ニュース

アメリカの場合、政治のアクターとしての最高裁判事という意味合いも含まれるので、最高裁判事というのはかなり重要となります。ここを押さえていれば、リベラル系政策を止めることが出来るし、アメリカの保守勢力を拡大するために必要な要素ともいえます。

もう一つ重要な要素なんだけど、以下の記事の渡邉哲也氏のコメントを紹介します。
米国、中間選挙を経て国全体がトランプ支持&プア・ホワイト優遇へ傾斜 | ビジネスジャーナル

 下院での民主党勝利は何を意味するのか。また、アメリカ経済や世界情勢への影響はいかに。経済評論家の渡邉哲也氏は以下のように語る。

「現在、アメリカは好景気を謳歌しているが、共和党が下院で敗北したことによって、政治的不安定を恐れて株価が下落する可能性が高い。同時に、アメリカの株価下落は世界の市場にも大きな影響を与えると思われる。ただし、下院で民主党が多数派政党になったところで、アメリカの対中戦略が大きく変わることはないだろう。

 共和党の主流派、グローバリスト、ネオコンと呼ばれる人たちは、すでに引退したり予備選挙で敗退したりしている。そのため、共和党の内部を見ればトランプ支持派が多くを占める格好となっており、政策にもトランプ色がより濃く打ち出されていくことは確実だ。トランプ大統領としても、今後は支持層に強く訴えかける必要があるため、さらに保守的な政策を掲げる可能性もある。

 ちなみに、民主党系でも『民主社会主義者』を名乗るバーニー・サンダース上院議員が圧倒的な支持を集めて再選しており、いわば“アメリカ版サヨク”が躍進している。それは中間派やグローバリストの排除を意味するわけで、今後もアメリカ全体がトランプ支持派である“プア・ホワイト”(白人の低所得者層)寄りに傾いていくのではないだろうか」(渡邉氏)
アメリカの枠組みとして、グローバリストやネオコンと呼ばれる人たちは、共和党と民主党の両方にいて、両張りでコントロールしてたわけです。そういう意味では、トランプ氏は共和党の非主流派でもあるのと同時に、民主党にも所属していた時期もあることから、思想においての対立は大きくはないと思いますし、トランプ支持派と重なる部分もありますので、アメリカの国益の観点では大きな乖離はしないかもしれません。アメリカの政党では党議拘束はないし、逆にトランプ大統領にとっては、この状況は逆に都合がいいかもしれません。

どっちにしても、対中戦略などの外交戦略が変わることはないし、変える理由はないと思います。議会の予算面では多少の制約はあるのは事実ですが、ここらへんは枝葉の問題で取り組む姿勢が重要で、反対することで国益を損ねるなら、反対勢力の衰退に繋がりますし、日本もそうなんだけど、アメリカ国内においても言えることは、メディアの衰退を意味することになると思います。