先月末の新型コロナウイルスの安倍首相の会見、習近平国家主席の国賓来日の延期によって、自民党内の動きが少し変わってきているように思います。安倍首相は覚悟を決めたように思いますし、世論と体調などに問題がなければ、4期目の可能性も視野に入れてると思われます。

習近平国家主席の国賓来日の延期とも関連してくるが、これによって、習近平国家主席の国賓来日の前に総選挙の可能性が高くなったのと、自民党の所謂保守層への配慮も必要になってきていることからも、そういった対応になってきております。新型コロナウイルスの問題と東京五輪の延期論なども出てきてることからも、これによって政治日程の変更も視野に入れないといけなくなったのはあります。最もここの界隈もある程度整理は出来てるし、安倍首相に被弾しないような形の窓口も必要なのも事実でしょうね。

習近平国家主席の国賓来日が延期になったことで、国内の大掃除の方を先にやってしまうといった意味合いも含まれているでしょう。中国国内についても、もう少しお掃除が必要だし、アメリカも同様です。最もイランと北朝鮮を一定のラインまで弱体化させつつ、大掃除の目処がついた頃あたりになるんじゃないんですかね。

今月になって少し流れが変わってきており、新型コロナウイルス関係の混乱に乗じて、安倍トランプラインを本気で潰しにかかってくることからも、多少の手荒な事態を招く可能性もありますが、今が大事な局面ですし、今まで以上に冷静に状況を見極めて動く必要があります。これを乗り切ったら、自由で開かれたインド太平洋構想の完成も近づくことを意味します。

新型コロナウイルス関係

3/12の12時地点の国内の状況です。

新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年3月12日版)


最近新規の患者数が増えてきておりますが、退院者もクルーズ船合わせて、511人となっております。

3/13の0時地点の世界各国の状況です。

Coronavirus Update (Live): 129,771 Cases and 4,751 Deaths from COVID-19 Virus Outbreak - Worldometer


日本が上位10位から陥落です。そして明日にはダイヤモンドプリンセスがいなくなり、日本の順位は更に下がると思われます。人口比で見ても、日本は上手く対応は出来ていると思います。

WHOのパンデミック表明について

新型コロナ、「パンデミック」 世界で感染12万人以上―WHO、一段の猛威警告:時事ドットコム

 【ベルリン時事】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は11日、新型コロナウイルスは「パンデミック(世界的流行)と見なせる」と表明した。イタリアなどでの爆発的拡大で、中国外での1日の新規感染者は約4600人と、中国の約300倍に到達。WHOによれば、感染者数は118カ国・地域で12万5000人に迫り、名実ともに世界規模の大流行という状況になっている。
 WHOがパンデミックの呼称を使うのは、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶり。テドロス氏はジュネーブでの記者会見で「今後数日、数週間で、感染者と死者、それに感染者が出た国の数は一段と増えるだろう」と警告した。
 WHOは、ある程度一般化可能なインフルエンザを除き、パンデミックの定義や行動指針を明確に定めていない。このため、実質的な意味は大きくないとして新型コロナのパンデミック認定に慎重だったが、感染拡大に歯止めがかからない中、強いメッセージを出す必要があると判断した。
WHOが今回の新型コロナウイルスは、パンデミックとみなせると表明しました。WHOによれば、感染者数は118カ国・地域で125000人を超えており、世界規模の大流行になっております。

WHOがパンデミックの呼称を使うのは、2009年の新型インフルエンザ以来ではありますが、この件もあって、パンデミックの呼称を使うことに躊躇があったともいえます。

パンデミック - Wikipedia

「WHOのパンデミック誤警告問題」を見れば分かりますが、「すべての人類の脅威」とまで宣言された新型インフルエンザは、他の季節性インフルエンザと大差ないレベルのインフルエンザであり、被害も小さかったのもあって、WHOはかなり批判されました。これはWHOで定めていた6つのフェーズで機械的に判断されたものですし、その点では、パンデミックの定義が曖昧になってしまったのも、パンデミック宣言がこのタイミングになって理由とも言えます。最も、パンデミック宣言が何かを意味するかと言えば、そういった話ではないし、あくまでメッセージを伝えるといった意味合いも含まれていると思われます。この発言については、そのままの解釈でいいと思われます。

パンデミック債について

パンデミック債について触れておきます。

2017年に世界銀行がパンデミックの債券を発行しました。パンデミックに備える資金を貧困国向けに調達するためといった名目の債券となります。これについては、2016年のG7の財務大臣中央銀行総裁会議で発表された内容となります。


財務省の会見の概要記録となります。
G7仙台財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要(平成28年5月21日(土曜日)) : 財務省

 このセッションにおいては私から、日本としてパンデミック緊急ファシリティに対し、3年間で5,000万ドルを拠出することを表明しております。PEFによる危機対応のための革新的ファイナンスは、世銀のIDAも活用した平時からの事前の予防や備えへのファイナンスと相まって、人命や社会的損失の緩和、危機からの迅速な回復に重要な役割を果たすものであり、日本として重視している分野であります。
・G7 仙台財務大臣・中央銀行総裁会議
https://www.mof.go.jp/international_policy/convention/g7/cy2016/g7_160524.pdf


ここで世界銀行の記事に戻ります。



ここでパンデミック債の仕組みについて、以下の記事を紹介します。
金融市場は新型肺炎拡大をパンデミックと認識 | 2020年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

■世界銀行パンデミック債の仕組み

金融市場が新型コロナウイルス感染のパンデミックのリスクについて、どのように評価しているのか、その一端を示す金融商品が、世界銀行が2017年に発行した「パンデミック債」である。

パンデミック債は、感染症が拡大した際に、世界銀行が新興国を迅速に救済することを狙って発行したものだ。これは、異常気象、地震、感染症の世界的流行といった災害が生じた際に、保険会社が大損害を被らないように、リスクを分散する目的で発行する「大災害債(CAT債)」の一種である。

世界銀行のパンデミック債は、投資家に高い利回りを約束する一方、ひとたびパンデミックが発生したと認定されると、その元本は部分的、あるいはすべて毀損され、新興国での感染症対策に充てられる仕組みとなっている。世界銀行のパンデミック債で、パンデミックと認定されたことは未だない。

このパンデミック債は、リスクに応じて2つのトランシェ(部分)から成っている。トランシェAは、相対的にリスクが低いもので、利回り(クーポン)は6か月LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)+6.5%、発行額は2億2,500万ドルである。トランシェBは、よりリスクが高いもので、利回りは6か月LIBOR+11.1%、発行額は9,500万ドルである。

利回りが信じられないくらい高いことから、パンデミック債には投資家からの強い需要があった。この債券を購入した投資家は、地域別に、欧州がトランシェAで全体の72%、トランシェBで83%、米国がそれぞれ28%、15%と、欧米が中心である。日本の投資家は、トランシェAの0.2%分を購入した。
ざっくり言えば、トランシェAが相対的にリスクの低いもの、トランシェBがリスクの高いものを混ぜたデリバティブ商品といった位置付けの性質を持っております。これは利率が異様に高いデリバティブ商品で、トランシェAが6か月LIBOR+6.5%、トランシェBが6か月LIBOR+11.1%といった金利で、異常な水準の代物であることは分かると思います。こういった商品なので、感染症の大流行が発生した場合は、投資元本が保険金支払いに使われるため、満額償還しないというリスクもある商品となっております。

コロナウイルスは、トランシェAとBの両方に該当し、2020年7月15日に償還予定でありましたが、今回の新型コロナウイルスが、パンデミックに該当した場合は、元本毀損になることから、パンデミック宣言を遅らせてた疑惑もあったようです。実際の動きを見れば、パンデミック債とWHOの宣言との関連性は、そこまでないと思います。

パンデミック債は、総額3.2億米ドル(約337億円)発行しており、今回の対応で償還出来なくなることになります。この記事を見ると、元本が毀損する条件の一つは以下のようになっております。

・トランシェA:発生国以外で死者が2500人に達すること
・トランシェB:死者数が1ヵ国で250人、発生国以外で20人

世銀が新型コロナウイルスをパンデミックと認定する条件の一つとして、「中国での死者数が250人に達した日(2月2日)を基準日として12週間が経過すること」が定められている。12週間後とは4月26日となっております。トランシェBの条件は満たしておりますが、トランシェAにおいては、3/13の0時地点で1582人となっております。その点からも、NRIの記事の見立てが妥当かもしれません。

■市場はパンデミック認定と元本毀損を織り込む

このパンデミック債の価格に変調が見られ始めたのは、2月中旬以降のことだ。よりリスクの高いトランシェBでは、パンデミックの条件(トリガー)がいずれ満たされると市場で認識され、元本が毀損される可能性が明確に織り込まれ始めたのである。

フィナンシャル・タイムズ紙(2月25日)によれば、トランシェBについては、額面1ドル当たりの市場価格が平均で57セント程度になっているという。これは、元本が100%毀損される可能性が4割以上の確率で織り込まれていることを意味している。他方、よりリスクが低いトランシェAについては、額面に近い価格で取引されており、元本毀損の可能性はほぼ織り込まれていない。

トランシェBで元本毀損となる幾つかの条件のうちの一つは、感染症による死傷者数が、発生国以外で20人に達することだ。新型コロナウイルスによる死者数は、中国本土以外ではフィリピン、香港、日本、フランス、台湾、韓国、イタリア、イラン、クルーズ船の乗客でそれぞれ確認されており、2月26日時点で合計30人を超えた。既に、死者数でみた条件は満たされている。

ちなみに、額面価格がほぼ維持されているトランシェAでは、元本毀損となる死者数の条件は、発生国以外で2,500人である。さすがにここまで事態は悪化しない、というのが金融市場の見立てなのだろう。
ここで世界銀行の記事になりますが、以下のように記載されております。

PEFには「保険」枠と「現金」枠の2つの枠がある。保険枠は、日本とドイツからの拠出金で保険料を賄い、具体的には本日発行分を含む世銀債及び保険スワップ取引で構成される。一方、現金枠はドイツが初期拠出金として5,000万ユーロを提供して2018年から始動予定であり、保険枠の発動規準を満たさない感染症の流行に対応する。

PEF保険枠の債券と保険デリバティブは、世界銀行財務局が、再保険大手のミュンヘン再保険とスイス・リーと共同で開発した。AIRワールドワイド社は、専門的なリスク分析手法をAIRパンデミック・モデルを通じて提供し、必要保険金額の算定に関与した。同モデル開発の第一フェーズの資金はスイス政府が提供した。

本件の単独主幹事には、スイス・リー・キャピタルマーケッツが指名され、組成はスイス・リー・キャピタルマーケッツとミュンヘン再保険が共同で担当した。ミュンヘン再保険及びGC セキュリティーズ(MMC セキュリティーズの一部門)が副幹事を務める。

スイス・リー・キャピタルマーケッツ、ミュンヘン再保険及びGCセキュリティーズは、共同で保険デリバティブ取引のアレンジャー役も担った。
仕組みを考えると、パンデミックが発動して困るのは欧州くらいで、特にダメージが大きいのはスイスとドイツのような気がするのですが、気の所為ですかね??最も償還したとして、あの金利を払うのもリスクもあるので、パンデミックの条件を満たして欲しかったようにも思えるような設計であったのはあるんだよねwww

日本目線で考えると、拠出したお金においては、「人命や社会的損失の緩和、危機からの迅速な回復に重要な役割を果たすもの」といった意味合いの投資であって、こういったところは上手く出来てる部分かもしれませんね。