まずはこちらから。

安倍首相の中東歴訪について

今回の中東歴訪については、米軍によるイラン司令官殺害を受けて高まっていた中東情勢の悪化に警鐘を鳴らすのと、緊張緩和を目的としている部分もありますが、それだけが目的ではないのは言うまでもないです。

今回歴訪したサウジアラビアとUAEとオマーンの位置をGoogle MAPで紹介します。

この三国の位置が重要であるかということは分かると思います。


因みにチェックを入れてるのがホルムズ海峡となります。ここを抑えられると大打撃となりますので、その点からも、自衛隊の情報収集と周辺国の協力が必要ですので、だからこそ今回の歴訪先となったわけです。


ムハンマド・アブダビ皇太子との会談は以下となります。
安倍総理大臣とムハンマド・アブダビ皇太子との会談 | 外務省

1 冒頭,安倍総理から,UAE側の心温まるおもてなしへの謝意を述べた上で,本年はドバイ万博別ウィンドウで開くと東京オリンピック・パラリンピックが開催別ウィンドウで開くされる両国にとって記憶に残る重要な年であり,両国の人的交流が一層盛んになることを期待する旨述べました。これに対し,ムハンマド皇太子は,友人である安倍総理のアブダビ再訪を心から歓迎する,UAEは日本との関係を最重視している,日本の五輪の成功に向け協力したい旨述べました。

2 両者は二国間関係について意見交換を行い,安倍総理から,UAEによる石油の安定供給に謝意を表明の上,「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)(PDF)」の下,両国の戦略的パートナーシップを一層強化したい,この観点からUAE国民に対する旅券の事前登録を不要とする完全なビザ免除措置を導入する方針を伝達しました。これに対し,ムハンマド皇太子から深い謝意表明があり,二国間の人的往来が一層活発化していくことへの期待が示されました。また,石油,防衛等を含む幅広い分野で協力を一層深化させていくことを確認しました。

3 続いて,両者は,緊迫の度を高める中東情勢を踏まえ,緊張緩和と情勢の安定化に向け意見交換を行いました。安倍総理から,中東情勢が緊迫の度合いを高める中,日本は中東地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて粘り強い外交努力を継続していく,UAEとも連携の上,役割を果たしていきたいと述べました。これに対し,ムハンマド皇太子より,中東地域の緊張の高まりに対する憂慮を共有,地域の緊張緩和に向けた日本の外交努力を評価している旨の発言があり,両者は地域の平和と安定に向け,引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

4 また,安倍総理から,日本関係船舶の安全航行の確保を目的とした自衛隊による情報収集を行うことを説明したのに対し,ムハンマド皇太子から,日本の海洋安全保障に対する取り組みを歓迎する,UAEは沿岸国として日本の活動に関する具体的な協力や支援を惜しまない旨述べました。

5 また,両者は,東アジア及び中東の地域情勢について意見交換を行いました。
こちらも重要です。

日本関係船舶の安全航行の確保を目的とした自衛隊による情報収集を行うことについて取り組みを歓迎し、UAEとしても日本の活動に関する具体的な協力や支援を惜しまないと述べたようです。この点についても、サウジアラビアとも一致しております。

あとはUAEから要望のあった旅券の事前登録を不要とする完全なビザ免除措置の方針も決まったようですね。あとは「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ」の下、戦略的な関係を構築することも重要ともいえます。


オマーンは以下となります。

安倍総理大臣とアスアド・オマーン国際関係・協力担当副首相兼国王特別代理との会談 | 外務省

こちらは以下の記事を紹介します。
オマーンのアスアド国王代理は安倍首相に対し、自衛隊の中東派遣について「高く評価し、協力したい」と述べた|ARAB NEWS

日本の安倍晋三首相は、オマーンのスルタンのハイサム・ビン・ターリク・アル・サイードと会談し、逝去したスルタンのカブース・ビン・サイードに死去に哀悼の意を表した。

オマーンのアスアド国王代理は安倍首相に対し、自衛隊の中東派遣について「高く評価し、協力したい」と述べた(マスカット時事)
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日本としては、オマーンがペルシャ湾の入り口に位置し、地政学的に重要であることから、オマーンを自衛隊ミッションの供給基地にすることを検討している。
オマーンについても、自衛隊の中東派遣について「高く評価し、協力したい」と延べております。オマーンは地政学的に重要であることから、オマーンを自衛隊ミッションの供給基地にすることも検討しており、中東派遣において重要なポイントとなる国となります。

今回歴訪した三カ国に対して、自衛隊の中東派遣について評価して、協力をとりつけてから、経済や人材交流なども踏まえて建設的な話が出来たわけで、今回の歴訪による成果は大きかったと思います。だからこそ、フェイクニュースを流して中止させたかったのではないかと邪推しておりますwww

韓国の検察改革と文在寅大統領

検察の捜査指揮権66年で廃止 警察に権限一部委譲=韓国国会で関連法可決 | 聯合ニュース

【ソウル聯合ニュース】韓国国会は13日の本会議で、刑事訴訟法改正案と検察庁法改正案を賛成多数で可決した。検察の権限の一部を警察に委譲する両法案が可決されたことで、警察は第1次捜査権と捜査の終結権が付与され、捜査における裁量権が大幅に増えた一方、検察は捜査指揮権の廃止により権限が縮小される。検察の捜査指揮権は1954年に刑事訴訟法が制定されから66年で廃止となる。

 従来の刑事訴訟法では検事を捜査権の主体とし、司法警察官は検事の指揮を受ける補助者と規定されていた。同法の改正で検察と警察の関係はこれまでの「指揮」から「協力」に変わる。

 また、警察をもう一つの捜査主体と規定し、警察に第1次捜査権と捜査の終結権を付与する。警察は嫌疑が認められる事件のみを検察に送致し、嫌疑が認められないと判断した事件は終結できるようになる。

 事実上、制限のなかった検察の直接捜査範囲も制限される。検察が直接捜査する事件は、腐敗犯罪、経済犯罪、公職者犯罪、選挙犯罪など大統領令が定める重要犯罪などに限定される。

 政治家・政府高官らの不正を捜査する「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」設置法案に続き今回2法案が可決されたことで、文在寅(ムン・ジェイン)政権が目指す検察改革に関する立法は完了した。
文在寅大統領も何とか検察改革の立法までこじつけることが出来ました。ボロボロになりながらも、ここまで持っていった力量は素直に認める部分だと思います。

韓国の検察の問題について、以下の記事を紹介します。
検察の捜査権縮小 韓国法相が検察改革案 (写真=共同) :日本経済新聞

韓国の検察は捜査指揮権や起訴権などの権限が集中する一方、外部によるチェック機能も働きにくく、強力な権力機関になっている。組織維持のため政権の意向に沿って政敵を捜査するなど、政治との癒着も問題視されてきた。歴代大統領の多くは退任後に検察の捜査を受け、李明博(イ・ミョンバク)氏、朴槿恵(パク・クネ)氏は実刑判決を受けた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏も親族の不正資金疑惑で検察の事情聴取を受け自殺した。
検察改革の具体案をまとめたのが前の法相の曺氏だったのもあって、潰されたわけですが、日本のメディアでも取り上げられてたというのは、この人は都合が悪かったことを暗に意味してるわけですねwww

韓国の検察は権限が集中しており、強力な権力機関となっており、組織維持のために政権の意向やそれとは関係ない部分で捜査するなどの問題もあって、韓国の歴代大統領の伝統行事も検察の権力が政治よりも強すぎることに起因しており、韓国の政治が弱い理由の一つともいえます。今回の法案を通過させたことで、検察が弱体化して警察の機能が強化されることになります。

余談だが、韓国の検察についても日本と一緒で、東京地検特捜部がGHQの出先機関というのはありましたが、普通に考えて、韓国の検察が完全に独立していると考えるほうが不自然です。そういう意味では、今回の検察改革はかなり大きいと思いますよ。


あとは文在寅大統領について少し・・・。

まずは文大統領の新年の演説について紹介します。

見出しや説明が酷いが「文在寅大統領2020年新年演説全文」を見れば印象が少しは変わると思います。あくまで演説の内容による判断であることはお察しください。

経済政策の箇所を見ると、主張そのものは安倍首相の影響もあるような感じの内容となっております。交通事故、産業災害、自殺を予防する国民生命を守る3大プロジェクトについても、取り組みの成果も出ているように見受けられます。

あとはこちらについても触れておきます。

「日本は最も近い隣国です。両国間協力関係を一層未来志向的に進化させていきます。日本が輸出規制措置を撤回するならば、両国関係がより一層早く発展していくことができるでしょう。」

これをどう読み解くかですが、イランと北朝鮮情勢、韓国財閥などの問題が解消出来れば、輸出管理の機能もある程度機能するので、韓国の輸出管理が機能すれば、緩和されるだろうし、これは外的要因次第での発言のようにも思います。あとは手続きが適正とみなされて、フッ化水素の輸出も再開されております。

先日の日中韓サミットの共同文書の取り組みの実現に向けて動くのがベストでしょう。

第8回日中韓サミット | 外務省

一応過去記事も紹介します。

日中韓サミットについて-ぱよぱよ日記

関係を切り捨てるのは簡単ですが、出来る限りは健全な関係への道筋を残すべきだし、様々な努力をした結果、本来の関係を築けないと明らかになるまでは、建設的な協調関係を築くための努力を双方で歩み寄って続ける姿勢こそが重要だと思います。


最後に徴用工問題に関する安倍首相のコメントを紹介して締めとさせていただきます。

安倍首相「日本企業の資産現金化は明白な請求権協定違反」(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース

日本の安倍晋三首相は12日、徴用判決と関連して差し押さえられた日本企業の資産が韓国で売却(現金化)される可能性に対し、「1965年の請求権協定に明白に違反する行為」と話した。

安倍首相はこの日午前に放映されたNHK「日曜討論」に出演しこのように明らかにした後、「日韓関係はそうした行為をしないという約束の中でこれまで築き上げられてきた。日韓関係の基礎である基本条約と請求権協定をしっかりと守ることを(韓国側に)強く求めていきたい」と話した。

これに先立ち安倍首相は「事態打開の道筋をどう付けていくのか」という司会者の質問に、「問題があるからこそ対話をおこなわなければならない。日韓関係をなんとか改善したいと考えている」と述べた。

だがすぐに「日韓関係の基礎は65年の日韓基本条約と請求権協定。請求権協定が守られていない、国と国との約束が守られていない状況を変えてもらう必要がある」とした。

続けて「国と国として付き合っていく上においては約束が守られないのであれば、付き合っていくことはできない。そうしたきっかけを(韓国側が)しっかりと作っていただくことを強く求めたいし、先般の首脳会談でも(文在寅大統領に)そのことを申し上げた」と強調した。
「問題があるからこそ対話をおこなわなければならない。日韓関係をなんとか改善したいと考えている」というのと同時に、「国と国として付き合っていく上においては約束が守られないのであれば、付き合っていくことはできない」とも強調したようです。「なんとか改善したい」という意味ですが、個人的にこの言葉を選ぶときは、期待薄の場合に使う言葉のような気がします。

日中新時代も一緒なのですが、日中韓の関係は重要だからこそ、今までの枠組みに囚われないような新しい関係構築というのが狙いであって、そのためには双方の歩み寄りが必要ですし、「約束が守られないなら、付き合っていくことは出来ない」という言葉というのは、安部首相なりの最後のチャンスを意味していそうな気がします。