今日はGSOMIA関係です。まずは記事の紹介。

日韓軍事情報協定を破棄 韓国政府が決定  :日本経済新聞

【ソウル=恩地洋介】韓国大統領府は22日、国家安全保障会議(NSC)の常任委員会を開き、日韓で防衛秘密を共有する日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めた。輸出管理を厳しくした日本への反発から韓国政府内では破棄論が強まっていた。北朝鮮がミサイル発射を繰り返すなか、日米韓の安全保障協力に影響を与えるのは確実だ。

NSCの金有根(キム・ユグン)事務処長が記者会見で「GSOMIAの終了を決めた。外交ルートを通じて日本政府に通告する」と述べた。

破棄の理由として日本が輸出管理を簡略化する優遇対象国から韓国を除外すると決定したことを挙げ「両国の安保協力環境に重大な変化をもたらした。敏感な軍事情報の交換を目的とした協定を続けることは国益に合致しない」と説明した。

康京和(カン・ギョンファ)外相は記者団に「韓日の信頼問題に触発された決定だ」と強調。韓国大統領府関係者は「日本が報復措置を撤回すれば、見直しもあり得る」と記者団に語った。

GSOMIAは日韓の防衛当局が防衛秘密の交換を円滑にするための協定。2016年11月に署名し、1年ごとに更新してきた。破棄の場合は24日までに相手国に通告する必要がある。
実際はGSOMIAの破棄ではなく、NSCがGSOMIA終了の決定を行い、24日までに通告するという決定をしたというのが正しい内容で、終了が決定したというわけではないです。終了理由に輸出管理を簡略化する優遇対象国を除外したことをあげていますが、ここらへんは適当に口実をつけてるだけでしょう。

GSOMIAについて

軍事情報包括保護協定 - Wikipedia

軍事情報に関する包括的保全協定(ぐんじじょうほうにかんするほうかつてきほぜんきょうてい、英語: General Security of Military Information Agreement, GSOMIA、ジーソミア)とは、同盟など親しい関係にある2国あるいは複数国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定。2019年8月現在、日本はアメリカ合衆国やNATOなど7カ国と、アメリカ合衆国は60カ国以上と、韓国は33カ国とこの協定を締結している。

概説
この協定は、軍事技術だけではなく戦術データ、暗号情報、高度のシステム統合技術など有事の際の共同作戦に必要な情報が網羅的に対象となる。秘密情報活動で得られた情報も含まれるのが一般的とされている。
GSOMIAは、秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定となっております。

正しくは破棄ではなく終了となり、24日までに通告する必要がありますが、終了を決定したが、通告は済ませていないというのが現在の状況ともいえます。

また、以下の記事を見ると、「協定は終了通報後90日間は有効」と書かれております。

青瓦台、GSOMIAを延長せず-Chosun online 朝鮮日報

即ち、GSOMIAの終了の通告を24日までに行わない場合は自動更新、終了した場合でも、90日後の11月22日までは有効となることを意味します。そういった意味合いでは、現段階においては、時間稼ぎといった意味以外はないように思います。

河野外相のコメントについて

外務大臣の談話は以下となります。
大韓民国による日韓秘密軍事情報保護協定の終了の決定について(外務大臣談話) | 外務省

1)2016年11月23日,日韓両国政府は,両国の間で交換される秘密軍事情報の保護を確保する目的で,「秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定」の署名を行い,本協定は同日に発効しました。

2)本協定は,安全保障分野における日韓間の協力と連携を強化し,地域の平和と安定に寄与しているとの認識の下,2016年の締結以来,これまで毎年,自動的に延長されてきたものです。

3)それにもかかわらず,今般,韓国政府が本協定の終了を決定したことは,現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ず,極めて遺憾です。

4)韓国政府は今般の発表の中で,安全保障の文脈において,韓国政府による協定終了の決定と先般の我が国による輸出管理の運用見直しを関連付けていますが,両者は全く次元の異なる問題であり,韓国側の主張は全く受け入れられず,韓国政府に対し,断固として抗議します。

5)日韓関係は現在,今回の決定を含め,韓国側からの極めて否定的かつ非合理的な動きが相次ぎ,非常に厳しい状況が続いていますが,日本政府としては,様々な問題についての我が国の一貫した立場に基づき,引き続き韓国側に賢明な対応を強く求めていく考えです。
これを見る限り、そこまで言うほど深刻な話のようには見受けられないです。河野外相のツイート。
ホントに深刻な状況のツイートには思えないのですがwww

さらに言えば、安倍首相や菅官房長官も、この件について具体的な言及をしていないことからも、想定通りの動きのように見受けられます。

韓国国家安全保障会議について

韓国のNSCについて紹介しておきます。
韓国国家安全保障会議 - Wikipedia

韓国国家安全保障会議(こっかあんぜんほしょうかいぎ、英: National Security Council)は、アメリカ合衆国国家安全保障会議に倣って設置された、大韓民国の国家行政機関(独立委員会)。韓国の国家意思を決定する代表的なブレーンである。

関係者は以下となると思われます。
韓国がNSC開催 海自哨戒機による威嚇飛行の深刻性など議論 | 聯合ニュース

 会議には康京和(カン・ギョンファ)外交部長官、趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官、徐薫(ソ・フン)国家情報院長、盧炯旭(ノ・ヒョンウク)国務調整室長、李尚チョル(イ・サンチョル)国家安保室第1次長、南官杓(ナム・グァンピョ)国家安保室第2次長などが出席した。

案外気になるニュース。
文大統領 国家安保室第1次長に厳重警告=北朝鮮船接岸問題で(聯合ニュース) - Yahoo!ニュース

【ソウル聯合ニュース】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3日、北朝鮮漁船1隻が当局に気付かれずに北東部・江原道の三陟港に接岸したことに関連し、金有根(キム・ユグン)青瓦台(大統領府)国家安保室第1次長を厳重警告処分とした。
(中略)
 一方、金第1次長に対する処分を皮切りに、国家安保室に対する懲戒がさらに行われる可能性も指摘されており、さらには国家安保室の人事が刷新されるとの見方も出ている。
重要なのは、「金第1次長に対する処分を皮切りに、国家安保室に対する懲戒がさらに行われる可能性も指摘されており、さらには国家安保室の人事が刷新される」の部分です。これが意味するものは、NSCの決定権が文在寅にないということになります。

いろんな動きから見ても、文在寅自身の発言で、日本に強く言及した部分って意外と少ないし、8/15でも白装束を着てることからも、覚悟しているように思います。

韓国文大統領トーンダウン演説…反日集会参加者の“意外なホンネ” - FNN.jpプライムオンライン

「私たちは過去に留まらないで日本と安保・経済協力を持続してきました」
「日本が対話と協力の道に出てくるならば私たちは喜んで手を握ります。公正に交易して協力する東アジアを共に作っていきます」


大統領となれば、国益のために何をするべきかというのは十分理解しているわけで、それが出来ないというのは、何か理由があっての話と考えるのが自然です。大統領の末路の系譜を見て、何かの覚悟がないと大統領になろうとは思わないでしょう。

国としては朴槿恵の就任時には完全に詰んでおり、現実的に取れる手段は存在しないと思います。恐らくはアジア通貨危機のIMF救済で終わってた可能性もあります。アジア通貨危機については以下の記事で簡単に触れておりますので参考までに・・・。

ジョージ・ソロス-ぱよぱよ日記

あとはこちらも気になります。

こちらの記事もですかね。

家族を人質に取られてる可能性も高く、家族を守るために相手側に従ってたが、一定の覚悟が出来たことが、先日の演説の背景にあるかもしれません。

因みに、この件について文在寅も何も言葉を発しておりません。

一つの仮説

国防省などには継続論が強く、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は21日、同協定について「戦略的価値は十分にある」と指摘していることからも、日米韓の関係の重要性については認識しているように思います。

防衛省・自衛隊:防衛大臣臨時記者会見|令和元年6月2日(日) 12:04~12:14(日本時間)

あとはこちらも。

韓国の鄭景斗国防部長官「我々を挑発するなら北朝鮮は敵」 - ライブドアニュース

状況的にある程度は共有しており、GSOMIAの終了についても、別の可能性があるのかもしれません。その意味では、日米韓でも既定路線の動きかもしれません。

これは輸出管理の話にも通じますが、輸出管理が出来ていない理由と同じで、フッ化水素など不正輸出に関係してるかもです。

GSOMIAは、「秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐために結ぶ協定」で、いろいろと漏洩していることからも、一旦終了したほうがいいという判断になった可能性もあるかもしれません。首脳クラスからの発言が出てない以上、既定路線と見たほうが自然のように思います。現状この協定自体にメリットがあるのかは疑問ですしね。

てなわけで、この件は冷静に見たほうがいいかもしれません。