需要はないと思いますが、緊急経済対策の続編です。前作を紹介します。

新型コロナウイルスに関する経済対策の現況-ぱよぱよ日記

新型コロナウイルス緊急経済対策~緊急支援フェーズ-ぱよぱよ日記

今回は、「V字回復フェーズ」編となります。まずは新型コロナウイルスをある程度収束してから、経済活動が正常に戻るまでは、今を凌ぐことしか出来ません。それを分かってて外野で騒いでるわけですが・・・。

基本的な考え方については、現況のところに以下のように書いております。
第3の部分を見る限り、官民をあげた経済活動については、今回の感染症の流行収束を見据え、甚大な影響を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業を対象にした形になると思われます。逆を言えば、それ以外の分野においての経済対策や減税は行わないだろうし、一律の現金給付等の対策が行われる可能性は限りなく低いと見ていいと思います。

消費税減税は一時的措置の場合、反動減が脅威なのもありますが、小口事業者にとっては、消費税の大幅減税は実は打撃が大きいです。効果が出るまでに時間がかかるのと、恩恵があるのが、大型の買い物になるので、その点では今回影響を受けている事業への支援効果は高くないし、新型コロナ対策という観点での費用対効果としての効果も微妙です。

現金の一律給付については、経済政策という性質の観点では金融緩和と似ております。行き先が制御出来ないため、現金を給付したとしても、貯金・借金返済では経済効果はゼロですし、一律の場合は不適切なところにも給付することになるわけで、海外送金、テロ資金、反社会的勢力への現金を給付することになります。金融緩和同様、やらないよりはマシですが、新型コロナ対策の観点では、今回影響を受けている事業への支援効果は高くないし、そういった意味でも、費用対効果が高いとは言えないです。
消費税減税、現金の一律給付というのが、新型コロナの経済対策として不適切であるという理由を書いております。結局はここらへんから、政権批判の道具にするのが目に見えてたし、それ以上でもそれ以下でもないんだよね。

まずは今回の基本資料について紹介します。

○基本資料
・「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」について
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf

・経済産業省関係令和2年度補正予算案の事業概要(PR資料)
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei_yosan_pr.pdf

・新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

○補正予算概要
・令和2年度補正予算の概要
https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2020/sy020407/hosei020420b.pdf


Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復

新型コロナウイルス感染症の拡大が収束し、国民の不安が払拭された後は、反転攻勢のフェーズとして、今回の事態により甚大な影響を受けた分野に重点的にターゲットを置き、国民広くに裨益する、短期集中の思い切った支援策を講ずるとあります。

ここで重要なのは、今回のV字回復フェイズにおいて、新型コロナで世界各所の経済被害が甚大であることからも、外需への期待は薄いことから、日本人が盛り上げていかないといけないというところに尽きます。なので、観光は観光でも去年まで枠組みではなく、新しく作り上げていく必要があるように思います。

1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
2.地域経済の活性化

1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業等に対する支援
金額的には、「Go To キャンペーン事業」が大きいです。


今回、甚大な影響を受けているのが、観光・運輸業、飲⾷業、イベント・エンターテイメント業となりますので、今回の対策もこちらが主体となります。

「Go To キャンペーン」としてのルールはこんな感じです。

①Go To Travel キャンペーン
旅⾏業者等経由で、期間中の旅⾏商品を購⼊した消費者に対し、 代⾦の1/2相当分のクーポン等を付与。(最大2万円分/泊)

②Go To Eat キャンペーン
・オンライン飲⾷予約サイト経由で、期間中に飲⾷店を予約・来店した消費者に対し、飲⾷店で使えるポイント等を付与(最⼤⼀⼈あたり1000円分)。
・登録飲⾷店で使えるプレミアム付⾷事券(2割相当分の割引等)を発⾏。

③Go To Event キャンペーン
チケット会社経由で、期間中のイベント・エンターテイメントのチケットを購⼊した消費者に対し、割引・クーポン等を付与(22割相当分)。

旅行業者経由の旅行商品、オンライン予約サイト経由で、チケット会社経由で、サービスを利用すれば利用するほど、消費者に還元するといった内容です。

④Go To 商店街 キャンペーンは、支援金を補助するので、地元で盛り上げてね企画といったところになると思われます。

短期集中でやるのと、今回の新型コロナによるダメージ回復に時間がかかることからも、纏まった時間が取れる人がどれだけいるかというのが懸念点となります。

2.地域経済の活性化
これは昨日も取り上げた部分ですが、感染症拡大の防止、地域経済・住民生活の支援に加えて、感染症の拡大収束後においても、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施することを目的として、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(仮称)」を創設します。

この予算は1兆円ありますので、感染症収束前の支援に加えて、収束後もこういった交付金で地方を盛り上げるための予算とも言えます。最も大阪とかは地域復活のための「大阪都更送」の予算とかに使われる悪寒しかしませんがwww

それはさておき、これは農林水産省に関わる部分が大きいです。

・令和2年度農林水産関係補正予算の概要
https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/yosan/attach/pdf/200407-1.pdf

1 農林水産物等の販売促進、飲食業の需要喚起
① 需要が減退している農林水産物等の販売促進
・インバウンド需要・外食需要の減少や輸出の停滞等により、在庫が増加して滞留する等の影響が生じている農林水産物等について、販売促進の取組を幅広く支援

ア)牛肉、果物、水産物、花き等の販売促進を支援
イ)公共施設等の木造化・木質化のプロモーションを支援
ウ)需要が減退している農林水産物等の需要を喚起するための広報活動を支援 等

ここらへんと、「Go To キャンペーン事業」が、今回の部分に関わってきます。

あとは、新型コロナウイルスの影響を受けた企業の新事業開拓を後押したりする狙いで「新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンド(仮称)」を創設するようです。

・令和2年度補正予算における財政投融資計画の追加について
https://www.mof.go.jp/filp/plan/fy2020/r02hosei/zt001.pdf

Ⅳ.強靱な経済構造の構築

ダメージを受けたサプライチェーンについて、経済安全保障の観点から、生産拠点の国内回帰や多元化を強力に支援するとともに、事態収束後に再び継続的に外需の取込みを図るべく、海外展開企業の事業の円滑化や農林水産物・食品の輸出力の維持・強化に取り組むのと、リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速などがテーマとなります。

1.サプライチェーン改革
2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援
3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
4.公共投資の早期執行等

1.サプライチェーン改革
経産省の資料より。



新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、マスク等の衛生用品も含めた我が国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことを踏まえ、複数年にわたる取組により、国内回帰や多元化を通じた強固なサプライチェーンの構築を支援するとあります。

今回の件でサプライチェーンの脆弱性、そして一定の国に依存するのが経済安全保障の観点からも、問題と見えたのは大きいと思います。サプライチェーンの国内回帰、もしくは多元化といった形で支援といった内容となります。グローバル化の脆弱性そのものの問題ですし、ある意味、こういった形で課題が見えたことは決して悪いことではないと思いますよ。これがホントの有事で露呈してたら、死活問題になりかねない状況でしたし、そういった意味でも、経済安全保障の観点も兼ねての対策ともいえます。

余談ですが、今年の4月から、国家安全保障局(NSS)に経済班が発足しました。国家安全保障に経済は重要な要素で、この取組は評価しております。

2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援

これは農林水産省の補正予算を紹介します。

①新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえた輸出の維持・促進
・家庭食の輸出増加や新規・有望市場でのシェア獲得等、輸出の維持・促進を図るため、
物流に対する支援、食品製造設備等の整備・導入支援、新規・有望市場の維持・開拓に必要な商談・プロモーションの支援等を実施

②国産農産物への切替えに対応した体制の整備
・国産農産物への切替えを円滑に図るため、産地と実需者が一体となって行う野菜等の加工に必要な施設整備・改修を支援

この辺も、安全保障にも絡んでる部分でもあり、農林水産物のサプライチェーンの見直しなども重要となります。

閣議決定の内容でもこういった事業が含まれております。

・ 輸出力の維持・強化に向けたプロモーション・施設整備等への重点支援(農林水産省)
・ 国産農畜産物供給力強靱化対策(農林水産省)
・ 国内外の新たな需要に対応した次期作の取組支援(農林水産省)
・ 公共施設等における花きの活用拡大支援(農林水産省)
・ 和牛肉保管在庫支援緊急対策(農林水産省)
・ 輸出原木保管等緊急支援事業(農林水産省)
・ 特定水産物供給平準化事業(農林水産省)
・ 国産農林水産物等販売促進緊急対策事業(農林水産省)

3.リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
ここの項目では、GIGAスクール構想について取り上げます。文科省のHPを紹介します。


「1人1台端末」の実現や、今回の新型コロナなどで休校した状態でも、オンラインでの授業が受けられるような枠組みだったり、Society 5.0 時代に生きる子どもたちに向けた環境つくりといった狙いもあります。

因みに、ICTについては、「情報通信技術」で、ITとほぼ同じ意味となります。

今回の補正予算部分は以下となります。

・GIGAスクール構想の加速による学びの保障
https://www.mext.go.jp/content/20200408-mxt_jogai02-000003278_412.pdf


今回の新型コロナウイルス関係で休校になった場合でも、オンライン授業などは可能ですし、Society 5.0 時代において必要な教育ともいえると思います。

私的雑感

新型コロナウイルスの緊急対策という意味合いでは、新型コロナウイルスに結び付けた形で事業規模を膨らましてる印象しか受けておりません。現段階においては「事業継続・雇用維持」に重点を置いており、収束していない間は、経済活動が麻痺している状況ですし、正常な経済活動が出来るための土壌が出来ない限りは、意図的に後手に回ってるといった感じになってると思われます。

というのも、経済対策を打つにしても、タイミングは重要で、適切な手段がなければ、政策と経済の乗数効果を与えることは現実的ではないし、一歩間違えたら、敵対勢力に餌を与えるだけになってしまいます。経済政策に対する違和感を感じる一番の理由は、こういった要因が大きく、経済的観点でも、大掃除が必要といったところになると思います。

理想論をほざいて自分は偉いみたいなオーラを出して上から目線でほざいているバカもいますが、こんなのに惑わされないようにしてくださいねwwwマトモな人なら、現状を理解した上で、下手に出たり時間がかかっても丁寧に理解してもらうために努力しますが、こういった主張をする連中は、背景も理解してなければ、周辺の人に対しての感謝も配慮もなく、好き勝手に言いたいことを言ってるだけに過ぎません。上から目線で正当化したほうが、自己の欲求を満たせるわけですしね。ここらへんの手口って、パヨクと本質的に変わらないしねwww

ここらへんは、消費税減税や現金の一律給付あたりが分かりやすいけど、有権者ウケしやすい政策が素晴らしい政策とは限らないです。有権者ウケはよくなくても、実効性のある方法というのは、「事業継続・雇用維持」で社会基盤そのものを維持することが重要で、今を凌ぐしかないといった一見後手に見える対処療法が定石だと思います。

互いの距離を探りながら、地道に落とし所を作って穴を塞いでいく作業が求められる局面ですし、一回の対策で全てのフォローは出来ないのも事実で、今回の緊急経済対策の持つ意味はここにあると思います。