今回は外国人の在留資格と不法滞在に関する内容です。

新たな在留資格の件

送還を拒否する国を除外 新在留資格で法相  :日本経済新聞

山下貴司法相は10日の閣議後の記者会見で、来年4月に創設する新たな在留資格について、日本から強制退去となった外国人の送還を拒む国からは労働者を受け入れない方針を明らかにした。不法就労目的の難民認定申請や不法滞在者が多い国も審査を厳格にする。山下法相は「不法残留をいたずらに生む制度であってはならない。適切に制度設計したい」と述べた。

法務省によると、日本国内の不法残留者は4年連続で増加している。不法滞在などで強制退去を命じられた外国人は、日本国内の施設に一時的に収容される。各国は国際慣習上、自国民の送還者を受け入れる義務があるが、一部に履行しない国もあり、収容が長引く要因になっている。新資格での受け入れに条件を設けることで不法滞在の増加を防ぐ。
来年4月に創設する新たな在留資格に関する件ですが、実質的には受け入れ拡大のように見せつつ、制度を固めることにより、不法滞在や不法就労を減らす事と、例外を減らすように制度設計をすることが大きな目的ともいえます。入国管理庁の格上げもそういった意味も含まれると思われます。

ここで、不法残留者に関するデータを紹介します。
法務省:本邦における不法残留者数について(平成30年1月1日現在)

2 国籍・地域別不法残留者数(第1表,第2表,第1図,第2図)

 不法残留者数の多い上位10か国・地域は次のとおりです。
 平成29年1月1日現在から,国籍・地域及び順位に変化はありませんが,中国,タイ,ベトナム,マレーシア及びブラジルの5か国・地域は増加し,その他の5か国・地域は減少しました。
 (1) 韓国              12,876人 (構成比 19.4%) (- 2.9%)
 (2) 中国         9,390人 (構成比 14.1%) (+ 6.1%)
 (3) タイ           6,768人 (構成比 10.2%) (+ 4.0%)
 (4) ベトナム        6,760人 (構成比 10.2%) (+31.6%)
 (5) フィリピン       4,933人 (構成比  7.4%) (- 2.9%)
 (6) 台湾          3,784人 (構成比  5.7%) (- 2.6%)
 (7) インドネシア     2,076人 (構成比   3.1%) (- 6.6%)
 (8) マレーシア      1,784人 (構成比  2.7%) (+ 1.3%)
 (9) シンガポール    1,034人 (構成比  1.6%) (- 1.1%)
 (10) ブラジル        976人 (構成比  1.5%) (+ 1.8%)
        その他      16,117人 (構成比 24.2%) (- 2.7%)

4 不法残留者の退去強制手続の状況(第4表)

 不法残留者のうち,既に退去強制令書の発付又は出国命令書の交付を受けている者は2,887人(うち難民認定手続中の者1,067人)です。
 不法残留者数の多い上位10か国・地域の不法残留者のうち退去強制令書の発付又は出国命令書の交付を受けている者は次のとおりです。
 (1) 韓国             123人 (構成比  4.3%)
 (2) 中国             282人 (構成比  9.8%)
 (3) タイ                89人 (構成比  3.1%)
 (4) ベトナム        230人 (構成比  8.0%)
 (5) フィリピン        353人 (構成比 12.2%)
 (6) 台湾              16人 (構成比  0.6%)
 (7) インドネシア      63人 (構成比  2.2%)
 (8) マレーシア        16人 (構成比  0.6%)
 (9) シンガポール       8人 (構成比  0.3%)
 (10) ブラジル      145人 (構成比  5.0%)
    その他      1,562人 (構成比 54.1%)
難民認定申請は以下となります。

法務省:難民認定制度の運用の更なる見直し後の状況について

これらの上位5カ国の審査を厳格にするべきだと思います。強制送還拒否についても同様ですが、在留資格の見直しは早急に行う必要があります。不法滞在を許すということは、正規の手続きで滞在している外国人との不公平感もありますので、法律などについては法治国家としては厳格に運用しないといけないと思います。逆をいえば、不法滞在を許可しろといってる連中は、入管法違反幇助行為とも言えるし、特に違法行為を推進しているような司法関係者などは、懲戒請求に値する事案とも言えます、ハイ。

タイキョの瞬間の件

フジ「タイキョの瞬間!」に批判 「外国人差別を助長」:朝日新聞デジタル

フジテレビ系で6日夜に放送された「タイキョの瞬間!密着24時」に、反発の声が上がっている。外国人問題に取り組む弁護士らが「人種や国籍等を理由とする差別、偏見を助長しかねない」とする意見書をフジに送ったほか、ネット上でも番組の姿勢を問題視する声が出ている。

 タイキョの瞬間!は、午後7~9時放送の単発番組で、副題は「出て行ってもらいます!」。ナレーションによると「法を無視するやつらを追跡する緊迫のリアルドキュメント」で、テーマは強制退去。不法占拠や家賃滞納の現場を紹介する中で、外国人の不法就労なども取り上げた。

 技能実習生として来日した後に逃亡したベトナム人女性が、不法就労をしたとして東京入国管理局に摘発される様子のほか、同局の収容施設を「約90通りの料理を用意できる」「刑務所とは異なり、食事と夜間以外は自由に行動できる」などと紹介する場面などを放送した。「取材協力 東京入国管理局」と明示され、東京入管のツイッターも放送前に「ぜひご覧下さい!」と番組をPRしていた。

 弁護士の有志25人は9日、フジに送った意見書で、技能実習制度の問題点や、収容施設の医療体制の不十分さ、自殺者が出ていることに番組が一切触れなかったことなどを指摘。「外国人の人権への配慮が明らかに欠如する一方、入管に批判なく追従し、主張を代弁しただけの、公平性を著しく欠いた番組」だと批判した。ネットでも「入管のプロパガンダ番組だ」などの声が上がっている。

 フジテレビ企業広報室は取材に対し9日、「この番組では、さまざまな退去の瞬間にスポットを当て、その様子を放送いたしました。東京入国管理局が、不法滞在・不法就労の外国人を摘発するシーンもございましたが、取材に基づいた事実を放送しており、決して外国人を差別する意図はございません。番組に対して、いただいたご意見は真摯(しんし)に受け止め、今後の番組制作に生かして参りたいと考えています」と答えた。
関係記事。

【フジ】外国人の“不法滞在者”を摘発する入国警備官に密着した番組が差別扇動だとネットで批判の声… → 抗議活動も発生

不法滞在については、入管法違反という犯罪です。犯罪は差別ではなく、区別というか、法治国家として摘発するのは当然ですし、このような行為について、弁護士が意見書を送るというのは、司法関係者として如何なものかと思います。人権問題を考えた場合は、相手国に実費請求の上で、早期に強制送還するのが一番の人道的措置ともいえます。

昨年の出入国管理及び難民認定法違反の状況は以下となります。
法務省:平成29年における入管法違反事件について

 平成29年中に出入国管理及び難民認定法違反により退去強制手続を執った外国人は,1万3,686人で,そのうち不法就労事実が認められた者は,9,134人です。
 平成29年中に退去強制令書により送還された者は,8,145人です。
 また,平成29年末現在,退去強制令書が発付されている被仮放免者数は,3,106人です。
PDFは以下となります。

http://www.moj.go.jp/content/001254454.pdf



不法残留者と入管法違反の因果関係において、不法残留者数が韓国が一番多いにも関わらず、入管法違反の数の少なさは特に気になります。

こういったデータを元に不正を減らすためにも、在留資格の見直しなどは必要になると思います。正規の方法で滞在したいと思っている外国人に対しても失礼な行為ですし、きちんとルールを守る人を受け入れることが重要で、不法行為を行ってる人を受け入れろというのは、決して外国人のためにはならないと思います。そういう意味でも、この番組は有益な一面もあったと思うし、報道というのはこういった実態を伝えることにあると思います。決して入管のお仕事はプロパガンダではないし、こういった言動をする連中が問題なんだけどね。