トランプ大統領退任から、1ヶ月近くが過ぎました。今のところは大きな動き自体は見えてはいませんが、裁判の結果あたりが突破口になりそうな気がします。重要な点は大統領選の問題についてなかったことにされておりますが、このまま終わるとは思わないし、国内、国外向けの混乱を最小限にする形を考えた場合は、致し方ない部分もあるかもしれません。外野で見ると、ポップコーンをいつまで食べたらいいのかともやもやする部分はあるんだけどね。


明日は定休日を予定しており、今日は「ぱよぱよ雑談~20210220」を予定しておりましたが、長くなりましたので、前編は入管法改正案、後編は少年法改正といった構成とさせていただきます。


入管法改正案について

難民申請回数を制限 入管法改正案を決定 長期収容解消狙う: 日本経済新聞


政府は19日の閣議で、出入国管理法の改正案を決めた。国外退去処分を受けた外国人の入管施設への収容が長期化している問題の解消をめざす。難民認定を申請している間は送還が止まる規定に例外を設け、早期の出国を促す。退去命令に従わない外国人には罰則を設ける。


出入国在留管理庁によると、不法就労や在留資格の期限が切れたのに日本国内に残る不法残留者は2020年1月時点で8万2892人に上る。年間1万人程度が処分に従って出国するが、帰国を拒む「送還忌避者」は19年末時点で3000人程度いた。


入管庁は帰国を拒んで施設に長期間収容される人を減らすため、改正案に罰則を含む対策と新たな支援措置の両方を盛り込んだ。


長期収容の一因となっているのが難民認定の申請手続きだ。現行法は難民認定を申請している間は本国へ送還できない規定がある。何回でも申請できるため、送還逃れの理由になっている例があった。改正案は3回目以降の申請は例外とし、長期化目的の申請を防ぐ。


期日までに日本から退去するよう入管が命令できる制度もつくる。送還する際に飛行機内で暴れて妨害した場合などに限り、1年以下の懲役などを設ける。病気などの事情で施設からの仮放免中に逃亡した人にも同じ罰則を科す。


自発的に出国した人には次回以降に日本へ入国しやすくする。自ら帰国を申し出た人には日本に上陸できない期間をこれまでの5年から1年に短縮する。


一方で収容施設に入らなくてもよい新たな「監理措置」も設けた。逃亡のおそれが低いと判断されれば、親族や支援者ら「監理人」のもとで施設外で生活できる。強制退去処分を受ける前であれば就労もできる。監理人は定期的に対象の外国人の生活状況を入管庁に報告する。


難民は人種や宗教などを理由に迫害される恐れがある場合に認定される。日本での認定率は1%程度とハードルが高い。改正案は難民と同じ「定住者」の資格で在留を認める「補完的保護対象者」を創設する。


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今回の改正におけるポイントとしては以下となります。


1)保護や在留を認めるべき外国人を適切に判断

2)在留が認められない外国人の速やかな送還

3)長期収容の解消と適切な処遇の実施


1)については難民条約の定義が重要です。正規の在留の手続きが行われてる場合は問題はありませんが、それ以外に在留が認められるのが難民といった位置付けとなります。


日本の難民認定制度における難民の定義は以下となります。


難民認定制度 | 出入国在留管理庁


本案内でいう「難民」とは,難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し,それは,人種,宗教,国籍,特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。


また、母国が紛争中の人などを想定し、難民認定には至らないものの「補完的保護対象者」として難民と同じ「定住者」の資格で在留を認める枠組みも新たに作られます。難民も難民に準じる補完的保護対象者についても、本来の定義で見た場合は対象は限られておりますが、日本は適切に措置が行われていることを意味します。


昨年度の状況と入管関係の過去記事を紹介します。


令和元年における難民認定者数等について | 出入国在留管理庁


・難民認定申請者数は10,375人で,前年に比べ118人(約1%)減少。また,審査請求数は5,130人で,前年に比べ3,891人(約43%)減少。

・難民認定手続の結果,我が国での在留を認めた外国人は81人。その内訳は,難民と認定した外国人が44人,難民とは認定しなかったものの人道的な配慮を理由に在留を認めた外国人が37人。


「令和元年における難民認定者数等について」の資料の不認定者の内訳となります。



過去記事も併せて紹介します。


出入国在留管理庁の資料について-ぱよぱよ日記


そして参考までに野党の提出したものを紹介します。


野党、難民保護法案を共同提出:時事ドットコム


 立憲民主、共産、国民民主など野党5党は18日、欧米に比べて日本は難民認定が少ないとして、国際基準に基づいた認定を行うようにする難民等保護法案を参院に共同提出した。


 日本の難民認定率は2019年で0.4%と欧米の約20~50%に比べ極めて低い。このため、学識経験者らで構成する独立性の高い委員会が、国際的な基準に沿って難民認定できるようにする。

 また、国外退去処分後に本国への送還を拒否した外国人の入管施設収容が長期化している問題を踏まえ、収容は逃亡の恐れがある時に限り、裁判所の許可を必要とすることなどを盛り込んだ入管難民法改正案も提出した。

 提出後、立憲の石橋通宏参院議員は「本来なら難民として保護されるべき方々が日本では保護されていない。国際的に恥ずかしくない、あるべき形をつくろうということだ」と語った。


日本が拒否してるのは上記の不認定者の内訳に該当しており、難民条約の難民に該当しないわけで、欧米が本来の意味では難民条約違反に該当するわけですが、意訳すると不法移民の受け入れを合法化しろといってるだけの話です。



2)については、難民認定を申請している間は本国へ送還できない規定を口実とした難民申請については、3度目以降の申請から強制送還の対象にするのと、自発的に帰国した場合は、上陸拒否の期間を5年から1年に短縮するといった内容が盛り込まれております。


また、期日までに日本から退去するよう入管が命令できる制度も作るようです。また、送還の際に暴れるなどの妨害をした場合や仮放免中に逃亡した人に対しては、懲役の罰則の対象となります。



3)については、収容施設に入らなくてもよい新たな「監理措置」を設けるようです。逃亡のおそれが低いと判断されれば、親族や支援者ら「監理人」のもとで施設外で生活が出来、強制退去処分を受ける前であれば就労も可能とする制度となります。あくまでも強制退去処分受ける前までの話で、2度の難民申請の期間が滞在の上限となります。


「監理人」というのは、選定された支援団体や弁護士などが該当となりますが、監理人は定期的に対象の外国人の生活状況を入管庁に報告する義務があります。要するに逃亡した場合は、監理人となるであろう左翼系のNPO系や弁護士も連帯で責任を負わせて、監理人の選定から外すことを想定していると思われます。



適当に纏めると、長期収容解消のために、難民申請を2度までのため、一度の申請の仮滞在期間は原則として6ヶ月となることから、最長でも13ヶ月目には入管が退去命令が出せるようになるという点と、それまでの期間について原則収容施設に入っていたのが、監理人の管理下において、施設外の生活と就労を可能にするといった対応で、長期収容解消と一定の人権に配慮した措置が含まれてるのが、今回の入管法改正の内容とも言えます。