明日は定休日となります。やはり定休日があると、区切りもあって更新も何とか出来ますが、更新をサボるとブログ主も読者も戻ってこれないような気がするし、ある程度定期的な更新は必要なのかもしれませんね。たまに折れそうな時もあるけどwww


今日はスエズ運河の件となります。


スエズ運河の座礁について

記事を紹介します。


スエズ運河遮断、長期化に懸念 「数週間」指摘も: 日本経済新聞


【カイロ=久門武史】国際海運の要衝、エジプトのスエズ運河で座礁した大型コンテナ船が航路を塞いでいる問題で、復旧作業の長期化に懸念が広がっている。座礁から3日近くになるが、解決のメドは立っていない。航路再開まで数週間かかる可能性を指摘する声が出ている。


台湾のエバーグリーン・マリンが運航するコンテナ船「エバーギブン」が座礁した現場では、25日も離礁させる試みが続いた。スエズ運河庁が接岸した船首の周りの土を重機で掘り、タグボートや土砂をさらうしゅんせつ船を投入した。エバーギブンの技術管理を担うベルンハルト・シュルテ・シップマネージメントは再浮上させる作業を実施したが、進展の情報はない。


座礁や衝突に遭った船を救助するサルベージ業界からは、早期の解決を疑う声も上がる。オランダのロイヤル・ボスカリス・ウエストミンスターのベルドウスキ最高経営責任者(CEO)は「数日から数週間」かかる可能性があると24日の蘭テレビ番組で述べた。座礁船を「砂浜の上の巨鯨」とたとえた。


エバーギブン(22万4千トン)は全長400メートル、全幅59メートルと世界最大級のコンテナ船だ。AP通信は25日、荷降ろしを迫られる可能性に運河庁当局者が言及したと伝えた。船を軽くするためコンテナを降ろすとなれば、さらに時間がかかるのは避けられない。


ロイター通信によると、早期の復旧に向け日本サルヴェージ(東京・大田)とボスカリス傘下の蘭スミット・サルベージが起用された。専門家集団の増強なしには、事態の打開が難しいことを示している。


スエズ運河庁は25日、作業完了まで運河内の通航を停止すると正式に表明した。再開の見通しは示していない。


スエズ運河はアジアと欧州を最短で結び、1日あたり50隻の船が通る海運の大動脈だ。運河通航の代理店によると、両端で待機する船は約150隻にのぼる。復旧に手間取れば、代替ルートを探る動きが広がりそうだ。世界の供給網への重荷になりかねない。


エジプトのスエズ運河で座礁した大型コンテナ船が航路を塞いでいる問題となりますが、復旧の目処がたっておらず、航路再開まで数週間は要するようです。


スエズ運河の地図は以下となります。スエズ運河は、地中海と紅海をつなぎ、アフリカ大陸を回らずにヨーロッパとアジアを海運で連結することが可能な人工運河で、海上交通の要衝の一つとされております。



Wikipediaは以下となります。


スエズ運河 - Wikipedia


座礁したコンテナ船「エバーギブン」に関する情報となります。


M.V. EVER GIVEN スエズ運河座礁事故に関して


 現地時間3 月23 日07:40 (日本時間 14:40) に、弊社が保有しておりますコンテナ運搬船M.V. EVER GIVEN が、中国からヨーロッパ方面へ向けてスエズ運河を北上中、荒天に遭遇しスエズ運河で座礁致しました。

 現地関係当局並びに船舶管理会社のBERNHARD SCHULTE SHIPMANAGEMENT と協力しながら離礁を試みておりますが、困難を極めている状況です。引き続き、離礁にむけて全力を尽くす所存で、事態の早期解決に向けて取り組んで参ります。

 本船の事故にともない、スエズ運河を航行中、航行予定の船舶、並びにその関係者の皆様に多大なご心配をお掛けしておりますこと誠に申し訳ございません。

 なお、この事故による乗組員の負傷及び現時点での油濁の情報はございません。


【本船要目】

船型 : 20,000TEU 積みコンテナ運搬船

全長 : 399.98 メートル

全幅 : 58.80 メートル

乗組員 : インド人25 名

船籍 : パナマ籍

竣工年 : 2018 年9 月


座礁したのは、台湾の長栄海運(Evergreen Marine Corp)が運航するパナマ船籍の「エバーギブン(Ever Given)」、船舶を所有しているのが正栄汽船株式会社、管理会社がドイツの船舶管理会社のBERNHARD SCHULTE SHIPMANAGEMENTといった関係となります。


運航:長栄海運

船籍:パナマ籍

所有:正栄汽船株式会社

船舶管理:ベルンハルト・シュルテ・シップマネジメント


座礁の様子は以下となります。



離礁させるのは相当な困難な作業になる可能性が浮上しております。

以下の記事を紹介します。運河内の高校停止による損害額は、毎時間で億ドル(約436億円)に上るようです。


座礁、毎時間436億円の損害 スエズ運河の航行停止で台湾紙 | 共同通信


 【台北共同】台湾紙、工商時報(電子版)は25日、エジプトのスエズ運河で座礁したコンテナ船を巡り、運河内の航行停止による損害額は単純計算で毎時間4億ドル(約436億円)に上ると報じた。


 台湾メディアによると、コンテナ船を運航する台湾の長栄海運の張衍義会長は交通部(交通省)に、操作ミスや不可抗力の原因により「船舶に損害を及ぼした場合」、責任は船主にあると主張する文書を提出した。


ここで操作ミスや不可抗力の原因により「船舶に損害を及ぼした場合」、責任は船主にあると書かれております。船主責任に関しては、以下の記事を紹介します。


これを見ると、座礁船の離礁にかかったサルベージ費用や船の修繕費用は、操船上の過失の有無にかかわらず、船主が負担する可能性が高いが、貨物の損害については免責となります。また、スエズ運河の設備ダメージについても、負担しないといけない可能性があるようです。


ここで船主と運行会社について紹介します。今回は以下のパターンになると思われます。


オーナー(船主)&オペレーター(運航会社)とは | 株式会社ハリソン産業因島



以下の記事を紹介します。


スエズ運河でコンテナ船座礁 今治の船主「作業は難航」|NHK 愛媛県のニュース


正栄汽船は今治造船のグループ会社で、船を海運会社に貸し出すいわゆる「船主」として国内の海運大手のほか台湾や香港の企業とも取り引きがあります。 愛媛県には海外に貸し出す外航船のオーナーが多く、「愛媛船主」は世界でも一定の存在感があるとされています。


今回の座礁による供給網リスクがどの程度になるか不明となりますが、世界経済にとって新たな懸念材料になる可能性もあり、一刻も早い復旧が必要となります。

北極海航路とチョークポイント

スエズ運河の「代替ルート」 ロシア、北極海航路をPR 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News


【3月26日 AFP】ロシアは25日、エジプトのスエズ運河(Suez Canal)で大型コンテナ船が座礁し、航路がふさがれている機会を捉えて、「代替ルート」として北極海航路(Northern Sea Route)をアピールした。


 日本企業が所有するパナマ船籍のコンテナ船「エバーギブン(Ever Given)」は23日、スエズ運河で砂嵐に巻き込まれて座礁。地中海と紅海(Red Sea)を結び、世界の海上貿易の10%以上を占める航路が遮断された。


 ロシア国営エネルギー企業ロスアトム(Rosatom)は25日、スエズ運河航路の代替ルートとして北極海航路を検討すべきだと主張した。


 ロシアは、北極海航路の開発に多額の投資を行ってきた。同航路を利用すれば、アジアまでの航海日数を従来のスエズ運河航路よりも短縮できる。


 気候変動による氷の減少を受けて、ロシア政府は北極海航路を使って石油やガスの輸出を計画している。


 ロシアの気象当局は25日、北極海航路の2020年の海氷量は「過去最低水準」だったと発表した。夏の終わりには海氷がほぼなくなる年もあるという。


スエズ運河の代替ルートとして、北極海航路があります。北極海航路の国土交通省の資料を紹介します。


○北極海航路の利用動向について

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ocean_policy/content/001359036.pdf



北極海航路の貨物輸送についてです。

メリットについて紹介します。


北極海航路がスエズ運河航路の代替ルートとして注目される理由は、2つのメリットにあります。1つめのメリットは、スエズ運河航路に比べて航行距離が短いこと。例えば、ロッテルダムから横浜までの航行距離は、スエズ運河航路が11,205海里のところ、北極海航路は7,345海里で、34%も短縮されます。そして2つめのメリットは、航路上の難所=チョーク・ポイントがないことです。スエズ運河航路にはバーブ・アルマンデブ海峡(紅海からアデン湾に抜ける海峡)、およびマラッカ海峡というチョーク・ポイントがあり、海賊などのリスクを伴うことが知られています。


但し、コスト面が高価なのと、耐氷船の設備もそうだし、氷海特有の知識などが必要となることから、船員を用意することが難しいなどといった課題もあって、現在のところは一部の利用に限られているのが現状となります。




北極海航路もこういった形で活用もされております。

ロシアとしては、スエズ運河航路の代替ルートとして北極海航路を検討といった形で動いておりますが、どうやらこの航路はとある界隈にとって都合が悪いようです。

意訳すると、ロシアガーでもいいのですが、航路上の難所=チョーク・ポイントがないといったのが、ある意味問題になってくると思われます。チョークポイントはWikipediaを紹介します。


チョークポイント - Wikipedia


チョークポイント(英: choke point)とは、海洋国家の地政学における概念のひとつであり、 シーパワーを制するに当たり、戦略的に重要となる海上水路をいう。 見方を変えれば、例えば、シーレーン防衛において、重要な航路が集束している部位であったり、あるいはスエズ運河やパナマ運河など、水上の要衝を意味する。ボトルネックという語で表されることもあるが、重要なのは、チョークポイントは水上航路のみを指す概念である点である。よって、陸上は含まず、海峡や運河、場合によっては港湾など、もっぱら水運の要衝を指す語である点に注意すること。


こちらの記事も参考になると思います。


チョークポイント


代表的なところは以下となります。



スエズ運河の他に、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、パナマ運河などが重要なチョークポイントとなります。


他のチョークポイントについては以下の記事を紹介します。


スエズ運河については、中国が投資先として活発になっております。


チョークポイントが一種の利権につながるのがわかるかと思います。利権を考える上では、チョークポイントが不安定であればあるほどいい部分もありますし、北極海航路みたいなチョークポイントを迂回する航路が出来るのは、利権がロシアにいくことを意味することになるので、その点からも都合が悪いといった一面も出てきます。