今日はイギリスの総選挙です。保守党が無事に勝ち切ることを願います。最も、保守党が勝てば、来月末にBrexitが素直に実現するかは不明で、本番は英議会通過後の話になると思いますがね。

今日は川崎国ヘイト条例関係です。不本意ではありますが・・・。予め言っておきますが、公共の施設での街宣による直接的に憎悪を煽る行為については、全否定のスタンスで、そういった表現の自由はないと思っております、ハイ。

過去記事。

川崎国ヘイト条例-ぱよぱよ日記

参考記事として、小坪市議の記事を紹介します。

罰則付きヘイト条例が可決・成立、川崎市。戦いは、全国の地方議会へ。【共に戦う人はシェア】 | 小坪しんやのHP〜行橋市議会議員

記事を紹介します。
川崎市議会、全国初のヘイト罰則条例成立 罰金50万円、来夏施行:時事ドットコム

 道路や広場など公共の場での外国人へのヘイトスピーチ(憎悪表現)に対し、全国で初めて刑事罰を科す条例が12日、川崎市議会本会議で可決、成立した。罰則で実効性を確保する一方、対象となる「差別的言動」の要件を厳格化して、表現の自由に配慮した。2020年7月1日に全面施行する。
 本会議では採決時に議員2人が退席。残る57人全員が賛成した。
 「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」は、人種や国籍、性的指向などによるあらゆる差別を禁止。日本以外の国・地域の出身者やその子孫に対する差別的言動を繰り返した場合について、最高50万円の罰金を科す。
 罰則対象となる差別的言動は、拡声器や看板などを使い、日本以外の国・地域にルーツを持つことを理由に、居住地からの退去や生命・自由への危害を扇動・告知したり、人間以外のものに例えるなど著しく侮辱したりすることなどと定めた。
 違反者には、市長が諮問機関の意見を聴いた上で、やめるよう勧告や命令を行う。命令に従わずに違反を重ねた場合は氏名を公表し、警察・検察に告発する。
 本会議では、市民への周知徹底のほか、日本人に対しても「不当な差別的言動による著しい人権侵害が認められる場合には、必要な施策、措置を検討すること」などを盛り込んだ付帯決議も可決された。
法案自体がないので何とも言えませんが、ある程度見えるものについては以下となります。

・ 川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」 (素案) について
http://www.city.kawasaki.jp/templates/press/cmsfiles/contents/0000108/108733/houdou.pdf

・附帯決議
http://www.city.kawasaki.jp/980/cmsfiles/contents/0000107/107110/011209-1(1)(2).pdf

この法案は、「日本以外の国・地域の出身者やその子孫に対する差別的言動を繰り返した場合」と明記しており、付帯決議に日本人に対しても同様の措置の検討を盛り込んだことで成立といった経緯となります。付帯決議なしで可決されるよりはマシといったところになるかと思います。


一応こんな記事もありますが、ミスリードがあるので注意が必要です。

ネットはあくまで罰金刑の対象外でしかなく、「インターネットでの差別的言動も市が拡散防止の措置を取る」と明記しており、資料の内容が該当するかと思います。


大阪市でもこういった例がありました。

そういう意味では、大阪市の対応を更に悪質化させたもので、諮問機関の都合でどうにでも出来るようにも思えなくもないです。

最も、川崎市内で拡声器や看板などを使って、この手の主張についてを行うことについてはどうかと思いますので、条例の適用範囲が川崎市内という属地主義がきちんと守られてり、恣意的な運用でないことが前提となりますが、恐らくは法の理念を捻じ曲げて動くことは確実ともいえます。
属地主義 - Wikipedia

属地主義(ぞくちしゅぎ)とは、法の適用範囲に関する立法主義の一つで、自国領域内に場所的に限定するもの。
また地方自治体の条例は、地方自治法第2条第2項の規定により、当該自治体の内で属地主義を採るものとされる。
そういう意味では、川崎市の条例で出来ることは限られており、大阪市の対応でもグレーな部分もありますが、これでも越権行為とみなされてもおかしくない状況です。だからこそ、対応レベルの境界線を見極めた対応にはなっているわけですがね。


ここで今回の条例について、整理してみましょう。罰則の対象となるのは以下の通り。

素案からこの部分は変わっていないと思います。

川崎市内の公共の場所において、上記の手段で類型とされる行為を行ってはいけないということが大原則にあることに尽きます。インターネットの拡散行為についても、これらの行為が含まれるものが該当するのが原則ともいえます。

逆を言えば、これ以外の内容で川崎市の条例が適用はアウトです。川崎市民が含まれたとしても、川崎市の公共の場所以外のところ(ネットも含む)での条例の適用も、グレーゾーンで、これについては、国内法のヘイトスピーチ対策法の理念法が重要となります。定義についてのみ紹介します。
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律 - Wikipedia

定義
「本邦外出身者」を「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」とした上で、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」を「本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」として定義する(2条)。
定義は、「本邦外出身者」を「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの」で定義しております。「本邦外出身者」については日本人も含まれております。


国会の答弁で「本邦外出身者であるか否かを問わず、国籍人種民族等を理由として差別意識を助長しまたは誘発する目的で行われる排他的言動はあってはならない」というのは、日本人も含んでると言ってるし、この点は西田議員もそこには言及しているからこそ、理念法に留めたという表現になるわけです。

ここで重要なのは、ヘイトスピーチ対策法の本来持つ意味が何かとなります。西田議員はきちんと理解したからこそ、国内法としての定義を定めたというのが重要です。この法案がなければ、条例で定めてしまえば、国内法がないと、どうにでも定義出来るし、国内法の観点では何でも許されることを意味します。だからこそ、川崎国の条例みたいなのが定められる前に国内法の理念法として定義する必要があったわけです。

だからこそ、この件で西田議員を批判したことはないです。だからこそのトラップ法案といった位置付けで、ヘイトスピーチを理由に弾圧する行為について炙り出す意味もあったと思いますよ。可視化しないと、次の対策は打てないですしね。

ヘイトスピーチ対策法に以下の条項があります。
国は、その解消に向けた取組を実施するとともに、地方公共団体が実施するその解消に向けた取組を推進するために助言などの必要な措置を講ずる責務を有し(4条1項)、地方公共団体は、その解消に向けた取組に、国との役割分担を踏まえ、地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする(4条2項)。
今回の条例って、国は「地方公共団体が実施するその解消に向けた取組を推進するために助言などの必要な措置」を行ってるのかという話ですし、「国との役割分担を踏まえ、地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める」ということが、守られてるのかという話です。国との役割分担を怠って、越権行為というのは、ヘイトスピーチ対策法の理念に反してることから、理念法に反する行為ともいえます。

だからこそのトラップ法案なわけで、川崎国の罰則付きという一線を踏み外したわけで、
「国との役割分担を踏まえ、地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める」ことを怠れば、国内法としての理念法が存在しないことになるしね。


最後にですが、川崎方式となる東京弁護士会の定義は論外です。
地方公共団体に人種差別撤廃条例の制定を求め、人種差別撤廃モデル条例案を提案することに関する意見書|東京弁護士会

オ 適法居住条件について

人種差別撤廃条約委員会による「人種差別に対する立法上の保障が、出入国管理法令上の地位にかかわりなく市民でない者に適用されることを確保すること、および立法の実施が市民でない者に差別的な効果をもつことがないよう確保すること。」
ていうか、「出入国管理法令上の地位にかかわりなく市民でない者に適用」って思い切り、ヘイトスピーチ対策法違反行為ですし、さらに言えば、人種差別撤廃条約委員会は国連の方から来たものであって、これは国際条約には定められておりません。

ここで国際法として定義されるものは、人種差別撤廃条約となります。

○人種差別撤廃条約
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html

「人種差別撤廃条約」に反すれば、如何なる主張を行う資格はないですし、そういった感じで進んでるのが、川崎国のヘイト条例ともいえます。