今日は中国関係となります。

日中新時代について

安倍首相「日中新時代築く」=中国大使の送別パーティーで:時事ドットコム

 安倍晋三首相は7日、東京都内のホテルで開かれた中国の程永華駐日大使の送別パーティーであいさつし、習近平国家主席が6月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて来日することに触れ、「(習氏と)ゆっくり意見交換することを大変楽しみにしている。日中新時代を手を携えて築いていきたい」と述べた。
 程大使は、9年3カ月に及んだ日本駐在について「うれしかったのは(1972年の)国交正常化以来最も困難な時期を乗り越え、中日関係を正常な軌道に戻したことだ」と振り返った。
 程大使は「隣人は選べるが、隣国は引っ越せない。引き続き両国の平和友好のためにできるだけのことをする」と語った。2012年の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化で悪化した日中関係は現在、首脳の往来が復活するなど改善が進んでいる。
「日中新時代」についてだけど、今一度振り返っておきます。

日中首脳、新時代へ3原則を確認 - ロイター

 【北京共同】安倍晋三首相は26日、中国・北京で習近平国家主席、李克強首相と個別に会談し、「新たな時代」の日中関係構築に向け「競争から協調」など三つの新原則を確認した。習氏に来年の訪日を招請し、習氏は「真剣に検討したい」と答えた。安倍首相は尖閣諸島周辺海域での中国船の領海侵入を踏まえ、状況の改善を要請。両首脳は意思疎通の強化と不測の事態回避で一致した。

 3原則は他に「脅威でなく協力のパートナーに」「自由で公正な貿易の推進」。安倍首相がツイッターで両氏と確認したと明らかにした。習氏との会談で「世界の平和と安定のため、力を合わせて貢献していきたい」と強調した。
重要なのは「競争から協調」「脅威でなく協力のパートナーに」「自由で公正な貿易の推進」の3原則を確認したという話で、日中関係を正常な軌道に戻したというところが何を意味するかというところです。

過去記事も紹介します。

日中首脳会談とDDoS | ぱよぱよ日記

外交戦略としては以下の構想が軸となっております。あとは首脳会談で話してるキーワードも重要となります。

自由で開かれたインド太平洋 | 外務省

概要資料より。

以下のキーワードは重要です。

・ 自由で開かれたインド太平洋の実現のための三本柱
① 法の支配,航行の自由,自由貿易等の普及・定着
② 経済的繁栄の追求(連結性,EPA/FTAや投資協定を含む経済連携の強化)
③ 平和と安定の確保(海上法執行能力の構築,人道支援・災害救援等)

これらを踏まえた上での原則であって、それを踏み外したものではなく、「自由で開かれたインド太平洋」については、世界各国との首脳会談のキーワードになっていることから、中国も例外ではありません。3原則を行動に移せば、「日中新時代」を迎えることになりますが、これを反故にすれば、そのような時代が来ないことを意味すると思われます。

米中通商交渉はムチ、日中新時代はアメみたいなもので、日米で棲み分けてるとも言えるわけです。米中の追加関税の件にも関係してくるわけですね。

米中通商交渉の件

中国、北京会合後に態度硬化=米通商代表「約束破り」-追加関税上げ:時事ドットコム

 【ワシントン、北京時事】ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は6日、中国からの輸入品2000億ドル(約22兆円)相当に対する追加関税を10日に25%へ引き上げる方針を表明した。先週の北京での貿易協議後に中国が態度を硬化させたと米メディアに説明。大筋合意が視野に入った途端に抜本的な貿易慣行是正策に難色を示した中国を「約束破り」と痛烈に批判した。

 中国商務省によると、劉鶴副首相は9、10の両日、貿易協議のため米国を訪れる。訪米を見送るのではないかとの観測も出ていたが、引き続き交渉には応じ、話し合いでの問題解決を目指す。
 米中は中国の合意順守状況を監視・検証する機関設立を検討中。米国の交渉責任者を務めるライトハイザー代表は、事態が急変した理由を「合意に強制力を持たせる仕組みをめぐり中国国内で異論が出たため」とした。ムニューシン米財務長官は、交渉の9割を終えたと認識していたが、先週末にかけて「大幅に議論が後退した」と嘆いた。
 米経済団体によると中国は、米国企業に対する技術移転強制の禁止、産業補助金の削減、サイバー問題に関わるルール策定や法整備になお慎重姿勢という。ロイター通信は、中国が行政機関の通達などによる対応策にとどめたい意向と伝えた。米国が合意内容の全面公表を望んでいるのに対し、中国は拒否しているとも言われている。
 米中双方が譲らないのは、国内からの「弱腰」批判を避けるためでもある。米国では好調な経済や株価の回復がトランプ大統領の背中を押し、2020年の再選を見据えて対中強硬策に再び踏み切る余地を与えた可能性がある。
 一方、中国の習近平国家主席は4月下旬に開かれた巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議や大型景気対策などの経済運営に国内から一定の支持を得ており、過度な対米譲歩に懸念が高まっているとの見方も米メディアが報じている。
米中の通商交渉の関係ですが、アメリカの求めてるものは、「米国企業に対する技術移転強制の禁止、産業補助金の削減、サイバー問題に関わるルール策定や法整備」にあって、こういった内容については、自由貿易だったり、法の支配などに該当する内容で、これに応じないというのは、本来の自由貿易に反する内容で、無法地帯でなければ、中国として苦しい状況になることから、到底飲めない内容とも言えます。

ここで中国製造2025について過去記事を紹介します。

中国製造2025とIEEPA | ぱよぱよ日記

「中国製造2025」というのは、知財無視や技術譲渡だったり、内部に中国人を入れることで技術を根こそぎ奪うことが前提と書きましたが、米中通商交渉の内容を受け入れるというのは、「中国製造2025」の全面放棄を意味します。中国にとっての重要な国策である以上、「米国企業に対する技術移転強制の禁止、産業補助金の削減、サイバー問題に関わるルール策定や法整備」を受け入れるということは、中国として一時期の低迷を受け入れないといけないし、経済成長こそが中国共産党の存在意義である以上、経済低迷を受け入れるということは、政権の死を意味するくらいのインパクトがあると思います。

国際ルールに則って国際社会としての最低限の責任を背負うというのは、国際社会で生きる上で重要な事ではありますが、中国の外交は内政そのものであることからも、下手な譲歩というのがネックになるという脆弱性を持っているのと、中国のルールにこれ以上従うと他の国が疲弊するだけですし、そこをどのようにするかが重要ともいえます。


言ってる内容としては、日米で協調しており、国際社会の一員として生きるための覚悟というのを突きつけてるともいえます。それが「日中新時代」でもあり、「米中通商交渉」でもあるわけで、北朝鮮も一緒なのですが、アメとムチというのが交渉の基本であって、「法の支配」というルールが安倍イズムの根幹部分ともいえます。