今回は中国関係です。

習近平と米中貿易戦争の件

米中貿易戦争とされる件です。以下の記事を紹介。



この件は、米中貿易戦争や関税に関する問題ではないです。この構図を見落とせば、全体像がぼやけてみえるし、メディアもミスリードしているわけですね。本質は、10月の日米首脳会談の共同宣言の6項に基づいております。
6 日米両国は,第三国の非市場志向型の政策や慣行から日米両国の企業と労働者をより良く守るための協力を強化する。したがって我々は,WTO改革,電子商取引の議論を促進するとともに,知的財産の収奪,強制的技術移転,貿易歪曲的な産業補助金,国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため,日米,また日米欧三極の協力を通じて,緊密に作業していく。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000402972.pdf
これらの問題の対処として、対中貿易の関税という圧力をかけてるのが実態で、貿易戦争というより、世界各国に対して、対米貿易で中国で製造したものに対しての制裁を意味します。ここらへんは分かりやすいんだけど、世界2位のGDPの中国に対して、先進国と同じ基準という構造改革を要求しているのが交渉の実態ともいえます。

中国がこれらの条件を飲まない限りは、実質的に市場から締め出すという意思表示をしているというのが、米中貿易戦争と言われる内容の本質であって、これらの対象については、米国企業も例外ではないという事を意味します。単純に貿易とか関税の問題ではないことは明白だと思います。


ここで習近平の状況について触れておきます。習近平の独裁体制(笑)とかいうのは、典型的なミスリードで、中国共産党内でもそこまで言うほど政治力はないです。この記事と図を見れば、ある程度見えてくると思います。


これを見ると、中国共産党内で習近平派とされるのは少数派閥であることが分かると思います。弱小派閥の習近平が国家主席になった理由は、鄧小平派(共青団派と上海閥)が、今後において現状の体制が持たなくなることを想定して、その責任を習近平に押し付ける事を目的にして利害関係が一致したというのが一番の理由と考えております。その凶兆そのものは、北京五輪あたりの時期に見えていたわけです。その後のからくりについては、米民主党と投資銀行のリーマンショック後の尻拭いとして、中国を生贄にして延命を図ったといったところが実態のように思います。

関係記事は以下となります。
こういった背景があって、習近平体制の強化という昨年の共産党大会に繋がります。元々弱体派閥の習近平だから、孤立というか別の意図で動いてるというのが実態で、中国メディアの報道の意図を読み解かないといけないと思います。

基本的には西朝鮮に対してはこんな整理でいいと思いますwww

・習近平→国粋
・共青団派→用日
・上海閥→反日

全てにおいて、日本の国益とイコールになるわけもないし、置かれてる状況から考えて、日本の国益がどこにあるかということを考える必要があるわけですね。

10月の日中首脳会談もおさらいしておきましょう。


実際は、最後通牒になるか蜘蛛の糸になるかは不明ですが、改善の道筋を残しておく必要があると書いた理由はここにあるわけですね。構造改革を受け入れるなら、日中首脳会談の日中新時代の3原則の道筋が描かれるということに繋がります。

日中関係や日米関係において、一本の道筋で繋がっており、中国に対して所謂ガイアツをかけて、構造改革を迫ってるというのが、一連の動きですので、枝葉に惑わされないように一連の対応を見届けてほしいと思います。

ファーウェイ(Huawei)の件

旅券7通使うCFO、加検察「国外逃亡の恐れ」 : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 米国の要請でカナダで身柄拘束された、中国の通信機器大手「華為技術」(ファーウェイ)の孟晩舟モンワンジョウ・最高財務責任者(CFO)(46)が、少なくとも7つのパスポート(旅券)を保有していたことが、カナダ検察の訴追資料から明らかになった。孟氏側は旅券の押収に応じることを条件に保釈を求めているが、検察側は孟氏が複数の旅券を使い分けていることから保釈後に別の旅券を使って国外に逃亡する恐れが極めて高いと反論している。

 訴追資料によると、孟氏は過去11年間に中国旅券を4通、香港旅券を3通、計7通の旅券の発行を受けていた。孟氏は海外出張のたびに、これらを使い分けていた可能性があるという。

 カナダ西部バンクーバーの裁判所で7日に行われた保釈申請の審問で、弁護側は孟氏が旅券の押収に応じると主張。カナダ入国の際には香港旅券を使用していたが、別に保有する中国旅券も本国から空輸して提出することを明らかにした。

 米ニューヨーク連邦地検によると、孟氏は当局が把握している7通の旅券以外にも、複数の旅券を所持している可能性が高いという。このため、カナダ当局が旅券を押収したり、任意提出を受けたりしたとしても、「さらに別の旅券を使ってカナダから逃亡する恐れがある」と主張している。(ロサンゼルス支局長 久保庭総一郎)
逮捕されたのは以下の記事が参考になります。


人民解放軍系の企業であるファーウェイの孟晩舟氏が逮捕された件ですが、イランへの制裁違反ということもあって、資金洗浄の容疑とアメリカ金融機関に虚偽説明をしていた容疑での逮捕のようです。最も7つのパスポートを持ってたということからも、いろいろときな臭い事案ともいえます。このような旅券を発行していた中国・香港政府の対応も大問題ですし、アメリカとの取引でファーウェイが利用できなくなることを意味します。

この件はそんなに簡単な話ではなく、対米相手のファーウェイとの関係にもなりますが、国内事情についても、影響が出てくるのは明白です。

このニュースの意図が何を意味するかも重要です。



ファーウェイ製品を分解して「余計なもの」が見つかったという報道する意味は重要だと思います。アメリカの動きからしても、人民解放軍の意図が見えてくることからも、ファーウェイ製品の公的機関の使用や対米ビジネスからの排除を意味しており、そのサインという意味が含まれております。

以下の記事を紹介。
NTT社長、政府方針注視 ファーウェイ幹部拘束で - 産経ニュース

 NTTの澤田純社長は7日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)幹部の拘束を巡り、日本の政府調達方針を注視する考えを示した。出張先の米ラスベガスで共同通信などの取材に応じた。

 澤田氏は「ファーウェイ製品は基地局などの主要部には入れていない」と説明。NTTドコモが扱うファーウェイ製スマートフォンについては「(対応を)考えなければいけないかもしれないが、状況を見てからだ」と述べるにとどめた。

 また「米政府関係の仕事もあるので、(米政府の対応を)優先して考えないといけない」とも語った。(共同)
NTTは基地局などの主要部に入れてないことは、以下の図からも分かると思います。この図がいろんなところに拡散してるが、ホント望ましい話ですね(笑)

NTTの社長が米政府関係の仕事もあるのでという言い方をするというのは、政府方針に従うというよりは、米政府の対応を見ると言ってるのと同じなわけですね。以下の記事を紹介します。
米政府、中国の通信大手“ファーウェイ”など5社を締め出し…『ファーウェイ製品、使っているだけでも取引停止』

▼記事によると…

・米上下両院は2018年8月、中国の通信大手のファーウェイとZTE、監視カメラ大手のハイクビジョン、ダーファ・テクノロジー、ハイテラの計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法」を可決させた

・米政府機関が19年8月13日以降、5社の製品や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止するというもの

・さらに第2段階として、20年8月13日以降、5社の製品を社内で利用している世界中の企業を対象に、いかなる取引も米政府機関とはできなくする

・米政府機関と取引関係のある企業の中には、中国国内に工場を持ち製品を作っているところもあるが、その多くは中国製の通信機器を使わざるをえない状況にあることが多いため、事実上、中国生産が困難となる

2018/12/6 12:44
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38606180W8A201C1SHA000/
この記事を見ると、2020年8月13日以降は、これらの会社の製品を部品単位でも社内で使用していれば、米政府機関とのいかなる取引は出来ないと言っております。この制裁の解除条件があれば、冒頭の日米共同宣言の内容に関わってくる話になるともいえます。中国が構造改革をして問題を解決しなければ(実質的には民主主義化)、ファーウェイを使用するメーカーとの公的機関からの取引停止以上の意味があると思います。


最後に余談・・・。

ソフトバンクのエリクソン製の基地局のソフトウェアの証明書期限問題の件ですが、邪推の上の仮説ですが、ソフトバンク網の全体が停止した原因としてはこんな感じになると思われます。

・基地局ベンダーの1社が落ちたら対処出来ない構造でキャパに余裕がなかった
・ZTEやファーウェイの基地局の比率が低く、エリクソン網の依存度は高かった
・ファーウェイの基地局で何らかのテストが行われた可能性

発生時期を考えると、エリクソン製の証明書の期限問題に合わせて、ファーウェイの基地局に関して、何らかのテストが行われてた可能性というのは否定は出来ないと思います。基地局に余計なものがあれば、ファーウェイ製の基地局が一時的に機能停止することは可能だと思うし、キャパを超えたトラフィックがあれば、システム全体の停止を意味しますので、インフラ機能の一部を停止することで、どのような影響を及ぼすかというのをテストしていた可能性は否定はできません。現に混乱が生じてたわけでね。この騒動を考える上で、ソフトウェアの不具合を理由に通信網全体を止めることが出来ることも意味している部分もあるので、注意が必要な部分だと思いますね。