コロナ禍によって、ある程度人の出入りが少なくなるのは各国共通の話ですし、同様に国内問題を解決するにしても、いい時期になったともいえます。

まずはこちらから。

香港国家安全法関係

【解説】渦中の香港国家安全法、その内容と中国の思惑は? 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

【5月23日 AFP】中国の全国人民代表大会(National People's Congress、全人代、国会に相当)が提案した香港での国家安全法導入について、米国や同市の民主派は香港の自由への攻撃だと非難しており、経済中心地の同市で抗議運動が再燃する恐れが出ている。

■中国はなぜ導入に動いたのか?

 香港の「ミニ憲法」である基本法の第23条では、中国政府に対する「反逆、分離、扇動、転覆」を禁止する国家安全法を制定することが定められている。

 香港は長年にわたり同法の導入を試みてきたが、昨年同市をまひ状態に陥らせた民主派デモによってこの問題の緊急度が増し、中国政府の行動へとつながった。

 全人代で実際に立法を担う常務委員会の王晨(Wang Chen)副委員長は22日、香港民主化運動を抑制するには「強力な措置」が必要だと警告した。

■香港市民の意見は?

 香港基本法第23条は、香港市民が大切にしている表現や報道の自由などの権利剥奪につながることが懸念され、これまで施行されてこなかった。こうした自由は中国本土では認められておらず、香港では1997年の英国による中国への同市返還前に結ばれた合意で保護されている。

 2003年には同条項の施行が試みられたが、50万人が参加する街頭デモが発生し、見送られた。中国政府は、香港の立法会(議会)を迂回(うかい)し、国家安全法を直接制定する権限を全人代に与えようとしている。

■今後の展開は?

 法案は全人代最終日の28日に採決され、来月に再び開かれる会議で詳細が詰められる見通し。常務委員会の王副委員長は、香港での新法施行はその後になるとしており、同市では抗議デモがさらに激化する可能性がある。

 昨年の騒乱のきっかけとなった大規模デモを主催した市民団体「民間人権陣線(Civil Human Rights Front)」のリーダー、岑子傑(ジミー・シャム、Jimmy Sham)氏は香港市民に対し、再び数百万人規模の街頭デモを行うよう呼び掛けた。

■「一国二制度」はどうなる?

 民主派議員らは、同法の制定について、中国への返還後の香港での高度な自治を認めた「一国二制度」の終わりを意味すると主張している。

 民主派議員の陳淑莊(Tanya Chan)氏は、同法は「香港での『一国一制度』の正式施行を感じさせるものだ」と警鐘を鳴らした。
○関連記事

香港の国家安全法の件です。基本的には去年の件の延長線上にあります。

香港関係-ぱよぱよ日記

内容を見ると、香港当局に国家安全規則の迅速な整備を義務付け、中国政府が、国家転覆やテロ行為、分裂、外国からの干渉を防止といった枠組みの制定に動いてるようです。中国政府の立ち位置としては、香港における国家の安全に最も大きく最終的な責任を負っているという立場みたいですね。

香港基本法第23条というのが、中国政府に対する「反逆、分離、扇動、転覆」を禁止する国家安全法を制定することが定められているようです。香港基本法については、以下のような経緯で制定されております。
香港特別行政区基本法 - Wikipedia

1982年に改正された中華人民共和国憲法では、将来の香港およびマカオの回収に備えて、特別行政区の設置に関する規定(第31条)を設けた。1984年12月、香港問題に関する中英連合声明の調印がなされた。これらを受けて、1985年4月に第6期全国人民代表大会第3次会議は、香港特別行政区基本法起草委員会の設立を決定した。同6月、第6期全人代常務委員会第11次会議が、香港基本法起草委員会の名簿を発表し、同7月に同委員会が発足した。
額面通りに受け取れば、表現や報道の自由などの権利剥奪ともありますが、中国政府に対する「反逆、分離、扇動、転覆」に該当していなければ、それなりには認めるんだとは思いますが、ここらへんで揉めると言った地点で、国家としての信用はないというのも事実なんだと思います。他の国も同様で、中国共産党は何をやるか分からないといった不信感が問題をより悪化させてるのはあるんだと思います。

この件を進めるというのは、昨年の香港で起きた暴動の対策といった一面もあるのでしょう。ただの暴動とか独立運動などいろんな連中が紛れ込んでいるのも事実で、単純に反対デモといっても、いろんな連中が紛れ込んでるのもありますし、逮捕者が続出しており、一般の市民にとっては、昨年の暴動(デモ)はいい迷惑だった人も少なくないと思います。

基本的構図については以下の記事が分かりやすいと思います。

香港デモに油を注ぐ「習近平」vs「上海閥」の暗闘 「市民vs権力」の単純な図式ではない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

中国共産党が恐れる「香港デモ」でのCIAの暗躍 旧ソ連圏での「民主化工作」の再来か | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

香港「条例改正」の標的は北朝鮮と江沢民だった マネロンと武器調達が栄える「魔界」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

香港デモが「テロ活動」へとエスカレートする日 習近平もトランプも狙う「漁夫の利」 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

香港は江沢民派の管轄であることからも、影響力を少しでも下げるためにも、香港の法制度を中国政府である程度コントロールしたいという事情と、現状維持を望む魔都香港派などいろんな勢力が入り組んでおり、問題解決は少し面倒な部分もあります。

中国政府への不信感もありますが、反対の声明については一致しております。

「中英連合声明と香港基本法の下で保証された香港の自治と自由を侵害するような決定を下せば、一国二制度と香港の地位に関するわれわれの評価に影響が及ぶことは避けられない」といった内容の声明となっており、国家安全法というより、香港の自治と自由を侵害せずに、「香港の自治が維持されてる」ことが重要なわけですね。

アメリカの香港人権法については、過去記事を紹介します。

ぱよぱよ雑談~20191129-ぱよぱよ日記

混乱は続くとは思いますが、ここを乗り切れば、香港を浄化することも多少は可能かもしれませんね。

最後に脱線しますが、香港は以下の件にも絡んでることが多いし、ここの資金ルートは可視化しておかないと問題でしょうね。

外国資本による森林買収に関する調査の結果について:林野庁


どうでもいいが、日本共産党もこういう動きだし、国家安全法も悪くはないと思いますw

アメリカの中国に対するブラックリストの追加について

米、中国33企業・機関を禁輸対象に 人権侵害や軍資材調達支援で - ロイター

[ワシントン 22日 ロイター] - 米商務省は22日、中国の33の企業と機関を、米国からの資材等の調達を禁止するブラックリストに追加すると発表した。人権侵害の疑いがあるほか、大量破壊兵器などに関連して米国の国家安全保障に関する懸念があるためとしている。

商務省は「人権侵害、抑圧、大規模な恣意的な拘束、強制労働、少数民族ウイグル族に対するハイテクを利用した監視」などに関与したとして9の企業と機関をブラックリストに追加。中国軍向けの資材調達に関与したとして24の政府機関と民間機関を追加した。

リストに追加されたのは、米半導体メーカーが注力するAI(人工知能)や顔認証技術を手掛ける企業など。

中国の有力AI企業、東方網力科技(NetPosa)(300367.SZ)、サイバーセキュリティーの奇虎360、ソフトバンクグループ(9984.T)が出資するクラウドマインズも追加された。クラウドマインズは人型ロボットなどに関するクラウドサービスを展開する。ロイターは3月、クラウドマインズの米法人が技術ないし技術情報を中国拠点に送ろうとしたのを米当局に阻止されたと報じた。

奇虎360、東方網力科技、クラウドマインズのコメントは得られていない。

米半導体メーカーのザイリンクス(XLNX.O)は、少なくとも顧客1社が今回の対象に含まれているとしたうえで「事業に影響があるか調査している。米商務省の新たな法規制を順守する」と述べた。
米商務省は新たに米国からの資材等の調達を禁止するブラックリストに中国の33の企業と機関を追加したようですね。一連の件については、「人権侵害、抑圧、大規模な恣意的な拘束、強制労働、少数民族ウイグル族に対するハイテクを利用した監視」といった内容で、ウイグル人権法案に従った内容と思われます。ウイグル人権法案については、過去記事を紹介します。

ぱよぱよ雑談~20191205-ぱよぱよ日記

この法案の持つ意味は、過去記事にも書いた通りではあるが、これらの企業については、米国からの資材等の調達を禁止する措置こそが目的であって、どちらかといえば、アメリカ企業を対象としているわけですね。

こういった内容ですので、中国政府としてもダメージがあるかは不明というか、どちらかといえば、対中制裁というのは、上海閥向けに行ってる部分もあって、そういった対応の延長線上にあるように思います。案外、ウイグル問題についても、ある程度見極めて対応していると思います。

イギリスのファーウェイの5G参入制限の件

英政府、華為の5G参入制限へ コロナ危機で方針転換=英紙 - ロイター

[22日 ロイター] - 英国のジョンソン首相は、次世代通信規格「5G」の通信網構築で、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]の参入余地を制限する方針だ。英紙デーリー・テレグラフ(電子版)が22日、伝えた。

今年1月に限定的な参入を容認する方針を示していたが、新型コロナウイルス危機で方針を修正したもようだ。これに先立ち、英紙タイムズは、ジョンソン首相が、新型コロナ危機を踏まえ、必要不可欠な医療用品などの調達で中国への依存をやめる計画の策定を指示したと伝えていた。

英首相官邸はコメントを差し控えた。ファーウェイのコメントは現時点で得られていない。

英政府は今年1月、ファーウェイの5G参入を限定的に容認すると発表、4月下旬に政府高官が、その方針を確認していた。

テレグラフによると、関係筋は「ジョンソン氏は依然、中国との関係を望んでいるが、ファーウェイとの契約は大幅に縮小しようとしている。ファーウェイの参入を減らす計画を早急に策定する指示が出ている」と述べた。

米政府は、安全保障上の懸念があるとして、同盟国にファーウェイ製品を使用しないよう要請。ファーウェイ製品を使用する国とは機密情報を共有しないと警告している。
イギリスのファーウェイの5G参入について、今年の1月に限定的に容認すると発表しておりましたが、参入制限を強化するようですね。どの程度の制限をかけるかは不明ですが、大幅に縮小しようとしているといった話からも、関係を完全には切りたくはないが、かなり制限をかけたいといった一面はあるようですね。

アメリカもこの方針については、結構お怒りモードだったしね。

ファーウェイの取り扱いについては、米英FTA交渉においても問題になることからも、そういった兼ね合いもあるように思います。「ファーウェイ製品を使用する国とは機密情報を共有しない」といった問題もあることから、路線変更に踏み込んだものと思われます。どっちにしても、ファーウェイと取引をしてた場合は、将来的に米国とのビジネスにも影響が出てくるしね。

これはイギリスに限った話ではありませんが、新型コロナ危機を踏まえ、必要不可欠な医療用品などの調達で中国への依存をやめる計画の策定を進めており、戦略物資については、今後は特定のところに依存せずに、ある程度内製化(海外企業の投資も含む)の流れに動いてくるでしょうし、自国で作れるものをわざわざ海外から輸入といった流れについては、縮小していくものだと思われます。