この2週間がいろんな意味で山場になりそうです。

自称徴用工問題

徴用工問題、迫る韓国の回答期限 仲裁委の開催応じるか | 共同通信

 日本企業に賠償を命じた韓国人元徴用工訴訟問題の解決に向け、日本政府が日韓請求権協定に基づき韓国政府に求めた仲裁委員会の開催に応じるかどうかの回答期限が18日に迫っている。期日までに韓国が受け入れる可能性は低いとみられる。返答がない場合、日本は仲裁委を開くための次の手続きを韓国に提案する方針だ。今後も膠着状態が続く見通しだ。

 韓国が応じないのを半ば織り込んで手続きを進めるのは、差し押さえられた被告企業の資産が売却され、実害が発生するのを容認しない政府の姿勢を示す狙いがある。文在寅大統領は今月28、29日の20カ国・地域首脳会議で来日する予定。
自称徴用工問題の仲裁委員会の開催の回答期限は明日の18日となっております。この辺は過去記事を紹介します。

徴用工訴訟と仲裁委員会の件-ぱよぱよ日記

日韓請求権協定に関するざっくりとした流れは以下となります。


6/18までに仲裁委員会の設置に応じない場合は、仲裁委を開くための次の手続きとなる第三国の政府が指名する仲裁委員による手続きを30日以内に行う必要がありますので、この手続きをどのようなタイミングで行うかにもよりますが、最短で7/18以降には、ICJの提訴の手続きは可能となります。

最終的にはこれに応じない限りは、日韓との話し合いが行われることはないでしょうし、韓国としても日本と会談というのはリスクしかありませんし、日本側も現状からして下手な譲歩は命取りでしかないし、日本側も公式のテーブル以外での話は行う必要はない(防衛関係だけは少しだけ事情が異なる)ので、この件は次の仲裁手続きに進みながら、時間をかせぐことになると思われます。最も何もしないのが経済制裁になってる状況で、下手に刺激をする必要もないですしね。

香港デモの件

香港のデモ、200万人参加 過去最大 高まる行政長官辞任圧力(1/2ページ) - 産経ニュース

 【香港=藤本欣也】中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正問題をめぐり混乱が続く香港で16日、香港政府トップの林鄭月娥(りんていげつが)行政長官の辞任などを求める大規模デモが行われた。林鄭氏は15日、改正案の立法会(議会)審議を延期すると発表したが、市民の反発は収まらず、林鄭氏の辞任を求める声が高まっている。

 この日のデモには主催者発表で約200万人が参加。香港の全人口の4人に1人以上が参加した計算になり、103万人(主催者発表)の9日のデモを上回る過去最大になった。

 デモ隊は16日午後、ビクトリア公園を出発、政府本部庁舎のある中心部を目指した。途中の側道からも市民が続々と合流し、あっという間に幹線道路は人で埋め尽くされた。

 市民らが行進しながら要求していたのはまず、改正案の審議延期ではなく「完全な撤回」だ。

 民主化運動を支援する歌手の何韻詩(デニス・ホー)さん(42)もデモに参加し、「最近の(改正反対)運動の特徴はリーダーがいないこと。みんな自発的に行動していて、とても感動している」と語った。
デモの画像はこんなところです。


「逃亡犯条例」の改正は延期となりましたが、デモの収拾はつかないことからも、林鄭月娥行政長官の辞任の圧力になると思います。ここで以下の記事を紹介します。

澁谷 司の「チャイナ・ウォッチ」 -212- 「上海閥」が勝利した香港行政長官選挙


香港は「習近平派」と「江沢民派」の間での権力闘争の場となっておりますが、2年前の行政長官の選挙ですが、上海閥の林鄭月娥氏が勝利しましたが、この長官が失脚する可能性が高いとなれば、習近平派としても正念場でもあるのと同時に、この件で持ちこたえることができれば、中国共産党内部最終決戦の戦況にも影響することを意味します。
デモの過激な弾圧による中国政府への非難の動きにならなかったことによって、その後の流れとしては、中国政府についても、「逃亡犯条例」の改正の延期を支持する動きを見せたことからも、次の行政長官が誰になるのかというのが重要になると思われます。

中国政府、香港の延期決定支持 | 共同通信

その点では中国政府としても、「逃亡犯条例」の改正の意向はあるかもしれませんが、そこまで言うほど優先順位は高くないのかもしれませんね。このデモを通じて、習近平の失脚を目論んでたと思いますが、その目論見は失敗に終わりそうな感じですかね。

イラン関係

関係諸国の目論見もあって錯綜としております。
米大統領、タンカー攻撃巡りイランを非難 中国・EU自制呼び掛け - ロイター

[ドバイ/ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は14日、ホルムズ海峡に近いオマーン沖で前日に発生した石油タンカー攻撃について、イランを非難した。イランは関与を否定しているが、原油輸送の要衝である同海域での緊張の高まりが懸念されている。

攻撃を受けたのはノルウェーのフロントラインが所有する「フロント・アルタイル」と、国華産業(東京都千代田区)が運航する「コクカ・カレイジャス」(船籍パナマ)で、米軍は13日、オマーン沖で攻撃を受けた日本の石油タンカーの側面からイラン革命防衛隊が不発機雷を取り除いている場面とする映像を公開。取り除く前の機雷とみられる写真も公開した。

トランプ大統領はこの日、フォックス・ニュースに対し「イランが関与した。(イランの)船舶が目撃されているため、そう判断できる」と指摘。中東でのタンカー攻撃は「イランの仕業に間違いない」とした上で「あちこちにイランの特徴がうかがえる」と述べた。こうした事態の再発防止に向けた措置に関する質問に対しては「様子を見たい」と述べるにとどめたものの、ホルムズ海峡の閉鎖に向けたいかなる動きも長続きしないと述べた。

ただ同時に、いつでもイランと対話する用意があるとの考えも表明。「イランには交渉の席に戻ってきてもらいたい。いつでも準備ができている」と語った。(中略)

今回の攻撃は安倍晋三首相のイラン訪問中に発生。安倍首相とトランプ大統領はこの日、電話会談を行い、タンカー攻撃への対応などを巡り協議した。米ホワイトハウスによると、トランプ大統領はイランとの対話に向けた安倍首相の尽力を感謝すると表明した。

前日は一時約4%上昇した北海ブレント先物LCOc1は、この日は約1%高で清算。船舶保険会社によると、中東近辺の海域を航行する船舶の保険料は攻撃後、少なくとも10%上昇している。
各国の立場は以下となります。

米がイラン包囲へ攻勢 攻撃「証拠」次々、英が足並み (写真=AP) :日本経済新聞


トランプ大統領の発言を見る限り、「イランの仕業に間違いない」とありますが、慎重な対応と対話の用意はあるといった感じの表明をしております。恐らく、イランがタンカーを襲撃したのは事実となりますが、日本関係のタンカーを狙って襲撃したということについての断定は難しいのですし、その点では誤算があったのかもしれません。

今回の襲撃はテロ組織に指定されている「革命防衛隊」の可能性が高いですが、日本関係のタンカーであったことは計算違いだった可能性もあるのと、そもそも「革命防衛隊」がイラン政府によって統率が行き届いてるわけでもないことからも、対応に苦慮しているのが現状のように思います。

最も日本政府の対応が冷静ということもあるのもありますが、今回の襲撃によって、逆にイランはアメリカとの対話の選択肢も視野に入れる必要が出てきてるように思います。その点では、イランとの対話の道に繋がるかもしれません。