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検察官定年延長の背景について

検察官定年延長の改正案反対拡大 誤解や曲解に検察困惑 対応次第で火種に - 産経ニュース

 検察官の定年を延長する検察庁法改正案をめぐり、著名人が相次いでツイッターで抗議の意思を示したのをきっかけに反対論が急速に広がった。誤解や曲解も多いが、対応を誤れば安倍晋三政権への打撃となる恐れも出ている。(大島悠亮、市岡豊大)

 「改正案は検察官の独立性を害するものではない」

 首相は12日の衆院本会議でこう述べ、恣意(しい)的な人事への懸念を重ねて否定した。改正案は現在63歳の検察官の定年を65歳まで段階的に引き上げ、幹部の定年は政府が認めれば最長3年まで延長できるようにする内容。3月13日に国会に提出したが、5月9日以降、「#検察庁法改正案に抗議します」との投稿がツイッターで急速に拡大した。

 反対意見の中には「恣意的な人事で三権分立が脅かされる」との指摘がある。人事権を握られた検察が政権に忖度(そんたく)し、捜査の独立性が保てないという理屈のようだ。だが、そもそも検察は行政機関であり、検察官は国家公務員。現行制度でも検事長以上の人事は内閣に任命権がある。

 検察幹部は「検察は行政機関の一つであり、三権分立の問題にはならない」とあきれる。「事件処理と人事は別ものだ。検察の独立性が保証される一方、政権が人事権を持つことで均衡を取るのが憲法秩序だ」とも指摘する。検察組織は強い捜査権と起訴の権限を持つ。だからこそ、検察の独立性を保つと同時に、政権が人事権を持つことで独善も防ぐという絶妙なバランスを保つ仕組みだ。

 「政権に近い」とされる黒川弘務・東京高検検事長の定年延長と絡めた批判も多い。ただ、黒川氏の定年延長は1月に閣議決定済みで、直接関係ない。成立した場合の施行日は令和4年4月1日で、今年2月に63歳となった黒川氏は施行時に65歳を超えている。

 黒川氏は、自民党議員も逮捕されたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐる汚職事件の捜査も指揮。「政権に近い」の根拠は曖昧だ。野党は抗議のツイッターについて「約500万の驚異的なリツイートがあった」(立憲民主・福山哲郎幹事長)と強調するが、組織的な大量投稿の可能性も指摘されている。

 ただ、自民内では「政権への反発は高まっている。うまく対応しないと後でボディーブローのように効いてくる」との声が出ている。定年延長は人事院勧告を受け約2年前から議論されてきたが、黒川氏の定年延長決定時の政府対応が批判を招いたこともあり、火種となる可能性もある。
過去記事を紹介します。殆ど書いてると思いますが・・・。

検察庁法改正案(笑)-ぱよぱよ日記

この件だけど、殆どが意図的な誤解と曲解であって、検察が一番当惑してると思います。元々、国家公務員の定年延長については、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」にありますが、検察官は「検察庁法」、防衛省の事務官は「防衛省の職員の給与等に関する法律」の法律にまたがるので、これらを纏めて改正というのが、改正の意図となります。

現行制度でも検事長以上の人事は内閣に任命権があり、「恣意的な人事で三権分立が脅かされる」のであれば、既に脅かされてると思いますし、現にそうはなっていません。これについて、検察幹部は「検察は行政機関の一つであり、三権分立の問題にはならない」というのはその通りだと思います。検察組織は強い捜査権と起訴の権限を持ってるため、検察が強すぎなくしないため、政権が人事権を持つなどでバランスが保ててる状況です。

黒川弘務・東京高検検事長ですが、共謀罪や入管法改正などにも関わっており、法務官僚としての評価は高いというのは事実ですが、自民党議員も逮捕されたIRの汚職事件も担当しており、政権に近いかと言われるとそうでもなく、中立の人物という評価ですがね。

「約500万の驚異的なリツイートがあった」とありますが、これの殆どがスパムですし、380万超のものが31万ツイートに激減したようですねwww

【w】NHK7時「#検察庁法改正案に抗議します 投稿広がる 380万超」→ スパム消滅で一気に激減wwww | もえるあじあ(・∀・)

あとはこちらの記事を紹介します。

須田慎一郎氏、2月に「黒川検事長が定年延長なく引退すれば、朝日新聞と親しい名古屋高検検事長が検事総長になる予定だった。これからメディアの官邸攻撃が酷くなるだろう」 | もえるあじあ(・∀・)

ここで検事総長について触れておきます。

検事総長 - Wikipedia

重要なのは、「検事総長は1960年代以降は検察官の出世ルートのトップとして事実上の人事運用がされており、1983年以降は東京高等検察庁検事長から起用される慣例になっている」の部分です。そういう意味では、東京高等検察庁検事長にいないと、検事総長にはなれないと見ていいです。他には刑事局長を経験しておく必要があります。

検事総長になるためには「刑事局長&東京高等検察庁検事長」は必要条件、あとは学閥もありますが、東京大学法学部出身というのも条件となってきます。逆を言えば、省庁という組織からして、このルートに入らない人は検事総長になることはまずあり得ないといったところになります。

となると、林真琴・名古屋高検検事長を検事総長にというのは、法務省の組織的にあり得ないです。そして、黒川氏を東京高検検事長にした地点で、実質的に林氏の検事総長の可能性はなくなってたわけですね。

ここで今の検察総長ですが、2018年7月の就任で大体2年程度で交代するのが通例ですし、人事のルールは維持することから、黒川氏の定年の前に交代というのが、法務省内の既定路線だった可能性が高いです。異例とも言える定年延長の背景は、去年の年末のゴーン氏の逃亡が背景にあるかもしれません。検察に目を向けられることになったことで、この件とは無関係の人事で、円満交代とするために時間が必要となったのが理由の1つだと思います。なので、今回の措置については、政権の判断はなく、法務省側の事情によるものと考えるのが自然です。ある意味、この手のでっちあげによって、法務省もかなり迷惑してるのではないかと思いますよ。

日弁連などの対応について

日本弁護士連合会:改めて検察庁法の一部改正に反対する会長声明

当連合会は、本年4月6日付けで「検事長の勤務延長に関する閣議決定の撤回を求め、国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対する会長声明」を公表し、検察庁法改正法案を含む国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対した。

検察庁法改正法案によれば、内閣ないし法務大臣が、第9条第3項ないし第6項、第10条第2項、第22条第2項、第3項、第5項ないし第8項に基づき、裁量で63歳の役職定年の延長、65歳以降の勤務延長を行い、検察官人事に強く介入できることとなる。

当連合会は、検察官の65歳までの定年延長や役職定年の設定自体について反対するものではないが、内閣ないし法務大臣の裁量により役職延長や勤務延長が行われることにより、不偏不党を貫いた職務遂行が求められる検察の独立性が侵害されることを強く危惧する。「準司法官」である検察官の政治的中立性が脅かされれば、憲法の基本原則である三権分立を揺るがすおそれさえあり、到底看過できない。少なくとも当該法案部分は削除されるべきである。

しかしながら、政府及び与党は、誠に遺憾なことに、検察庁法改正法案を国家公務員法改正との一括法案とした上で衆議院内閣委員会に付託し、法務委員会との連合審査とすることすらなく、性急に審議を進めようとしている。5月7日に開催された内閣委員会理事懇談会の結果からすると、まさに近日中に開催予定の内閣委員会において本法案の採決にまで至る可能性もある。そもそも、検察庁法の改正に緊急性など全くない。今般の新型インフルエンザ等対策特別措置法上の緊急事態宣言が継続する中、かくも重大な問題性を孕んだ本法案について、わずか数時間の議論だけで成立を急ぐ理由など皆無である。

当連合会は、改めて当該法案部分に反対するとともに、拙速な審議を行うことに強く抗議する。
日弁連の会長声明ですが、現状でも検事長以上の人事は内閣に任命権があり、その仕組みは今回の法改正で変わるわけではないし、何を問題視してるのか不明です。検察組織は強い捜査権と起訴の権限を持っているのと引き換えに、検事長以上の人事は内閣に任命権があるから、「検察の独立性を保つと同時に、政権が人事権を持つことで独善も防ぐ」といったバランスが取れております。

日弁連は監督官庁もなく、弁護士法によって日弁連に独善性があるので、こういった考えになると言われたら、違和感はないとは思いますがね(笑)最も、新型インフルエンザ等対策特別措置法などと、国会の法案の審議は関係ありませんし、一括法案というのが正しいかは別にしても、ただの定年延長にしか過ぎませんし、内閣の人事権は、全国8箇所の高等検察庁の検事長と検事総長の9名のみですし、ここに変更がない以上、これ以上人事に介入できるとは思わないのですが・・・。

最も、何で弁護士会が検察に口をだすのかというのがよくわかりませんし、そもそも弁護士会として、検察や裁判所について、口を出す資格があるのかは疑問です。司法関係者として、弁護士も検察も裁判所も、組織的にグルであるといった方が、よっぽど三権分立というか、司法としての機能として大問題だと思いますが・・・。

それ以上にヤバいのがこれwww

2020年3月24日、法律家6団体連絡会・総がかり行動実行委員会「東京高等検察黒川弘務検事長の定年延長に関する閣議決定の撤回と黒川検事長の辞職を求め、検察庁法改正案に反対する共同声明」を発表しました | 自由法曹団ホームページ

自由法曹団は共産党関連組織の司法関係の団体です。

自由法曹団 - Wikipedia

・赤旗
改憲阻止へたたかう/自由法曹団が総会

・総がかり行動実行委員会
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

総がかり賛同者一覧

あとはこんなのも出てきてますね(笑)

あとはここらへんも・・・。

ただ、今回の騒動でいろんな芸能人(自粛効果もあるのかw)が釣れており、国会デビューした方もいらっしゃるので、そういった意味でも、変なコメントを避けることをオススメしますよwww

堀江氏の発言と特捜部について

ホリエモンが断言「検察は正義の味方ではない」 | 東スポ

 実業家の堀江貴文氏(47)が12日、自身のツイッターを更新。「『#検察庁法改正案に抗議します』とか言ってる奴ら全員見ろ」と、自ら意見する動画を添えて「何一つ民主的プロセスを経ないで権力を手にした検察官が正義の味方と信用してしまってる奴らはキムタクのドラマの見過ぎ笑」と投稿した。

 動画では検察の歴史を説明した上で、検察人事は実際は検察内で決めたことを追認しているだけだと指摘。今回、内閣が人事に関与したのは「むしろいい傾向」と語った。

 また「自分は逮捕された経験があるからポジショントークになっているのは否めないが」とした上で、「検察官は一人ひとりが独自捜査する権限と起訴する権限を持っている」と指摘。続けて「独自のシナリオで捜査して起訴をする。両方できるから独善的になりがち」と危険性を訴えた。

 これほどオールマイティーで強大な力を持っているにもかかわらず、議員のように選挙で選ばれたわけではなく「民主主義の上で担保されていないのが問題(中略)検察が民主主義によってコントロールされていない今の現状の方が危ない」と指摘。視聴率アップのために「事件を喜ぶテレビ局と検察はズブズブ」とまで言い切った。

 さらに今回の騒動で良かったことは「みんなが検察庁法というのを知ったということだけ」とし、結果的にはミスリードされて「マスコミと検察のいいように扱われている」と注意を促した。
動画は以下となります。



まずは、内閣の検察庁に関する人事権については、全国8箇所の高等検察庁の検事長と検事総長の9名のみとなっております。内閣は検察庁の人事については、法務省の推薦する人を承認するといった形になると思います。そういった意味では、内閣に検察庁の人事の承認権はあっても、指名権はないというのが実態と考えていいでしょう。

そういった意味では、日弁連ほどではないにしても、検察庁も強い存在といえるし、その中でも、特別捜査部は1つの聖域といった状態となります。

特別捜査部 - Wikipedia

ここは隠退蔵物資事件を契機にGHQ主導で設立された「隠匿退蔵物資事件捜査部」が前身となっております。以下の記事も参考になると思います。
「日本の刑事司法制度」のここがおかしい! | 企業経営・会計・制度 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

――起訴・不起訴を決める検察が捜査も行っているのは、先進国中では日本と韓国ぐらいですね。なぜ日本では検察が捜査をしているのでしょうか。

細野 GHQの占領下において、旧日本軍や財閥の隠匿退蔵物資が国会の地下にあった。それを横流しして暴利を貪っているという実態があった。当初GHQは戦前の特高検察を軍国主義の温床として嫌い、検察官による事件捜査を認めなかった。隠匿退蔵物捜査は警察が行った。ところが警察で捜査したところ、日本の警察捜査は優秀で、隠匿退蔵物資の捜査対象はGHQ幹部にまで及ぼうとした。慌てたGHQは、隠匿退蔵物捜査から急遽警察を排斥し、検察の中に隠匿退蔵物の捜査機関を設けて戦前の公安検察の生き残りにその捜査をやらせた。結局、隠匿退蔵物事件ではGHQ幹部は誰も逮捕されていない。これが特捜部の始まりだった。それが今でも続いている。

ここで検察と警察の捜査の違いについて触れておきます。
捜査について:検察庁

検察庁の捜査と警察の捜査の違いはなんですか?

 警察は刑事事件の第一次的な捜査を行い,検察庁は起訴・不起訴を決定するための捜査を行います。
 日本では,起訴は検察官に与えられた権限であり,警察官は起訴できないことになっています。
 したがって,検察官は裁判所に対し起訴してその処罰を求めるという責任があるため,警察からの捜査記録などを確認するだけではなく,その内容が真実であるかどうかを,事件の当事者から必要に応じて直接事情を聞くなどして,積極的に自ら事件の真相解明に努力しています。

検察庁の捜査は,具体的にはどういうことをするのですか?

 被疑者・参考人など関係者の取調べ,証拠品の捜索・差押え,さらにその分析・検討などを行います。

「特捜部(特別捜査部)」って何ですか?

 特捜部は,東京・大阪・名古屋の地方検察庁にだけ置かれている部で,公正取引委員会・証券取引等監視委員会・国税局などが法令に基づき告発をした事件について捜査をしたり,汚職・企業犯罪等について独自捜査を行っています。
 また,上記三庁以外の主要道府県の地方検察庁にも独自捜査をする特別刑事部が置かれています。
これを見ると、独自操作するのは特捜部のみで、特別刑事部も特捜事案に関する捜査の役割を持っております。

検察も起訴したら有罪率が99%(実質的には公判の持たないものは不起訴として処理)ですし、特捜にしても同様ではあるともいえます。

特捜の問題点として、起訴の権限、独自捜査権、人質司法のコンボと、メディア等へ捜査情報をリークしたりして、世論の印象操作ができるといった点にあるとも言えます。そして最終的には逮捕しなくても、特捜の捜査という報道だけで捜査対象者の印象悪化を植え付けることが出来ます。「事件を喜ぶテレビ局と検察はズブズブ」という指摘も妥当だと思います。

江田憲司氏が森友問題で大阪地検からの捜査情報のリークを晒して大変な騒ぎに(追記あり)(山本一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

なぜ捜査当局は極秘の捜査情報をマスコミにリークするのか (2)(前田恒彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

特捜部の立ち位置として、捜査権から起訴、有罪率の高さから裁判、そしてメディアもコントロールできる状況で、政治からも手が打てないし、実質的に歯止めをかけることができるところがないといったことからも、一種のディープステートと言われる要因の1つともいえます。

そして、現状だと検事総長を誰にしても、特捜部にメスをいれることは難しく、日弁連もそうだけど、特捜部についても、聖域で守られた存在であると思いますね。