まずはこちらから。

菅首相の国会演説について

演説内容は以下となります。


動画は以下となります。


関連記事となります。
骨子は以下となります。


演説の中にSDGsというキーワードが出てきておりますので、こちらについては外務省の記事を紹介します。


○基礎資料:SDGsの概要及び達成に向けた日本の取組(PDF)

安全運転といった印象のように見受けられますが、国連総会で言うべき内容としては満点の内容ではあったりします。新型コロナの危機の呼びかけや対外支援の打ち出しもそうですし、重要なのは、治療薬・ワクチン・診断の開発と、途上国を含めた公平なアクセスの確保と「特許権プール」という枠組みとなります。

「特許権プール」については以下の記事を紹介します。
こちらはパテントプールも紹介します。


特許権プールは国際機関が特許権を管理・保護し、製薬企業と他のメーカーのライセンス契約を仲介する仕組みで、特許使用料を抑える枠組みとなり、途上国を含めた公平なアクセスの確保を保つための枠組みで、こういったのも国際貢献として重要なことです。

骨子に含まれていないこちらの内容も重要です。菅首相の演説内容を引用します。
 今後、コロナからの「よりよい復興」を遂げ、SDGsが達成された、しなやかで強靱な、環境と成長の好循環のある社会を実現していく必要があります。未来を担う子ども・若者の教育や女性に大きな影響が出ています。すべての人を包摂する、よりよい社会を作るために、三点、私の考える重要事項をお話します。

 一点目は、国連と多国間主義の重要性です。国連は、危機への対応にすべての関係者が建設的に関与し、透明性をもって連携する場であるべきと考えます。これまでの国連の活動と尽力に敬意を表しつつ、国連には、中立・公正なガバナンスが一層求められていることを申し上げます。感染症対応に鍵となるWHOは、検証・改革によって、必要な知見を一層、適時適切に活用できます。この信念のもと、日本は検証・改革に協力してまいります。また、創設75周年の今、21世紀の現実を反映した形での安保理改革を含め、国連改革は、待ったなしの課題です。

 第二に、今回の危機のために、国際の平和と安全が損なわれてはならないと確信します。PKOや平和構築における国連の取組は、引き続き不可欠です。日本は積極的平和主義の下、これまでの経験を活かし、制度・能力の構築分野で取り組むなど、平和構築委員会の場を含め、平和の持続に貢献していきます。アフリカやアジアの諸国と協力してきた、PKO要員の能力向上も続けていきます。

 第三に、不確実性が増す状況において、法の支配への挑戦を許してはなりません。SDGsにも我々自身が明記した法の支配は、国内・国際を問わない秩序の基盤であり、国連のよって立つ精神そのものです。来年3月には、オンライン形式も活用し、国連・犯罪防止・刑事司法会議を京都で開き、法の支配推進を後押しします。日本は、世界的な法の支配に基づく地域の平和と繁栄の礎である、「自由で開かれたインド太平洋」を推進していきます。
国連には、中立・公正なガバナンスが一層求められていること、安保理改革を含め、国連改革のくだりなど、実際は国連改革といってますが、ここらへんは茂木外務大臣のメッセージもセットとなります。

ある意味、75周年記念としてふさわしい内容かは不明ですw


トランプ大統領も国連批判の演説内容となっておりました。


そこらへんを踏まえて、世界的な法の支配に基づく地域の平和と繁栄の礎である、「自由で開かれたインド太平洋」を推進といった感じに繋がります。

自由で開かれたインド太平洋は最重要項目なので概念を知っておくのがいいでしょう。


基本的な考え方の資料の「自由で開かれたインド太平洋の実現のための基本的な考え方」の項目となります。
地域全体の平和と繁栄を保障し,いずれの国にも安定と繁栄をもたらすために,ASEANの中心性,一体性を重視し,包括的かつ透明性のある方法で,ルールに基づく国際秩序の確保を通じて,自由で開かれたインド太平洋地域を「国際公共財」として発展させる。こうした考え方に賛同してもらえるのであれば,日本はいずれの国とも協力していく。

自由で開かれたインド太平洋の実現のための三本柱
① 法の支配,航行の自由,自由貿易等の普及・定着
② 経済的繁栄の追求(連結性,EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
③ 平和と安定の確保(海上法執行能力の構築,人道支援・災害救援等)
日本の外交を考える上でこれらの軸がとても重要となります。こういった概念に賛同すると言った条件が、日本が協力するための条件ともいえます。これについては国連も一緒ですし、日本のメッセージの重要なのはここにあるわけですね。

ここでも北朝鮮の拉致問題に触れております。
 北朝鮮による拉致問題は、国際社会の重大な関心事項です。私自身も、この問題に長年取り組んできました。今年、拉致被害者の御両親お二人が、お亡くなりになりました。必死に救出活動に取り組まれながら、最愛の子どもとの再会を果たすことなく旅立たれた御家族の思いを想像するだけで、胸を締め付けられる思いです。拉致被害者御家族が御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。日本として、日朝ピョンヤン宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えに変わりはありません。日本の新しい総理大臣として、私自身、条件をつけずにキム・ジョンウン委員長と会う用意があります。日朝間の実りある関係を樹立していくことは、日朝双方の利益に合致するとともに、地域の平和と安定にも大きく寄与するでしょう。あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動していきます。
菅首相も拉致問題については懸命に取り組んでおり、「条件をつけずにキム・ジョンウン委員長と会う用意がある」というのも継続しておりますし、恐らくそんなに遠くないうちにその日が来るのかもしれませんね。

そして菅首相の演説の内容の評価は以下の記事が分かりやすいです。
自由貿易を強調しない理由はいろいろとありますが、恐らく、安倍首相が国連演説をやったとしても、今回は取り上げなかった可能性が高いです。優先順位の高いのはWTO改革であって、国連の「中立・公正なガバナンス」の方です。記事にもある「各国首脳らに自身を直接アピールする機会」というのは国連総会という場を敢えて選んでおりませんが、首脳電話会談はかなり積極的にやっております。

令和2年9月20日
日米首脳電話会談
日豪首脳電話会談

令和2年9月22日
日EU首脳電話会談
日独首脳電話会談

令和2年9月23日
日英首脳電話会談

令和2年9月24日
日韓首脳電話会談
菅総理大臣とグテーレス国連事務総長との電話会談

令和2年9月25日
日中首脳電話会談
日印首脳電話会談

今後も会談の日程は詰まってるようですし、会談を重ねて信頼関係を構築していくんだと思いますよ。
記事によると、米国のポンペオ国務長官、中国の王毅外相との会談、ロシアのプーチン大統領、フランスのマクロン大統領、イタリアのコンテ首相との電話会談が予定されております。

あとは「気候変動問題や環境についての直接の言及が省かれたことは、その問題が新政権の優先事項ではないという示唆にもつながり、日本の立場を示す機会も逃した」とありますが、こんなところで言及する問題でもないという日本の意思表示そのものです。実際問題、巷で言われてる内容に関する内容はどうでもいいですしねwww

北朝鮮関係


行方不明となっていた韓国の海洋水産省職員が北朝鮮の軍関係者に射殺された問題で、北朝鮮は韓国大統領府に書簡を送った。韓国の徐薫国家安保室長が25日の記者会見で明らかにした。

  徐室長が公開した書簡によると、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、韓国の文在寅大統領および国民を大きく失望させたことを「非常に」申し訳なく思うと謝罪した。

  北朝鮮は書簡で、再発防止のため境界線水域の監視を強化するとともに、必要な安全措置を準備すると説明。南北の信頼と関係が損なわれることを望まないとした。

  書簡によると、北朝鮮の海域に入った身元不明の男性に向けて北朝鮮兵士が発砲したが、その場に接近したときには男性を発見できなかったため、死亡したと推測。男性が乗っていた浮遊物を国家の防疫規則に従って燃やしたという。

  徐室長は金委員長と文大統領が最近、親書を交わしたことを明らかにした。
韓国の海洋水産省職員が北朝鮮の軍関係者に射殺された件で、金正恩氏が韓国に対して謝罪した件となります。案外珍しいといえば珍しい話ではありますが、北朝鮮の海域に入った海洋水産省職員を不慮に発砲したといったところでしょうかね。

こういった記事も出ておりますが、ある程度は連携が取れてるようですね。
この記事で重要なのは、「金委員長と文大統領が最近、親書を交わしたこと」の部分となります。ひょっとすると、北朝鮮国内がある程度落ち着いたことを意味するかもしれません。親書の内容がどのようなものかは不明ですが、アメリカ大統領選後に一気に進むのかもしれません。我慢の時期もそろそろ終わりでしょうし、新型コロナで停滞してた件も、11月以降に形が見えてくると思われます。

アメリカ最高裁判事の件


[ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米大統領は26日、すい臓がんによる合併症のため18日に死去した米最高裁判所の女性判事ルース・ギンズバーグ氏の後任に、保守派のエイミー・バレット連邦控訴裁判事(48)を指名した。

トランプ氏による最高裁判事の指名は3人目。バレット氏の指名が承認されれば、女性としては5人目の最高裁判事となる。また、保守派判事はリベラル派に対し6対3の割合となり、最高裁の保守化が進む。

最高裁で保守派の判事が多数を占めれば、人工妊娠中絶の権利の大幅な制限、宗教に関する個人の権利の強化、銃の所持に関する権利の拡大、性的少数者(LGBT)の権利拡大の制限、投票権の新たな制限など、話題性の高い問題で米国を右傾化させる可能性がある。

最高裁判事の人事は議会上院(定数100)の承認が必要。共和党が過半数の53議席を握っており、バレット氏の承認は確実とみられるが、民主党の抵抗も予想される。
関連記事です。
アメリカの最高裁の判事の件ですが、保守系とされる判事を指名したようです。トランプ氏による最高裁判事の指名は3人目となります。アメリカの最高裁については、Wikipediaを紹介します。


判例は以下となります。


連邦最高裁の判事は9人となっており、終身制であり、本人が死去または自ら引退するまでは身分が保障されております。現在の連邦最高裁の判事は以下となります。


これらを見ても、昔から党利党略による人事となっており、終身制というのもありますので、欠員が出た場合は上院を握っている政党の意向が通りやすくなります。元々は上院の60票が必要となっておりましたが、元はといえば、オバマ政権が発端になってるともいえます。実際のところ、これは意趣返しに近い内容に近いですしね。

最高裁判事は大統領が指名し、上院(定数100)のうち51の賛成票を得ると承認される。以前は賛成60票が必要だったが、与党・共和党が多数派を占める17年にトランプ氏が指名した別の保守派判事を承認するために基準を下げた。これにより多数派を占める政党が数の論理で強行採決を行い、判事を承認できるようになった。

共和党だけを一方的に責めることもできない。民主党も上院の多数派を握っていた13年、控訴裁判事の承認に必要な賛成票を60から51に下げた過去がある。当時は民主党の議席が60に満たず、オバマ前大統領が指名する判事候補を共和党がことごとく拒否した。承認の停滞を解消するために禁じ手だった承認ルールの改正に踏み切った。
この人事により、連邦最高裁の判事が保守系が6人、リベラル系が3人、そして終身制となっていることから、欠員が出るまではこの構成が続きます。トランプ政権で3人の判事が交代となって3人を入れたことで、最高裁には数十年にわたりトランプ氏の影響が残るわけで、アメリカの最高裁については、ある程度は浄化されると思われます。

今度の連邦議会選挙も重要となりますが、上院の共和党の過半数が維持できればいいのですが、上院選挙を落とす可能性も否定は出来ないため、最高裁の判事の指名は強行されるだろうし、ここは絶対に妥協はしないものと思われます。