まずはこちらから。

教育再生実行会議について


 令和2年7月20日、安倍総理は、総理大臣官邸で第46回教育再生実行会議を開催しました。

 総理は、挨拶で次のように述べました。

「これまで、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、国を挙げて対策を講じる中、学校現場において様々な取組を積み重ねてこられた教職員を始め、地方自治体や民間の教育事業者の皆様など、現場は大変だったと思います。そういう中において、子供たちのために本当に御努力を頂きました。関係者の皆様のたゆまぬ努力に対し、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 今般の感染症の影響によって、子供たちの学びに遅れが生じたり、地域や学校の間で格差が生じるようなことはあってはならず、感染症対策と子供たちの健やかな学びを両立し、あらゆる手段を尽くして、子供たちを誰一人取り残すことなく、その学びを保障していかなければなりません。
 このような感染症を始め、今後どのような事態が生じたとしても、子供たちの学びを確実に保障できる教育システムを構築していく必要があります。
 さらに、遠隔教育の本格化や高等教育のグローバル化など、ポストコロナ期における新たな学びの在り方とともに、秋季入学など教育分野に留まらず、社会全体で取り組まなければならない事項についても検討する必要があります。
 委員の皆様におかれましては、正に国難とも言える状況下で明らかになってきた新たな課題の解決に向けて、精力的に御議論いただくとともに、あわせて、これまでの提言のフォローアップにも取り組んでいただくようお願い申し上げまして、私の冒頭での御挨拶とさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。」
あんま馴染みのない教育再生実行会議の件です。Wikipediaを紹介します。


教育再生実行会議は、第2次安倍内閣における教育提言を行う私的諮問機関である。2013年(平成25年)1月に発足したようです。

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今回の会議資料です。


○資料3 前回会議以降の主な教育政策の動きについて

上記の資料を見ると、以下の内容が記載されております。

①新型コロナウイルス感染症に係る主な経緯について
②児童生徒・学生の学びの保障について
③秋季入学の議論について
④大学入試改革について

②児童生徒・学生の学びの保障について
概要は以下となります。
GIGAスクール構想については、文科省のサイトから確認出来ます。


リーフレットの紹介。


ICTを活用した遠隔教育の本格化や高等教育のグローバル化などが一つの鍵となります。今回みたいな事が起きても、遠隔教育の環境ができていれば、ある程度はフォロー出来ますし、新型コロナ関係なく、今後に向けて取り組まないといけない課題とも言えます。

③秋季入学の議論について
以下のスライドを紹介します。


正直なところ、資料を見た感じ、秋季入学については現実的ではないように思います。最初の1年だけではないですし、社会全般の影響を考えると弊害だらけだと思います。というか、秋季入学については、一部の連中が中国に合わせたいという思惑が強いとしか思えないですし、他の国を見ても秋季入学を取り入れてる国が多数というわけではないです。

留学生については、別枠で秋季だけではなく、各国の事情に合わせて受け入れればいいだけの話ですし、社会全体で合わせる必要性があるかと言われたらないと思いますし、某国に合わせるのが高等教育のグローバル化と言われれば違うと思いますがね。

日銀のデジタル通貨の検討について


 日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行に備えた検討を本格化する。20日付で、決済機構局内に新組織「デジタル通貨グループ」を設置。政府が先に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」でも検討方針が盛り込まれており、日銀は政府とも連携し取り組みを強化する。

 日銀はCBDCについて「現時点で発行計画はない」とのスタンスを崩していない。しかし、中国が「デジタル人民元」実用化の最終段階に入っているほか、米フェイスブックの独自通貨「リブラ」など民間の動きも加速。新型コロナウイルスの感染拡大で、非接触型通貨の利便性や安全性が注目される中、日銀も「最優先事項」として研究を深掘りする。
 日銀は1月から欧州中央銀行を含む6中銀などとCBDCの共同研究を開始、2月には決済機構局内に研究チームを設置した。今回、このチームを格上げし、専任職員を含む約10人体制の新組織に再編。技術検証や実証実験を進める。
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日銀が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行に備えた検討を本格化するようです。CBDCの意味は以下となります。

中央銀行が発行するデジタル通貨のこと。英語表記「Central Bank Digital Currency」の頭文字をとって「CBDC」と呼ばれる。法定通貨建ての電子的な通貨で中央銀行の債務として発行されることが要件とされている。ブロックチェーンを含む分散型台帳技術などの仕組みを利用することでCBDC導入を検討する動きが各国に広がりつつある。
日銀やFRBでは研究には取り組んでいるが、現段階では「現時点で発行計画はない」ようで、これについてはFRBも同様のスタンスとなります。
「米経済と基軸通貨であるドルにとって良いものであるかどうか、よく理解しておくことがFRBの責務だ」というコメントは妥当で、デジタル通貨の技術革新についての研究にとどめて、実現によるメリットがあるかということも含め、検討が必要だと思います。

日銀のデジタル通貨に関する技術的課題の資料となります。

中銀デジタル通貨(CBDC)が現金同等の機能を持つためには、「誰もがいつでも何処でも、安全確実に利用できる決済手段」であることが求められる。したがって、CBDCを検討する際には、CBDCが「ユニバーサル・アクセス(Universal access)」と「強靭性(Resilience)」という2つの特性を備えることが技術的に可能かどうか検討することが重要なテーマとなる。

ユニバーサル・アクセスの観点からは、多様なユーザーが利用可能な端末の開発が重要となる。強靭性に関しては、通信・電源途絶への耐性を備えたオフライン決済機能を備えることが望ましい。スマートフォンを用いたケースでは、オフライン決済に必要な機能の多くに既存技術を転用可能とみられる一方、実用化に際しては、機能の安定性や処理性能の確保、コストの面などにおいて課題も残る。ユニバーサル・アクセスの確保に関しては、スマートフォンを保有していないユーザー向けの端末の開発も検討課題となろう。

CBDCについて検討する際には、こうした技術的な課題に加え、セキュリティ確保のためのセーフガードや、プライバシーとAML/CFTの両立といったコンプライアンス上の課題への対応も重要である。これらは、オンライン、オフライン決済にかかわらず重要な課題であるが、オフライン環境下ではより対応が難しくなるため、しっかり検討を行う必要がある。セキュリティに関しては、端末の定期交換などを通じて、オフライン環境におけるCBDCの偽造リスクに対応する必要があろう。また、オフライン環境では、管理者が脅威を常時把握できないため、CBDCの利用金額に一定の上限を設けて被害規模を予め限定することも一つの選択肢であろう。コンプライアンス面では、プライバシーの確保に向けた検討が重要である一方、AML/CFTの観点から不正リスクを抑制するために、決済情報の事後収集やオフライン利用金額の上限設定などを検討する必要がある。
特性として、ユニバーサル・アクセスについては特段問題はないと思いますが、問題となるのは、強靭性が大きな課題となります。オンライン決済については問題はないのですが、オフライン環境時のセキュリティや信頼性をどのようにして技術的担保をもたせることが出来るかが重要になってくると思います。中央銀行として担保するという意味合いでも、簡単な話ではないというのは確かだと思います。


中国の取り組んでいる「デジタル人民元」実用化については、以下の記事が参考になると思われます。
中国政府の視点でいえば、「技術面での優位性を世界にアピールしつつ、国内の課題である不正のあぶり出しや汚職対策を強化する狙いがある」の見立ては妥当で、デジタル通貨を通じて、マネーロンダリングを含む各種の不正監視といった国内事情が一番の要因であるともいえます。

現在の米ドルを基軸とした世界の金融システムを、デジタル通貨で淘汰出来るかと言われたら別問題でして、通貨というか、基軸通貨の特性を理解する必要があります。過去記事を紹介します。あくまで決済というのは、通貨としての機能の1つに過ぎません。


そして基軸通貨の条件は以下となります。

基軸通貨としての機能を果たすには以下の条件が必要とされている。

・軍事的に指導的立場にあること(戦争によって国家が消滅したり壊滅的打撃を受けない)
・発行国が多様な物産を産出していること(いつでも望む財と交換できること)
・通貨価値が安定していること
・高度に発達した為替市場と金融・資本市場を持つこと
・対外取引が容易なこと
デジタル通貨が出来て決済手段が確立したとしても、それについては基軸通貨としての要素を持たないわけでして、「デジタル人民元」が米ドルを基軸とした世界の金融システムに変われるものを作れるわけではないです。そういった意味では、現在のデジタル通貨の議論については、国内事情だったり、コミュニティの機能の域からは出ないと思われます。

EU復興基金について


欧州連合(EU)はブリュッセルで17日に開幕した首脳会議を延長し、新型コロナウイルスで打撃を被る国々を支援する「復興基金」について20日未明まで集中的に協議した。補助金と低利融資のバランスを巡る意見調整で進展があり、4日目となる20日午後も話し合いを継続する。

  事情に詳しい複数の当局者によれば、実質的な復興基金となる総額7500億ユーロ(約92兆円)の経済再建策のうち、返済が必要ない補助金が占める割合を3900億ユーロとする最新案が夜を徹して協議された。EU全体を代表して債券を発行し、欧州委員会が資金を調達する。

  協議の非公開を理由に当局者2人が匿名を条件に語ったところでは、補助金額に異論を唱えていたオランダとオーストリア、デンマーク、スウェーデンの4カ国が補助金部分を3900億ユーロとする案に満足し、妥協案を受け入れる用意がある。

  EUの報道官は、首脳会議が20日午後4時(日本時間同11時)から再開されると明らかにした。復興基金全体の規模や支出を管理する仕組みなど未解決の問題の決着を目指す。

  オランダのルッテ首相とオーストリアのクルツ首相は、補助金を3500億ユーロに制限するよう主張。ドイツとフランスは加盟国の多数の支持を得て、南欧の脆弱(ぜいじゃく)な国々を新型コロナの最も深刻な影響から守るため、少なくとも4000億ユーロを補助金とする必要があるとの立場だった。

  欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁はロイター通信に対し、「理想を言えば、欧州委員会の提案におおむね沿った形で、パッケージの規模とその構成という点で合意は野心的であるべきだ。もう少し時間がかかったとしても野心的なファシリティーで合意した方が良い」と発言した。
EU復興基金の件です。現行案から返済不要の補助金部分の減額する案について受け入れる準備があるということで、一歩前進したかもしれません。


現行案は以下となってました。

・復興基金の規模:欧州委が最大7,500億ユーロを金融市場から調達する現行案を再確認。
・復興基金における補助金(grant)と融資(loan)の比率:現行案(返済不要の補助金5,000億ユーロ、融資2,500ユーロ)のバランスを保持することを提案。

補助金部分を5000億ユーロから、3900億ユーロに引き下げ、融資を3600億ユーロといった割合になるとは思いますが、復興基金全体の規模や支出を管理する仕組みなど未解決の問題の決着出来るかと言われても少し微妙かもしれませんね。実際に今週の合意については懐疑的のようですし、こういった案を国民に説明できるかといった別の問題もあります。
今回異議を唱えてるのは、倹約4カ国(オランダ、オーストリア、デンマーク、スウェーデン)といった国々で、財政政策に制約があることから、倹約せざるを得ないのが実情ではありますが、そうなると返済不要の補助金部分をどこの国が持つのかといった話になるわけですね。
自国の負担増を嫌うだけではなく、ユーロそのものの問題もあります。通貨と金融政策は共通でありながら、財政政策は加盟国が権限を持ついびつな構造となっており、各国が放漫財政に走って財政状態が悪化すれば、すべての国に影響を及ぼすといった問題もあるわけで、EUとユーロの問題はこういったいびつな構造を持ってることから、金融政策についても制約があるといった状態となります。

これらの件については、財政規律派の影響力といった話だけではなく、EUの政策によって、自国にしわ寄せが来ることを避けたいわけで、どのようにして纏めてくるのかというのは関心はありますが、景気悪化が続けば、歪な構造は維持できないと思います。