アメリカ・ファーストと地産地消
今回はアメリカ・ファーストに関する話題。こちらのニュースから。
製造業というのは軸となる研究と製造のノウハウがあって洗練されていくわけですが、製造部門だけを他に移管しても、製造のシステムとして機能するかといえば、一概には言い切れないわけですね。いくら研究開発できても、製造技術がなければ、そこがボトルネックとなりますし、雇用の観点からしても、製造業の労働者がいるというのは重要ともいえます。それに代用可能なものを輸入するということは、失業を輸入することを意味しますし、代用可能な部門においての輸出入というのは、失業者の輸出入と同じ意味ともいえます。
ここで他の事業が成立してれば問題はありませんが、産業のバランスが悪いと、どっかでバランスを取らないといけなくなりますし、需要を満たすのであれば、モノは輸入、サービスは移民といった関係になりがちです。モノとサービスのバランスは大事ですし、代用可能なものを他国に依存するというのは、他の産業を作り出さない限りは、構造的欠陥を潜在的に抱えることになるわけです。
そういう意味では、中国の「世界の工場」の地位つぶしという言い方は微妙ですし、アメリカ・ファーストというのは、他国というより、自国の産業や雇用のリバランスが目的ともいえます。もう一つ意味があって、知的財産権にも関連してきますが、AIやロボットなどを駆使した製造技術と、製造コストの安い国の人件費+輸送コスト+カントリーリスクで天秤をかけると、前者の方が製造業として効率的な状況になりつつあるというのも、製造業の国内回帰の背景にあると思われます。
テクノロジー的に考えても、カントリーリスクや知的財産権の侵害や、国の産業のバランスからしても、他国に製造を置くことにメリットよりリスクの方が大きいといった判断があっての関税を利用した貿易戦を仕掛けてるという感じになると思います。この辺の一定の理解がなければ、アメリカの戦略を見誤ることになるし、1980年代と同じことをやってるような錯覚に陥りますので、この点は注意は必要だと思います。
これらの動きのもう一つの意味合いとして、製造業においても、製造技術の発展により、地産地消の動きに緩やかに移行しているかもしれません。自国で消費するものは出来る限り自国で生産、他国とのやり取りは、投資の見返りとして対価を得るという方向といった感じが最適とも言えます。代用可能な部門での輸出入においては、失業者の輸出入の関係であることから、地産地消で失業者の押し付け合いが減れば、移民も減ることになるし、移民への負担を減らすためには産業構造を変える必要が出てきます。
これについては日本企業に対しても言えますが、人件費が安いところでの大量生産が今後においての製造業にとってメリットとは限らないわけで、今後は知的財産権というのは、今まで以上に過敏になる必要が出てきますし、今後においては、知的財産権の保護の観点からも、スパイ防止法だったり、情報戦の観点から、どのようにして情報を守るかというのが重要になる世の中になると思います。
その一環としてあるのが、5G戦略ともいえるわけですね。
あと関税については、今までのものと少し意味合いが異なります。中国への制裁というより、中国を踏み台とした外資系企業の米国への輸出への対策がメインなわけです。そういう意味でも日本も例外ではありませんし、米国を対象としたモノを中国で作るといった是正が一番の目的であって、地産地消を促すための関税といったところになると思います。
【米中貿易摩擦】「世界の工場」潰し狙いか 米第3弾の22兆円制裁が焦点に(1/2ページ) - 産経ニュース米中貿易関係ですが、製造業と金融業の兼ね合いもありますが、アメリカとして、金融・ITに軸を置いた経済に限界を感じてるのと、知的財産権を無視した世界の工場の中国をこれ以上野放しにすると、製造業そのものが死ぬことを意味しますので、製造業と金融業のリバランスとしての方法として、関税を利用しているように思います。
トランプ米政権が23日発動した第2弾の対中制裁で、中国の知的財産権侵害を理由とした追加関税の対象品は、第1弾と合わせ500億ドル相当に拡大する。米中の対立は今後、さらに米政権が検討を進める2千億ドル(約22兆円)相当への大規模制裁に焦点が移る。対決姿勢を強めるトランプ米大統領の視線の先には、中国が築いてきた「世界の工場」としての地位をつぶしにかかる思惑も浮かぶ。
米中両政府は22日に次官級協議を再開。中国側に対し、米政府は「関係省庁が一丸となって」(ホワイトハウス高官)知財侵害や米企業への技術移転の強要をやめるよう厳しく迫っているという。
(中略)
それでも、中国などへ流出した製造業の国内回帰を掲げるトランプ氏は11月の米中間選挙を控え、有権者向けの集会などで中国への対決姿勢を演出している。
製造業というのは軸となる研究と製造のノウハウがあって洗練されていくわけですが、製造部門だけを他に移管しても、製造のシステムとして機能するかといえば、一概には言い切れないわけですね。いくら研究開発できても、製造技術がなければ、そこがボトルネックとなりますし、雇用の観点からしても、製造業の労働者がいるというのは重要ともいえます。それに代用可能なものを輸入するということは、失業を輸入することを意味しますし、代用可能な部門においての輸出入というのは、失業者の輸出入と同じ意味ともいえます。
ここで他の事業が成立してれば問題はありませんが、産業のバランスが悪いと、どっかでバランスを取らないといけなくなりますし、需要を満たすのであれば、モノは輸入、サービスは移民といった関係になりがちです。モノとサービスのバランスは大事ですし、代用可能なものを他国に依存するというのは、他の産業を作り出さない限りは、構造的欠陥を潜在的に抱えることになるわけです。
そういう意味では、中国の「世界の工場」の地位つぶしという言い方は微妙ですし、アメリカ・ファーストというのは、他国というより、自国の産業や雇用のリバランスが目的ともいえます。もう一つ意味があって、知的財産権にも関連してきますが、AIやロボットなどを駆使した製造技術と、製造コストの安い国の人件費+輸送コスト+カントリーリスクで天秤をかけると、前者の方が製造業として効率的な状況になりつつあるというのも、製造業の国内回帰の背景にあると思われます。
テクノロジー的に考えても、カントリーリスクや知的財産権の侵害や、国の産業のバランスからしても、他国に製造を置くことにメリットよりリスクの方が大きいといった判断があっての関税を利用した貿易戦を仕掛けてるという感じになると思います。この辺の一定の理解がなければ、アメリカの戦略を見誤ることになるし、1980年代と同じことをやってるような錯覚に陥りますので、この点は注意は必要だと思います。
これらの動きのもう一つの意味合いとして、製造業においても、製造技術の発展により、地産地消の動きに緩やかに移行しているかもしれません。自国で消費するものは出来る限り自国で生産、他国とのやり取りは、投資の見返りとして対価を得るという方向といった感じが最適とも言えます。代用可能な部門での輸出入においては、失業者の輸出入の関係であることから、地産地消で失業者の押し付け合いが減れば、移民も減ることになるし、移民への負担を減らすためには産業構造を変える必要が出てきます。
これについては日本企業に対しても言えますが、人件費が安いところでの大量生産が今後においての製造業にとってメリットとは限らないわけで、今後は知的財産権というのは、今まで以上に過敏になる必要が出てきますし、今後においては、知的財産権の保護の観点からも、スパイ防止法だったり、情報戦の観点から、どのようにして情報を守るかというのが重要になる世の中になると思います。
その一環としてあるのが、5G戦略ともいえるわけですね。
CNN.co.jp : オーストラリア、中国ファーウェイを5Gから締め出し今後は情報について厳しい時代になると思いますので、ソフトやハードの観点から、今まで以上に知的財産権だったり、技術をどのようにして守るのかという点を怠ると、時代に取り残されることを意味することになるとも言えます。
香港(CNNMoney) 中国のスマートフォン・通信機器大手ファーウェイ(華為技術)は23日、オーストラリア政府から、次世代通信規格「5G」を使った同国の無線ネットワークへの参入禁止を通告されたと発表した。
ファーウェイはツイッターへの投稿で、オーストラリア政府の判断について「消費者をひどく失望させることになる」と述べ、「ファーウェイは5Gにおける世界のリーダー」だと強調した。
これに先立ちオーストラリアでは、ファーウェイと中国政府の関係について国家安全保障当局が懸念していると伝えられていた。
オーストラリア政府は23日に発表した声明で、「オーストラリアの法律と相反する外国政府から司法管轄外の指示を受けている可能性が大きい」通信機器メーカーが関与すれば、オーストラリアの携帯電話会社が「不正アクセスや干渉から5Gネットワークを守ること」ができなくなる可能性があると説明した。
あと関税については、今までのものと少し意味合いが異なります。中国への制裁というより、中国を踏み台とした外資系企業の米国への輸出への対策がメインなわけです。そういう意味でも日本も例外ではありませんし、米国を対象としたモノを中国で作るといった是正が一番の目的であって、地産地消を促すための関税といったところになると思います。