TRONのお話
今日から連休明けで、特に何もしていない休日ではありましたが、緊急事態宣言も続き、いろいろとかったるい日が続きますね。カレンダー通りなら、2日行って休みなので、体を慣らすにはいいとは思います。
今日はTRONのお話です。記事を紹介します。
元記事はTRONプロジェクトの中心人物である坂村健教授の記事なので、いろいろと関心深いですね。結構なボリュームがありますが、この話に関心をお持ちがあれば、必見の記事だと思いますよ。
Wikipediaの紹介。
TRONプロジェクト - Wikipedia
いろいろと話が混同されがちですが、TRONプロジェクトの中に、サブプロジェクトが以下の通りとなります。
ITRON→組み込み向けOS
BTRON→ビジネス向けOS
CTRON→サーバー向けOS
MTRON→分散コンピューティングに相当
トロン電子機器HMI研究会→ヒューマンインターフェイスをデザイン
トロンチップ→TRON構想を実現するためのハードウェアを策定
TRON PROJECT | トロンフォーラム
世界シェアの60%を締めるのが、組み込みOSのITRONとなっております。BTRONの方はアメリカとの通商問題で、失速するきっかけとなったわけですね。
各項目についてはWikipediaを紹介します。
ITRON - Wikipedia
BTRON - Wikipedia
BTRONについては、実際にアメリカとの通商問題もあったし、こういった話もあったのですが、実際のところ、陰謀論で盛り上がってる印象は否定はできません。
以下の記事を紹介しておきます。
トロンとマイクロソフトの歴史的誤解
USTRの件ですが、旧通商産業省や旧文部省がBTRONを小中学校の教育用パソコンの標準OSに選定しようとしたことについて、非関税障壁の問題もあって懸念の声が上がってたのが理由で、「日本国内だけでの普及では、開発費の負担や量産効果、アプロケーション・ソフトや周辺機器の品揃えの面で、全世界で普及しているパソコンに到底太刀打ち出来ない」という見解が妥当だと思います。恐らく、日本政府が支援したとしても、長期的には同じ結果になったものと思います。
ここからは、組み込みOSのITRONに関する話を紹介します。
TRONは組み込みOSとしてシェアが60%で、マイクロプロセッサの総数から見ると、パソコンやスマートフォンは総計でも5%程度と言われており、95%が組み込みOSといった位置付けとなります。海外ではあまり知名度がなく、Linux系の組み込みOSのシェアが高いですが、日本製家電にTRONは搭載されて世界に輸出されているため、OSのシェア自体は高いようです。
最もネーミングというよりは、タイミングも大事で、広がるタイミングというのも重要で、マーケティングの人たちが「IoT」と言い出して、概念が理解され、実現化することで広がっていったんだと思います。
そういった意味でも、TRONはITRONをベースに改良した「T-Kernel」という組み込み型OSの方向といった選択を取っており、国際標準規格の1つとして、更なる普及の道へと進んでおります。
WikipediaのTRONプロジェクトの記載。
TRONの話については、全体を通してみれば、オープンアーキテクチャで技術情報をすべて公開しており、改変も自由で、改変部分についても知的所有権を守れることからも、摩擦の要因にはなりえないし、アメリカとの貿易摩擦問題も、メディアの報道に原因があっただけの話というのが、しっくりくると思います。どっちみち、日本産OSが世界のPCで利用されるというのは、非現実的だともいえるしね。今後において、TRONが国際標準規格の1つとなり、30年以上前の構想であったIoTが実現しているというのも、面白い部分ではありますね。
今日はTRONのお話です。記事を紹介します。
元記事はTRONプロジェクトの中心人物である坂村健教授の記事なので、いろいろと関心深いですね。結構なボリュームがありますが、この話に関心をお持ちがあれば、必見の記事だと思いますよ。
Wikipediaの紹介。
TRONプロジェクト - Wikipedia
いろいろと話が混同されがちですが、TRONプロジェクトの中に、サブプロジェクトが以下の通りとなります。
ITRON→組み込み向けOS
BTRON→ビジネス向けOS
CTRON→サーバー向けOS
MTRON→分散コンピューティングに相当
トロン電子機器HMI研究会→ヒューマンインターフェイスをデザイン
トロンチップ→TRON構想を実現するためのハードウェアを策定
TRON PROJECT | トロンフォーラム
世界シェアの60%を締めるのが、組み込みOSのITRONとなっております。BTRONの方はアメリカとの通商問題で、失速するきっかけとなったわけですね。
各項目についてはWikipediaを紹介します。
ITRON - Wikipedia
BTRON - Wikipedia
BTRONについては、実際にアメリカとの通商問題もあったし、こういった話もあったのですが、実際のところ、陰謀論で盛り上がってる印象は否定はできません。
以下の記事を紹介しておきます。
トロンとマイクロソフトの歴史的誤解
USTRの件ですが、旧通商産業省や旧文部省がBTRONを小中学校の教育用パソコンの標準OSに選定しようとしたことについて、非関税障壁の問題もあって懸念の声が上がってたのが理由で、「日本国内だけでの普及では、開発費の負担や量産効果、アプロケーション・ソフトや周辺機器の品揃えの面で、全世界で普及しているパソコンに到底太刀打ち出来ない」という見解が妥当だと思います。恐らく、日本政府が支援したとしても、長期的には同じ結果になったものと思います。
ここからは、組み込みOSのITRONに関する話を紹介します。
──パソコンやスマホのOSと違って、TRONは組み込み型OSです。どれくらいのシェアですか。こちらの記事を紹介します。
把握できていないものもありますが、組み込み型OSとしてはシェアで60%ぐらいです。
世界で使われているマイクロプロセッサの総数から見ると、パソコンやスマートフォンは総計でも5%程度と言われています。他の95%は機械の中に組み込まれたコンピュータです。その95%の中でTRONは半分以上のシェアを持っているので、台数ベースでは最も使われているOSになると思います。
TRONが使われている機器で有名なものはたくさんあります。たとえば、小惑星探査機「はやぶさ」、H2Aロケット。あるいは、アクションカメラのGoPro、トヨタのエンジン制御、BOSCHなどのカーナビ、各社のプリンタや複合機、デジタルカメラ、携帯電話の電波制御部……と世界のさまざまな電子機器で使われています。
TRONは組み込みOSとしてシェアが60%で、マイクロプロセッサの総数から見ると、パソコンやスマートフォンは総計でも5%程度と言われており、95%が組み込みOSといった位置付けとなります。海外ではあまり知名度がなく、Linux系の組み込みOSのシェアが高いですが、日本製家電にTRONは搭載されて世界に輸出されているため、OSのシェア自体は高いようです。
──TRONはその中身の設計や仕様をすべて公開する「オープンアーキテクチャ」を謳っています。これはどういうことですか。TRONの面白いところは、仕様書もソースコードも公開しているので、入手した人はどのように使っても、改変しても構わないし、自分たちのために作り変えたものも公表しないでよく、自分で作った部分の知的所有権を守れるといった部分でしょう。そういった部分は組み込みOSの世界でもあって、あくまで黒子であって、こういった部分が技術者には受けて広がった部分でもあります。
システムの機能を定めた仕様書もソースコードも公開しているので、入手した人はどのように使っても、改変しても構いません。入手したことを言わなくていいし、自分たちのために作り変えたものを公表する必要もない。自分で作った部分の知的所有権は守れる。これはLinuxなどほかのオープンソース系のOSにはないことです。
──なぜそうしたんですか。
まず私はこれを売って儲けているわけではなく、無償で公開しているのだから、自由に使って社会を発展させてほしいという願いがある。
Linuxなどの情報処理用OSでは、OSを作る人だけでなく、利用する人もプログラミングができることが多い。そこで、OSを改変や拡張した場合、その部分を公開せよというルールがあります。一方、組み込みOSの世界では、自動車とかプリンタを使っているのは、基本的に利用するだけの一般消費者です。ですから、OSの改善や改良を公開することにこだわらなくていい。だったら、公開しないでいいよと。
組み込みOSはあくまで黒子ということで、TRONは主張しないんです。だから、逆に技術者には受けて、広がった。
このTRONプロジェクト、そして坂村氏の構想が世界で突出していたのは、モノ同士がつながって情報が行き来するネットワーク構想をもっていたことだ。それを坂村氏は「どこでもコンピュータ」と呼称した。1988年当時、坂村氏はテレビ番組でこう語っている。1988年の当時から、今でいうIoTの世界の構想を持ってたみたいですね。当時は出来なかったことも、技術の進展によって、この構想の実現に向かっているということからも、TRONプロジェクトは先進的なものであったのは分かると思います。この構想が、30年以上前からあったというのと、「IoTの元祖で、TRONをつくったのはサカムラだ」と国際電気通信連合で受賞したりしており、研究者同士では理解出来てたみたいですね。
<人間のための快適環境をつくるためにコンピュータが舞台裏で協力して働く。このような世界が未来の都市、電脳都市です。コンピュータの進化がこのような技術を現実のものとしつつあります。このような世界を実現するにはすべてのコンピュータが相互に結ばれているということがとくに重要です。そしてそれが協力しあって仕事を行えるように作られていなければなりません>
これは現在の「モノのインターネット、IoT(Internet of Things)」の世界だ。それを35年近く前に構想していたのが坂村氏だった。
──1991年に米パロアルト研究所のマーク・ワイザーがあらゆる機器をつなぐ「ユビキタス・コンピューティング」という考えを論文で発表しましたが、坂村さんの構想はそれよりも早かったですね。
私の構想を世界に発信するとき、ネーミングを考えたのですが「どこでもコンピュータ」とか「エブリウェア・コンピューティング」とか、英語だと米国の小学生が使うようなネーミングだった。そこでマーク・ワイザーが言い出した高尚な英語の方の「ユビキタス」を使おうとしたのですが、これもあまり広がらなかった。この10年くらいでマーケティングの人たちが「IoT」と言い出したら、ようやくその言葉が広がりだした。まぁ、名前は何でもいいんです。概念は同じだから。
実際、(国連の機関である)国際電気通信連合(ITU)が発足150年の式典をしたとき、みんなが「IoTの元祖で、TRONをつくったのはサカムラだ」というので「ITU150周年賞」をいただくことになった。受賞した6人の中には、私のほかにビル・ゲイツやインターネットの原型ARPANETをつくったロバート・カーンもいる。80年代の私の英語は拙いものだったと思うけど、それでも学術のコミュニティはみんなわかっていてくれた。それは研究者同士で理解できていたということです。
最もネーミングというよりは、タイミングも大事で、広がるタイミングというのも重要で、マーケティングの人たちが「IoT」と言い出して、概念が理解され、実現化することで広がっていったんだと思います。
──USTRから貿易障壁としてTRONも挙げられました。どうお感じになりましたか。この件は日本のマスコミが悪いと言ってますね。USTRはTRONを候補リストに入っており、調査中のステータスで確定したわけではないといった話ですね。小中学校の教育用パソコンの標準OSに選定しようとしたことについて、候補リストに入ったというのが実態と思われます。実際は問題はなかったのですが、日本のマスコミがアメリカとの大きな貿易摩擦の問題としてTRONを取り上げており、その後の訂正報道もなかったから、こういった話になったという、マスコミお得意の内容ともいえます。
いろいろ誤解が多いんです。あの一件では、日本のマスコミが悪いですよ。
たしかにUSTRはTRONを候補リストに挙げました。私は頭にきて、大統領宛てに手紙を書きました。なぜなら、当時IBMだってBTRONの試作機をつくっていたからです。それなのに貿易摩擦もないだろうと。そうしたら、すぐに米国政府の担当者から電話がかかってきて、会って説明したいと。
会ってみると、彼は、TRONを貿易障壁の候補リストとして出したけれど、まだ調査中であって、確定したわけではない、確定したら発表するという。結局、半年ほどしてTRONは関係ないという判断となりました。けれど、日本のマスコミはことさら大きな貿易摩擦の問題としてTRONを取り上げた。実際には貿易摩擦に関わったわけではないんです。
──米国が、日本産のOSが広がることに懸念を抱いた面はありませんか。これも重要で、TRONはオープンアーキテクチャで技術情報をすべて公開していて、商売をしていないことからも、貿易摩擦と言われる筋合いもないですし、TRONがパソコン用のOSとして売り出しても、言語の関係もあって、世界では戦えなかったのは事実でしょうし、マイクロソフトとの対立も実際はなかったと思います。
それも間違っていますね。そもそもTRONはオープンアーキテクチャで技術情報をすべて公開していて、商売をしていない。IBMはTRONに寄付もしている。それなのに、貿易摩擦と言われる筋合いはないですよ。
1993年に日本でインターネットが商用化され、OSではWindowsが世界を席巻していくと、TRONは多様な方向性を模索するとともに、選択を迫られるようになった。2000年以降、パソコン向けのBTRONなどは撤退する一方、ITRONをベースに改良した「T-Kernel」という組み込み型OSの方向でおもに展開されることになった。
また、坂村氏自身は、2017年に東京大学を退職すると、新設されたINIAD (東洋大学情報連携学部) の学部長に就任。世界中から集まる学生にIoTを見据えた受講環境を提供している。
そういった意味でも、TRONはITRONをベースに改良した「T-Kernel」という組み込み型OSの方向といった選択を取っており、国際標準規格の1つとして、更なる普及の道へと進んでおります。
WikipediaのTRONプロジェクトの記載。
2017年には、IoT時代においてTRONのさらなる世界的普及を目指して、坂村健とトロンフォーラムはTRON系の組み込み向けリアルタイムOS「μT-Kernel 2.0」の著作権を米電気電子学会IEEEに譲渡。2018年9月11日、μT-Kernelベースの「IEEE 2050-2018」が、IEEE標準として正式に成立した。これによってTRON系OSが、IEEEによって標準化されるOSの国際標準規格の一つとなった。2019年にはTRONプロジェクトにおいて初めてGitHubが採用され、μT-Kernel 3.0の仕様書やソースコードなどが世界に公開された。「Nintendo Switch」のコントローラー「Joy-Con」にμITRON4.0が利用されたことについては、初めて知ったけどね。
TRONの話については、全体を通してみれば、オープンアーキテクチャで技術情報をすべて公開しており、改変も自由で、改変部分についても知的所有権を守れることからも、摩擦の要因にはなりえないし、アメリカとの貿易摩擦問題も、メディアの報道に原因があっただけの話というのが、しっくりくると思います。どっちみち、日本産OSが世界のPCで利用されるというのは、非現実的だともいえるしね。今後において、TRONが国際標準規格の1つとなり、30年以上前の構想であったIoTが実現しているというのも、面白い部分ではありますね。