日米首脳会談の意味
今回はあんま取り上げられていない日米首脳会談が主題です。共同声明の内容から。
平成30年9月26日 内外記者会見 | 平成30年 | 総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
表向きはアメリカの国内事情を踏まえたもののように見えますが、通商関係については既定路線の確認であって、日米の双方が譲歩したといったような内容ではないし、寧ろ今後においての重要なメッセージと言えます。アメリカの多額の貿易赤字は問題というのと、金融やITと製造業のリバランスで動いていることから、自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を理解した上で、貿易赤字の是正に動いてるといったところの話ともいえます。アメリカとしては金融やサービスに偏った産業構造を是正するような動きにしたいように見えます。
ベースがここにありますので、貿易にしても投資にしても、相互補完的な関係というのと同時に、基本的に雇用を重視しているような感じで動いていますので、そこまでいうほど悪い話ではないと思います。
ここでTAGについて紹介します。
こういった前提の元に、六の項目に大きな意味があります。「知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処」ということで、自由で開かれた関係を目指しており、安倍首相のいう「自由で公正なルールに基づく貿易の重要性」の意味がここにあって、従来?の自由貿易とかいうのとは、意味合いが異なってくるわけです。
ここで米中貿易戦争についてです。
米中貿易戦争 (2018年) - Wikipedia
米中貿易戦争と言われてる内容については、「知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処」という意味合いの関税であって、こういった不公正な慣行について関税を方法を取ってるわけで、今までの関税の意味合いとは若干異なります。不公正な方法による低コスト化を関税で是正して、自由で公正なルールによる貿易を目指すことが、今回の米中貿易戦争の目的だと思います。WTO改革というのも、今まで好き勝手やってた相手に対しての是正が含まれており、自由貿易というのは、何をやっても許されるという類の自由ではなく、公正なルールがあって自由が許されるといった話になるわけです。
ここでTPPについてですが、こういった条件はある程度クリアされた包括的な協定であることから、アメリカとしてもTPPはそこまでいうほど悪い選択肢ではなく、二国間交渉を続けるよりは、包括的同意に乗っかった方が手っ取り早いですし、タイミングを見計らってるように思うんだけどね。
あと、「電子商取引の議論を促進」とありますが、取引のツールとして仮想通貨(国家が担保したもの)の技術に関する議論も出てくると思います。国際取引であれば、こういった技術は活用出来ますし、公正なルールがあれば、為替レートではなく、電子商取引を通じてモノの動きが活発化する可能性も秘めているわけですね。一種の価値観的な部分もありますが、新しい取引の形として議論するのは有益ですし、TPPといった多国間取引の議論において、電子商取引という概念は重要な意味を持つと思います。通商ルールで為替安が有利という図式を変える意味もありますので、そういった動きも注目出来るかもしれませんね。
日米共同声明全文 物品貿易協定の交渉入り明記 :日本経済新聞あとは首相会見の内容。
26日の日米首脳会談で合意し、両国政府が発表した共同声明の全文は次の通り。
一、安倍首相とトランプ大統領は、日米間の強力かつ安定的で、互恵的な貿易・経済関係の重要性を確認した。トランプ大統領は相互的な貿易の重要性と、日本や他の国々との貿易赤字削減の重要性を強調。安倍首相は自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を強調した。
二、さらなる具体的手段を含め、日米間の貿易・投資の拡大と世界経済の自由で公平かつ開かれた発展を実現することへの決意を再確認した。
三、両国は国内調整の後、日米物品貿易協定(TAG)と、サービスを含む他の重要分野で早期に結果が出るものについて交渉を開始する。
四、TAGの議論が完了した後、他の貿易・投資の事項についても交渉する。
五、TAGは双方の利益をめざし、交渉にあたって以下の両政府の立場を尊重する。
日本は農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であること。
米国は自動車について、市場アクセスの交渉結果が自国の自動車産業の製造及び雇用の増加を目指すものであること。
六、第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。
七、日米両国は信頼関係に基づき議論を行い、協議が行われている間、この共同声明の精神に反する行動を取らない。また、他の関税関連問題の早期解決に努める。
平成30年9月26日 内外記者会見 | 平成30年 | 総理の演説・記者会見など | 記者会見 | 首相官邸ホームページ
表向きはアメリカの国内事情を踏まえたもののように見えますが、通商関係については既定路線の確認であって、日米の双方が譲歩したといったような内容ではないし、寧ろ今後においての重要なメッセージと言えます。アメリカの多額の貿易赤字は問題というのと、金融やITと製造業のリバランスで動いていることから、自由で公正なルールに基づく貿易の重要性を理解した上で、貿易赤字の是正に動いてるといったところの話ともいえます。アメリカとしては金融やサービスに偏った産業構造を是正するような動きにしたいように見えます。
ベースがここにありますので、貿易にしても投資にしても、相互補完的な関係というのと同時に、基本的に雇用を重視しているような感じで動いていますので、そこまでいうほど悪い話ではないと思います。
ここでTAGについて紹介します。
日米物品貿易協定(TAG):時事ドットコム内容的には相互補完出来る形での取引によって、関税撤廃・削減を目指す動きともいえます。トレード・アグリーメントの言葉の通り、取引・同意という意味しますので、相手国の産業や雇用への影響を最小限にする事が目的の上で、自由で公平かつ開かれた発展を実現させるといった目的があるように見えます。
日米物品貿易協定(TAG) 日米両国政府が交渉開始に合意した新たな2国間貿易協定。トレード・アグリーメント・オン・グッズの頭文字を取ってTAGと略す。関税撤廃・削減を目指しており、対象は農産品や工業製品などほぼ全ての貿易品目に及ぶ。環太平洋連携協定(TPP)をはじめとする自由貿易協定(FTA)がサービスの自由化、非関税障壁の撤廃、知的財産権保護などのルール作りも含めて包括的に交渉するのに対し、モノの関税に絞るのが特徴だ。日米はTAG交渉の見通しが立った後、サービスや投資分野でも2国間交渉を始める。(時事)
こういった前提の元に、六の項目に大きな意味があります。「知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処」ということで、自由で開かれた関係を目指しており、安倍首相のいう「自由で公正なルールに基づく貿易の重要性」の意味がここにあって、従来?の自由貿易とかいうのとは、意味合いが異なってくるわけです。
ここで米中貿易戦争についてです。
米中貿易戦争 (2018年) - Wikipedia
米中貿易戦争と言われてる内容については、「知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処」という意味合いの関税であって、こういった不公正な慣行について関税を方法を取ってるわけで、今までの関税の意味合いとは若干異なります。不公正な方法による低コスト化を関税で是正して、自由で公正なルールによる貿易を目指すことが、今回の米中貿易戦争の目的だと思います。WTO改革というのも、今まで好き勝手やってた相手に対しての是正が含まれており、自由貿易というのは、何をやっても許されるという類の自由ではなく、公正なルールがあって自由が許されるといった話になるわけです。
ここでTPPについてですが、こういった条件はある程度クリアされた包括的な協定であることから、アメリカとしてもTPPはそこまでいうほど悪い選択肢ではなく、二国間交渉を続けるよりは、包括的同意に乗っかった方が手っ取り早いですし、タイミングを見計らってるように思うんだけどね。
あと、「電子商取引の議論を促進」とありますが、取引のツールとして仮想通貨(国家が担保したもの)の技術に関する議論も出てくると思います。国際取引であれば、こういった技術は活用出来ますし、公正なルールがあれば、為替レートではなく、電子商取引を通じてモノの動きが活発化する可能性も秘めているわけですね。一種の価値観的な部分もありますが、新しい取引の形として議論するのは有益ですし、TPPといった多国間取引の議論において、電子商取引という概念は重要な意味を持つと思います。通商ルールで為替安が有利という図式を変える意味もありますので、そういった動きも注目出来るかもしれませんね。