久々の日曜の更新となりますが、実質的に、ぱよぱよ雑談~20210220の後編となります。今日は少年法改正についてです。


少年法改正について

厳罰化、18~19歳は「特定少年」 少年法改正案が閣議決定 - 産経ニュース


 政府は19日、刑事手続き上は20歳未満を「少年」と扱いつつ、18~19歳を厳罰化することなどを柱とした少年法の改正案を閣議決定した。18~19歳を「特定少年」と規定し、原則として検察官送致(逆送)する対象事件を拡大。起訴された場合は実名報道を解禁する。今国会で成立させ、民法上の成人年齢が18歳に引き下げられる来年4月の同時施行を目指す。


 少年法改正をめぐっては、選挙権年齢が18歳になったことなどから、法制審議会(法相の諮問機関)が平成29年2月から3年半余りにわたって議論。昨年10月の答申で、20歳未満による全事件を家裁送致するルールは維持するなどとした一方、適用年齢を20歳未満から引き下げるかどうかは、「立法プロセスでの検討に委ねる」として結論を棚上げしていた。


 法務省では答申後に改正案を検討し、20歳未満を現行通り少年と扱いつつ、18~19歳は特定少年と呼ぶことにして新たな条文を整備。答申に沿い、18~19歳が原則逆送となる事件には、殺人など「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」のほか、強盗や強制性交など「法定刑の下限が1年以上の懲役・禁錮に当たる罪」を追加した。起訴されて公開の場で裁判が開かれることが決まれば、氏名や顔写真など本人を特定する報道も可能とした。


 また、特定少年の制度については、施行5年後の情勢などを踏まえ、必要であれば「所要の措置を講ずる」とした条項も入れた。



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少年法改正ですが、18~19歳を「特定少年」と規定し、原則として検察官送致(逆送)する対象事件を拡大するようです。逆送の要件として、現在の「殺人など故意の犯罪で被害者を死亡させた場合」に加え、強盗や放火、強制性交等なども含めて、18、19歳は起訴段階で実名報道を解禁するほか、少年の更生を考慮する不定期刑の適用からも除外するようです。最も、現行法でも実名報道については違法ではないわけで、報道側の自主規制による影響だったわけです。


逆送は、「少年法で、家庭裁判所に送致された少年事件を再び検察官に戻すこと。死刑・懲役・禁錮にあたる事件について、刑事処分を必要と認める場合にこの手続きがとられる」となります。


不定期刑については、日本では少年犯罪で採用されており、不定期刑の判決は、例えば「被告人を懲役10年以上25年以下に処する。」という形となります。


要するに、18~19歳を「特定少年」と規定し、逆送の要件として、強盗や強制性交など「法定刑の下限が1年以上の懲役・禁錮に当たる罪」を追加となり、実名報道が可能となります。対象については、以下の資料が参考になるかと思います。


○刑法における 主な罪名・法定刑及び事件区分

http://www.moj.go.jp/content/001314325.pdf


併せて、検察庁のページを紹介します。


少年事件について:検察庁


 家庭裁判所は,犯罪少年のうち,死刑,懲役又は禁錮に当たる罪の事件について,調査又は審判の結果,その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは,検察官送致決定をします。また,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件で,罪を犯したとき16歳以上の少年については,原則として検察官送致決定をしなければなりません。


基本的には、刑事処分を相当と認める事件は逆送の対象で年齢制限はなく、殺人については逆送決定が義務付けられております。なので、18~19歳の原則逆送の犯罪の追加と、実名報道と量刑が厳しくなるといった内容になります。


手続きの流れは以下となります。



少年刑の一覧表は以下となります。


○少年刑一覧表

http://www.moj.go.jp/content/000102996.pdf



今回の改正において、18~19歳は不定期刑の判決の対象から外すというのは、20歳以上同様の30年以下の定期刑となります。元々、死刑や無期懲役がくだされないのは、少年法とは別の理由となっており、寧ろこっちが問題なわけです・


少年法改正後における少年法の規定は以下となります。


○18歳未満の死刑は無期懲役

○18歳未満の無期懲役は、無期懲役か10~15年の定刑の判決

○18歳未満の有期刑は、短期5年、長期10年が上限の不定期刑


軽犯罪の類については、20歳未満で現行の少年法と変更はありませんが、その点においては特に問題にはならないですし、論点でもないと思います。凶悪犯罪に限定とした問題の本質がどこにあるのかですが、本来は「死刑」や「無期懲役」に該当する犯罪に対して、裁判所が少年法52条の適用対象にして、「短期5年、長期10年が上限の不定期刑」としている点が一番の問題ともいえます。情状酌量の余地のない案件に対して、年齢による酌量を認めてることが、運用上の問題であると思います。


その点では少年法の年齢対象ではなく、裁判所による年齢による酌量の結果、「死刑」や「無期懲役」の刑罰を与えてないことにあるわけで、この点を改正しない限りは、少年法の問題ではなく、裁判所の量刑判断の問題が大きいどころか本質であると思います。