今日のテーマは未来投資会議についてです。

官邸のプレスリリースと資料を紹介します。
令和2年4月3日 未来投資会議 | 首相官邸ホームページ

 令和2年4月3日、安倍総理は、総理大臣官邸で第37回未来投資会議を開催しました。

 会議では、新型コロナウイルス感染症に関する対策の具体化、いわゆる6G(ビヨンド5G)の推進、オープン・イノベーションの推進、学校現場におけるオーダーメイド型教育(ギガ・スクール)、及び雇用を守るために期待される人材像と育成について議論が行われました。

 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。

「本日は、まず、新型コロナウイルス感染症に関する経済政策について議論しました。
 感染拡大により、世界全体で経済活動が縮小し、我が国経済にも甚大な影響を及ぼしています。中小・小規模事業者の皆様には、日本公庫の融資制度を利用いただいているところですが、窓口が混雑し、融資決定まで時間を要するという声を伺いました。このため、来週決定する緊急経済対策で史上初めて、身近な地方銀行、信用金庫、信用組合といった民間金融機関で日本公庫と同一の実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据置きの融資を受けることができるようにします。

 あわせて、集中ヒアリングにおいては、借入れをしても返済の目途が立たないため、借入れをできず、事業を継続できなくなるといった声をお伺いしました。厳しい状況にある中堅、そして中小・小規模事業者に対し、事業を持続することを目的として、史上初の給付金措置を創設します。

 次に、将来に向けた技術開発の議論を行いました。2030年頃に導入されるビヨンド5Gを見据えた国際共同研究を推進し、グローバルな官民連携の体制を整備していきます。また、企業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップ企業が大企業から一方的な契約上の取決めを、求められたりしないよう、問題事例とその具体的改善の方向や独占禁止法の考え方を整理した、ガイドラインを作成します。
 さらに、デジタル技術を活用した遠隔教育などについて、議論をしました。学校現場では、一人1台端末の前倒し実現を図るとともに、AIの活用で一人一人の生徒に応じた学びが可能となることを踏まえ、特定の科目の授業時間を柔軟に増減できるよう検討を進めます。

 新型コロナウイルス感染症が拡大する現状において、テレワークなどの遠隔対応は、国民生活の維持の観点から、喫緊の課題です。
 特に、患者の方々のみならず、医師・看護師の皆様を、院内感染リスクから守るためにも、この機にオンライン診療を積極的に活用することが重要であり、規制改革推進会議において早期に結論を得る考えです。
 西村経済再生担当大臣を中心に、関係省庁が連携し、本年夏の成長戦略実行計画の策定に向けて、具体的な検討を進めていただくようにお願いします。」

資料は以下となります。

(配布資料)
資料1 基礎資料
資料2 論点メモ
資料3 公正取引委員会委員長提出資料
資料4 総務大臣提出資料

新型コロナウイルス感染症に関する経済政策

中小・小規模事業者に対して、日本公庫の融資制度を利用しているが、窓口が混雑し、融資決定まで時間を要するという声もあることから、地方銀行などの民間金融機関で日本公庫と同一の実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据置きの融資を受けられるようになります。

また、入れをしても返済の目途が立たないため、借入れをできず、事業を継続できなくなるといった声もあることから、事業を持続することを目的として、史上初の給付金措置を創設するようです。

事業を持続することを目的とした手厚い政策で、中小企業と雇用を全力で守ろうとするのが、今の政権の一番の目的ですが、メディアもこういうのを報じてないから、制度が知り渡っていないという課題が大きいですね。個人的にはこういった重要な制度を報じないメディアは潰していいレベルです。。。

資料1から海外の経済対策状況を紹介します。ホント現状は厳しいです。。。


今回、主要国において足並みを合わせてるのが中小企業への対策や雇用に重点が置かれてることが分かると思います。現金給付にしても、収入の対象が絞られており、一律で実施されていないことだけは分かると思います。そういう意味では、日本の経済対策は、他の国に比べても、結構充実してるんですよ。

ビヨンド5Gについて

5G関係ですが、日本は敢えて消極的なような動きを見せてるように思います。資料1を紹介します。

5Gについては何度も書いてるのですが、基本的に消極的です。おさらいも兼ねて過去記事を紹介します。

5G関係-ぱよぱよ日記

以下の記事も紹介します。

5Gは周波数の兼ね合いから、多くの基地局を設置する必要があって、現行の5Gについては、4Gとそこまで言うほど大きな差があるわけではないです。一部しか開通してないし、かなりのスロースタートになっております。個人向けにおいては、積極的に先行投資するほどのメリットがないですし、意図的に遅らせてる理由は、リリース16/17の仕様待ちの要因も高いです。

リリース16の内容。
 リリース16では、自動車、産業向けIoT、免許不要周波数帯(アンライセンスバンド)の活用を柱に作業が進められている。自動車に関しては、LTE-V2X(Vehicle to Everything)の2度のイタレーションをベースに、低遅延性を生かした5GベースのV2X仕様を策定中。産業向けIoTとURLLC(Ultra-Reliable Low Latency Communications、超高信頼性低遅延通信)については、工場自動化、Ethernetから5G NRへの置き換えを中心に進めている。免許不要帯については、従来のLAA(Licensed Assisted Access)に加えて、免許不要帯のみでの運用も対象となる。

5Gはローカル5Gの産業用が先行して進みそうです。

この点では日本も積極的に動いております。

ポスト5Gというのが、リリース16以降の話で、Society 5.0に関連した話となってきます。


以下の資料も紹介します。

○Society 5.0時代の持続可能な地域社会の構築 (総務省重点施策2020)
https://www.soumu.go.jp/main_content/000641086.pdf

ビヨンド5G(6G)については、資料4を紹介します。

まずは全体像。

具体的施策の内容です。


ビヨンド5Gに向けた取り組みを各国で進めており、「ゲームチェンジ」というキーワードが一つの鍵となりそうです。ポスト5Gで産業向けの開発を進めて、ビヨンド5GとSociety 5.0の実現に動くものと思われます。

スタートアップについて

スタートアップ企業については、所謂ベンチャーだったり、新たなビジネスモデルを開発する起業で、市場を開拓する段階の企業のことを意味します。

スタートアップ企業が大企業から一方的な契約上の取決めを、求められたりしないよう、問題事例とその具体的改善の方向や独占禁止法の考え方についてです。

資料1より。

大企業と中小企業の連携における課題を紹介します。

○大企業と中小企業の連携における課題①
ノウハウや知的財産に関連して中小企業が大企業から片務的な取り決めを求められる事例として、「ノウハウの開示 や知的財産権の無償譲渡を強要される」企業が59%、「共同研究開発中に生まれた全ての知的財産を大企業に帰属させられる」企業が10%などとなっている。

○大企業と中小企業の連携における課題②
取引先からの片務的な要請を受け入れた中小企業は、その理由として「今後の取引への悪影響があると自社で判 断した」(35%)、「取引先から今後の取引への悪影響を示唆された」(26%)などを挙げている。

一例としては以下となります。


一応、アメリカのスタートアップに関する一例を紹介します。

これだけ見ると、とんでもない話のように思えるかもしれませんが、大企業がスタートアップ企業側に投資をしてるので、相応の成果が求められるわけですが、新しい市場を開拓するのも難しく、投資の成果が出ないことが少なくないです。リスクヘッジの観点からも、こういった契約になってしまうことについては、出口戦略がアメリカと異なることが一番の理由です。

アメリカはスタートアップ企業が成果を出したら、M&Aで大企業が吸収することを前提で、契約してる一面もあるので、こういった契約が出来ますが、日本の起業の出口戦略がそうなってないから、こういった契約にならざるを得ないという事情があります。

日本が何故このような契約を交わすかといえば、共同開発した技術を、同業他社に売りつける可能性もあるので、大企業に帰属させるしかないというのが背景にあります。M&Aを前提にスタートアップするという文化が日本にあれば、アメリカのやり方でも問題はありませんが、表面的な問題だけを取り上げて、変な制約を課すのであれば、スタートアップ企業に投資する大企業がいなくなるだけのような気がします。

そういった意味だと、日本の現状を考えると、社内スタートアップの方が合いそうな気がするし、日本人に合うやり方で最善の方法を模索するしかないと思います。

遠隔健康医療相談と遠隔診療について

○遠隔健康医療相談サービス
資料を紹介します。


オンラインによる遠隔健康医療相談サービスの件ですが、満足度は概ね高い傾向を示しております。ただ、この手の調査というのは、利用したいと思った人が利用してみた結果であって、どのような医療内容を医師に相談したのかという要素が重要と思います。この要素を考慮せずに全ての医療相談をフォロー出来るかといえばそうではないし、あくまで医療相談という観点で、積極的に使いたい人を対象にしているのがポイントです。

このツリーは参考になると思います。

ここで重要なのは、この資料は「遠隔健康医療相談サービス」であって、「遠隔診療」ではないということに尽きます。診療は医療従事者が診察や治療などを行うことで、相談とは意味が違います。

ここらへんを一緒にして考えるのは危険で、特に初診から診療をやれというのは論外ですし、遠隔で可能なことは、一般的な事前相談だったり、かかりつけの医者への相談といった観点になると思います。遠隔による対応というのも、こういったところが重要になると思います。オンライン診療の可能性がないわけではないが、医療全般をオンライン化については、弊害も大きいですし、対象の範囲を絞ったほうがいいと思います。