気乗りのしないエントリですが、新型コロナウイルスに関して、現況について整理しておきます。

新型コロナウイルスの現況について


中国国内は以下の内訳。

患者数:76936(うち湖北省が64084)
死者数:2442

https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-china-map/?open

あとはこちらの記事を紹介します。

新型コロナ国内感染者838人(クルーズ船含)23日午後9時20分 | NHKニュース

これらの情報を見る限り、致死率については、湖北省は医療リソースの問題で高いのですが、それ以外の地域においての致死率については、そこまで1%未満となります。確かに、高齢者や基礎疾患持ちの方々が多く亡くなってるのは事実ですが、2018年では94661人が亡くなっており、インフルエンザでも毎年3000人以上は亡くなっているわけで、新型コロナウイルスのみを恐れても、何の意味もないと思います。

なんと1日50人以上「インフル死者」が日本で急増する不気味 怖いのは新型コロナだけじゃない (2/5) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

新型コロナウイルスについて一人ひとりが知っておくべきこと

まずは官邸のHPを紹介します。

新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~ | 首相官邸ホームページ

以下の資料を紹介します。

新型コロナウイルスを防ぐには [PDF形式:159KB]

 

あとは以下の内容も重要です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて― http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_mizugiwa_200221.pdf
この辺は重要なので、一人ひとりが知っておくべき情報だと思います。怪しげな情報を元に、医療機関にいっても、迷惑なだけの話なので、一人ひとりがきちんと理解して、対策を行う事が重要です。

その点では、新型コロナウイルスの感染したかもと思った場合は、自分の状況をきちんと理解して、「帰国者・接触者相談センター」に相談するのと、一般的な内容については、厚生労働省の窓口に問い合わせに確認を行ってから、自分の状況を適切に理解することが重要です。

あとは以下の行為については、害悪でしかないのでやめてくださいね。

・人に対しての攻撃的な行為(差別行為は論外)
・新型コロナウイルスに対して地名を含める名称の使用
・感染症の政治利用等
・不安を煽る行為
・不確定な情報の拡散

クルーズ船の対応について

クルーズ船の対応については、実はかなり凄いことをやってるというか、日本以外の国で同等のオペレーションが可能な国が他にあるかは分かりません。

当初の対応について、以下のようなやり取りが行われてました。
クルーズ船米人乗客 当初は米側が「船内に」とどめるよう要請 | NHKニュース

新型コロナウイルスの集団感染が確認されたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」への対応で、日米両政府の詳細なやり取りが分かりました。日本側が当初、アメリカ人乗客の早期帰国を提案したのに対し、アメリカ側は「乗客の移動は感染リスクが高まる」として船内にとどめるよう要請していたということです。

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客のうち、アメリカ人は日本人に次いで2番目に多く、帰国を希望したおよそ330人が2週間の健康観察期間が過ぎるのを待たずに、17日、チャーター機2機で日本を出国しました。

こうした一連の対応で日米両政府が交わしたやり取りの詳細がわかりました。

それによりますと、日本政府が、当初、アメリカ人乗客の早期下船と帰国を提案したのに対し、アメリカ政府は日本側の対応に謝意を示したうえで、CDC=疾病対策センターなどと議論した結果、「乗客を下船させ、横田基地などに移動させれば、感染リスクが高まることが予想される。船は衛生管理がきちんと行われており、船内にとどめてほしい」と要請していたということです。

また、15日に行われた事務レベルのやり取りで、日本側が2週間の健康観察期間が過ぎる19日から下船が順次可能となると説明したのに対し、アメリカ側は日本政府の負担を軽減すべきと判断したとして、19日を待たずにチャーター機を派遣し、アメリカ人の乗客らを帰国させる方針を伝えたということです。
これについては、当初からアメリカと連携して、下船させることによるリスクより、船に留めることで衛生管理を行う方が、感染リスクが低いという判断から、日米の連携でこういった措置が取られることになったわけです。

日本側としても、今回のオペレーションの最優先の目的は3700名の乗客乗員の中に何名いるかわからぬ保菌者が入国し国内で感染が広がることを阻止する事が主目的でしたし、この観点では、国立感染症研究所の報告書からでも、見えてくる部分があると思います。

現場からの概況:ダイアモンドプリンセス号におけるCOVID-19症例

背景
クルーズ船ダイアモンドプリンセス号(以下クルーズ船)は、2020年1月20日、横浜港を出発し、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄り、2月3日に横浜港に帰港した。この航行中の1月25日に香港で下船した乗客が、1月19日から咳をみとめ、1月30日に発熱し、2月1日に新型コロナウイルス陽性であることが確認された。そのため、日本政府は2月3日横浜港に入港したクルーズ船に対し、その乗員乗客の下船を許可しなかった。2月3日からの2日間、全乗員乗客の健康診断が検疫官により行われ、症状のある人、およびその濃厚接触者から新型コロナウイルスの検査実施のために咽頭ぬぐい液が採取された。2月5日に検査結果よりCOVID-19陽性者が確認されたことから、クルーズ船に対して同日午前7時より14日間の検疫が開始された。この時点でクルーズ船には、乗客2,666人、乗員1,045人、合計3,711人が乗船していた。

暫定的な結論
発症日の判明している確定例の検討に基づいて評価すると、2月5日にクルーズ船で検疫が開始される前にCOVID-19の実質的な伝播が起こっていたことが分かる(下記船内の常設診療所に発熱で受診した患者数参照)。確定患者数が減少傾向にあることは、検疫による介入が乗客間の伝播を減らすのに有効であったことを示唆している。乗客の大半が検疫期間を終える2月19日に近づくにつれ、感染伝播は乗員あるいは客室内で発生している傾向にある。特記されるべき点は、クルーズ船の性質上、全ての乗員乗客を個別に隔離することは不可能であったことである。客室数には限りがあり、乗員はクルーズ船の機能やサービスを維持するため任務を継続する必要があったからである。

無症候性症例の最近の検出の増加は、2月14日頃より体系立てて乗客の検体を採取し始めたことが一因と考えられる。一部の症例は、客室内での二次感染例であった可能性はあるが、検疫が始まる前に感染した可能性も否定できず、実際にいつ感染したか、判断は難しい。しかし、これらの無症候性症例は下船後入院し、同室者は濃厚接触者として最終接触日から新たに14日間の隔離期間を開始している。同室者が無症候性症例の濃厚接触者であることが分からないまま下船しなかったことを考えると、この体系立てた検体採取には意義があったと考えられる。
あとは以下のツイートも紹介します


1日あたりの検査数の関係で、逐次報告されたことで増えていた印象を与えていたかもしれませんが、実際は検査が終わったタイミングで報告したから増えたというのが真相です。そもそも、PCRの検査は絶対ではありませんし、症状が出ない状態で検査しても、問題が出ないパターンもあるのと、1日に当初は1000件の処理(1回のPCR調査で5~6時間はかかる)しか出来なかったのもあって、検出そのものが難しいといった背景もあります。

そのため、2週間の健康観察期間の間に全員の検査をするといった感じのオペレーションを取る選択を行った結果、乗客を個室から出ない様させた後に発症者劇的に減少といった効果もあったことから、当初の目的の殆どが達成できたわけですね。

そもそも論ですが、本来なら、イギリスの船籍で日本政府として対応する必要はなく、拒否することも出来ましたが、このクルーズ船は日本人乗客も多く乗っており、これを見殺しにすれば、政府への批判も大きくなることからも、日本政府として出来る限り、リスクの小さい形で対応を取らざるを得ない状況でした。

かといって、どれだけ感染してるか分からない状況で上陸させてしまえば、国内の感染状況が現状よりも悪化する可能性が高く、それはそれで問題でもあり、政治的リスクも大きい状況でした。

そういった理由から、未知の感染症でどれだけの感染者がいるか分からない状況で、ギリギリのオペレーションが求められたわけです。ここらへんの難しい判断が出来たのは、多分安倍政権だからという理由であって、自民党政権であれば、誰でも同じような指示が出されたかも怪しいですし、自民党政権以外で、こういった判断の出来る政権はないと思いますよ。これは迅速なチャーター機の手配も一緒だけどね。

クルーズ船の構造的に、完全な隔離は出来ない状況にも関わらず、出来る限りリスクの低い方法を選択して、クルーズ船内の被害の拡大を阻止しつつ、全員の検査を行った上で、上陸の目処を作れたということは、オペレーション内容について、主目的を果たしたという完全な成功を意味しており、対応した職員が感染してしまいましたが、これもきちんとケアをすれば問題はないですし、そもそも作戦で重要なのは、主目的を果たせたかという要素が大きいです。枝葉に拘って騒ぐことに何の意味もないです。想定より多くの感染者がいたし、犠牲者が出てしまったのは事実ですが、それをもって、対応が間違ってたというのは、無理筋な話ともいえるし、批判される筋合いはないと思います。

現段階の雑感

時系列について紹介します。
新型コロナウイルスで国内初の死者。これまでの経緯は?(時系列まとめ) | ハフポスト

2019年12月31日 武漢で原因不明の肺炎

2020年1月7日 新型コロナウイルスと判明

1月12日 中国で初の死者を確認

1月13日 中国以外で初の感染確認

1月16日 国内初の感染確認

1月20日 ヒトからヒトへの感染が判明

1月23日 武漢封鎖

1月27日 中国人の団体ツアー旅行が禁止に

1月28日 日本人の感染者を初確認

1月29日  武漢からのチャーター機第1便

1月31日 WHOが緊急事態宣言

2月1日 日本で「指定感染症」に

2月5日 ダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が判明

2月8日 武漢在住の日本人が死亡

2月11日 病名を「COVID-19」と命名

2月13日 国内初の死者
国内初の感染確認された1/16の地点で、今の事態が起きる可能性が高い状況にありました。ここの地点で、自分もここの地点で個人レベルの予防が必要と認識してました。なので、事実ベースで症状を伝えつつ、予防策について書いてた理由はそこにあります。水際対策は意味をなさないということもね。

1/7の地点で水際対策を行ったとしても、どの程度の効果が見込めてたかというのと、この地点で超法規的措置など取れるわけがないし、威勢のいいことをいう連中の主張は、根拠のない超法規的措置や違法行為でしかないわけでしてwww

1/23の武漢封鎖、1/27の中国人の団体ツアー旅行が禁止される前から、既に今回の感染は起きてた可能性が高く、これによる抑制効果があったかというのを検証するというのが、今後のフェイズにあるということに尽きます。

事象ベースだと、WHOの緊急事態宣言のタイミングは間違ってはいないし、中国国外の二次感染が確認出来ていない状況での判断は難しかったと思います。中国に忖度して遅らせた説で、事務局長が責められるというのは無理筋だと思いますがね。適切な医療環境があれば、致死率は1%以下であるのも、COVID-19の評価が難しかったというのは、否定は出来ない部分であると思います。

COVID-19においては、情報過多でSNSなどによる拡散力の強い状況での初めての大規模な感染病であるという一面もあって、本格的なインフォデミックの症例に近い一面も見せており、この影響のほうが大きいというのも特徴とも言えます。

その点からも、インフォデミックに気をつけて、適切に症状を理解して、一人ひとりが適切な対応を取るということが、新型コロナウイルスの必要な対応でして、WHOや政府レベルにおいては、必要な情報などは連携しているわけで、ノイズに惑わされないことが一番必要なことなんだと思います。