検察庁法改正案??についてです。そんな法案があるかはさておき・・・。

「#検察庁法改正案に抗議します」投稿広がる 380万超に | NHKニュース

検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案について、ツイッター上では、9日夜から10日にかけて、俳優や演出家などの著名人による抗議の投稿が相次ぎ、同じハッシュタグをつけた投稿が10日午後の時点で380万件を超えるなど、広がりを見せています。

検察官の定年を段階的に65歳に引き上げ、内閣が認めれば定年延長を最長で3年まで可能にする、検察庁法の改正案は、今月8日から衆議院内閣委員会で審議されています。

これについて、ツイッター上では、9日夜から10日にかけて、俳優や演出家、漫画家などの著名人による抗議の投稿が相次ぎ、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグをつけた投稿は10日午後3時半の時点で380万件を超えるなど、広がりを見せています。

このうち演出家の宮本亞門さんは「このコロナ禍の混乱の中、集中すべきは人の命。どうみても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは、日本にとって悲劇です」と投稿しているほか、俳優の井浦新さんは「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい」と訴えています。

検察官の定年延長をめぐっては、政府がことし1月、これまでの法解釈を変更して東京高等検察庁の黒川検事長の定年を延長し、野党側や日弁連=日本弁護士連合会などから批判が相次いでいて、今後の法案の審議の行方が注目されています。
一部が騒いでるだけの話ですが、この法案の内容知ってるんですかね??正式名称は、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」となります。

第201回 通常国会|内閣官房ホームページ

概要(PDF/121KB)
要綱(PDF/143KB)
法律案・理由(PDF/697KB)
新旧対照表(PDF/928KB)
参照条文(PDF/397KB)

公務員の定年を段階的に65歳に引き上げるための法案で、検察官の場合は「検察庁法」に定められており、防衛省の職員については、「防衛省の職員の給与等に関する法律」によって、定められていることが目的の法律というだけの話です。施行日は令和4年4月1日なので、2年後から施行されるということだけの話です。

検察庁法

防衛省の職員の給与等に関する法律

法案の背景は、「高年齢者雇用安定法」の改正にあります。

高年齢者雇用安定法の改正~「継続雇用制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みの廃止~|厚生労働省

65歳定年制とも言われており、公務員の定年延長については、こういった背景があるわけで、それ以上でもそれ以下でもありません。

定年延長に関する法改正等の動向|メディア


議案を提出したのも、国民民主党の後藤祐一議員のようですし、実はそれ以上でもそれ以下の話ではないです。

衆法 第196回国会 30 国家公務員法等の一部を改正する法律案


一応後藤議員のWikipediaを紹介しときます。

後藤祐一 - Wikipedia


余談になりましたが、この法案は公務員の定年を延長するための法案で、関連している法案が多岐にわたっており、その中に検察庁法が含まれてるだけの話です。

今回の問題については、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」とは異なる別の思惑で動いております。

日弁連のコメント。
日本弁護士連合会:検事長の勤務延長に関する閣議決定の撤回を求め、国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明

政府は、本年1月31日の閣議において、2月7日付けで定年退官する予定だった東京高等検察庁検事長について、国家公務員法(以下「国公法」という。)第81条の3第1項を根拠に、その勤務を6か月(8月7日まで)延長する決定を行った(以下「本件勤務延長」という。)。
(中略)
よって、当連合会は、違法な本件勤務延長の閣議決定の撤回を求めるとともに、国公法等の一部を改正する法律案中の検察官の定年ないし勤務延長に係る特例措置の部分に反対するものである。
これについては、共産党界隈の自由法曹団も動いておりますねw

2020年3月5日付、法律家団体9団体による「東京高検検事長黒川弘務氏の違法な任期延長に抗議する法律家団体共同声明」を発表しました | 自由法曹団ホームページ

国家公務員法の81条の3の記載は以下となります。
国家公務員法

第八十一条の三 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。

今回の勤務延長は、検察官も一般職の国家公務員ということで、検察庁法に定められてる特例以外に、国家公務員法が適用される関係となることから、法解釈変更によってこの手続が行われました。
東京新聞:首相、定年延長「解釈変更」 国家公務員法 検察官に適用:政治(TOKYO Web)

 国家公務員法の定年制が検察官に適用されないとした人事院幹部による一九八一年の国会答弁に関し、立民の高井崇志氏から認識を問われ、首相は「当時、検察庁法により適用除外されていると理解していたと承知している」と認めた。

 一方で「検察官も一般職の国家公務員であるため、今般、検察庁法に定められている特例以外には、一般法の国家公務員法が適用される関係にあり、検察官の勤務(定年)延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした」と述べ、法解釈変更に言及した。
黒川弘務東京高検検事長の定年延長と関連付けさせて騒いでるだけで、この解釈変更という手続きについての問題といった要因が大きいのと、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」とには、この人は含まれないので、切り離して考えてください。

因みに定年延長そのものについては、野党も別に反対ではないんだよね。

一応、NHKの特集記事を紹介しときます。

となると、黒川弘務東京高検検事長がどのような人かというのも一つの鍵です。この記事を見れば、ある程度見えてくると思います。

この人は、共謀罪法案、入管法改正案などを取り仕切った人物で、そういった意味でも実に都合が悪い人物といったところなのでしょう。こういった人物が検事総長になってもらうと困る方々がいるというのが背景にあります。

実際問題、検察の論理としては、林真琴・名古屋高検検事長を検事総長にしたいとする動きのようですが、黒川氏本人も特にその気があるかは不明です。

ここで検事総長について触れておきましょう。

検事総長 - Wikipedia

検事総長は東京高等検察庁検事長の次のポジションで、弁護士が占めてる傾向が強いようです。人事の通例だと、今の稲田伸夫検事総長もそろそろ入れ替えの時期で、次は黒川弘務東京高検検事長というのが通例となります。そこに定年の延長についても、法務省の人事という意味合いでは、法務省内の通例に従った対応の可能性が高いです。とはいえ、法務・検察が描く次期検事総長の本命は、同期の林真琴・名古屋高検検事長のようですので、省内の派閥争いみたいな感じで起きた話ともいえますね。

背景としてあるのは、この人事も鍵となります。

そして、稲田伸夫氏については、こんな記事もありました。

《罪深きはこの官僚》 稲田伸夫(法務省刑事局長) | 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』- 選択出版

記事を見ると、刑事検察の守護者とあり、検察改革を骨抜きにしたとあります。そういった意味では、法務省内の1つの論理として、検察改革はされたくないといった意思があるのと、現状維持を望んでるということだけは確かですね。だからこそ、政権を敵に回しても、検察庁を現状維持したいというところも、この件の背景にあるかもしれませんね。

法務省内の主導権争いと検察庁、そして弁護士界隈の意向からの騒動といったのが、この件の背景にありますが、これに政権の意向で動いてるとは限らないように思います。