まずはこちらから。

南シナ海へ弾道ミサイル発射の件


 【北京=西見由章】香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)によると、中国軍は26日朝、内陸部の青海省と沿岸部の浙江省からそれぞれ中距離弾道ミサイルを1発ずつ、南シナ海に向けて発射した。中国軍に近い消息筋が明らかにしたという。

 中国国防省は25日、人民解放軍の北部戦区が実弾演習のために設定した飛行禁止区域に米軍のU2偵察機が同日侵入したと非難する声明を発表していた。弾道ミサイル2発の発射は、こうした米軍の行動に警告を与える狙いがありそうだ。

 同紙によると、青海省から発射されたのは射程約4千キロの「東風(DF)26」。DF26は米軍基地のあるグアムを射程に収めることから「グアム・キラー」と呼ばれる。空母などを標的とする対艦攻撃も可能とされる。

 一方、浙江省から発射されたのは「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルDF21Dで、射程1500キロ超。いずれも海南島とパラセル(中国名・西沙)諸島の間に中国軍が設定した演習海域に着弾したという。

 同紙によると、消息筋は今回のミサイル発射について「他国の軍が南シナ海に接近するのを拒否する中国側の能力を向上させるのが狙い」だと指摘。米側が南シナ海で艦艇や軍用機の活動を活発化させていることへの対応だとの見方を示した。
南シナ海への弾道ミサイルの件です。関連記事は以下となります。
これについては、25日の米軍U2偵察機による飛行禁止区域への進入に対する対抗措置であり、日経の記事の通り、「空母をいつでも攻撃できるという米国へのメッセージだといえる。南シナ海などに米軍艦艇を寄せつけない『接近阻止・領域拒否(A2AD)』戦略の象徴として撃ったのではないか」といったところになると思われます。

A2ADについては、Wikipediaを紹介します。

接近阻止(A2)
アジア・西太平洋戦域で行なわれている軍事作戦に対するアメリカ軍の介入を阻止するための戦略。主として地上基地を基盤とする兵力を対象とする。

領域拒否(AD)
第2列島線以内の海域において、アメリカ軍が自由に作戦を展開することを阻害するための作戦。主として海軍力を基盤とする兵力を対象とする。
南シナ海については、軍事目的もありますが、リゾート開発といったところになると思われます。恐らくここの開発資金を出したのが誰なんですかねwww
そういったのもあり、中国企業24社を輸出管理規則(EAR)に基づくエンティティ・リスト(EL)に追加すると発表しました。


あとこちらの記事を紹介します。
米国務省は別の声明で、南シナ海でのこうした活動に関与した個人、および南シナ海の領有権を主張する東南アジア諸国が海洋資源にアクセスするのを阻むための中国の活動に関与した個人に対し、ビザ(査証)を制限したようですね。

そして、戦略国際問題研究所(CSIS)の南シナ海問題の専門家、グレッグ・ポーリング氏は、今回の制裁対象となった企業に直接大きな影響は出ないと予想とありますので、CSIS的に見てこのコメントというのは、一連の制裁はそれなりに効果があるのかもしれません。

戦区について紹介しておきます。



あと管轄域について紹介します。

青海省と浙江省からミサイルが発射されたことになります。青海省は西部戦区、浙江省は東部戦区となります。そして、北部戦区は元瀋陽軍区で更に拡大した形となっておりますので、人民解放軍がどの程度、中国政府の制御が可能であるかは不明です。「中国軍は国家のためではなく、中国共産党のための軍隊」と言われておりますが、どの程度習近平国家主席が掌握してるかですが、正直なところ何とも言えないですし、一連の動きは統制が取れているというよりは、取れていないと考えるほうが違和感はないですしね。
人民解放軍内のバランスが重要となりますが、一連の制裁の向きなどを考えると、中国政府への援護射撃の可能性も考えられるし、今後はこの辺も重要になってくると思われます。

日英通商協定について


日英両政府が近く新たな通商協定締結で大筋合意する見通しとなった。日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の優遇関税をおおむね踏襲し、英国のEU離脱に伴う日本企業への影響を最小限にとどめる。英国にとっては離脱後に主要国と合意する初の通商協定になり、他国との交渉の加速につながる。

茂木敏充外相とトラス国際貿易相が28日にもテレビ電話で大筋合意し、9月中をメドに署名する。年内に両国の議会で承認して2021年1月1日の発効を目指す。

関連記事は以下となります。時事通信の悪意を感じる見出しですがwww
日英の通商協定は予想通りまとまる見込みとなります。基本的にはEUとのEPAを概ね踏襲するのと、部分的に拡大しており、デジタル関係は、以下の内容も参考になると思います。


「投資・サービス、電子商取引、競争政策の分野などでは、日EU・EPAを超えるハイスタンダードな内容、例えばアルゴリズムの開示要求の禁止に係る規定や消費者保護に係る規定の追加等を盛り込むこと」とありますので、この辺も含まれてると思われます。

ベースとなるEUとのEPAを紹介します。


以下の資料が分かりやすいと思います。


尚、英国からEUへの輸出を想定する場合は、英国とEUとの通商交渉の行方が重要となりますが、これは今のところは見込みは低い状況です。英国の通商交渉については日本とは纏まったので、あとはアメリカとの交渉(恐らく大統領選以降)が重要となります。あとはTPP交渉なども、今後は進んでいくとは思いますが、これは年内は間に合わないことが予想されます。

EUとの交渉は正直めちゃくちゃのようなwww
不法移民問題を取引材料にするなど、正直なところEUに余裕があるかは不明です。そして通商担当する委員が辞任したようですね。
今後のイギリスとの交渉がどうなるのかは不明ではありますが、纏まらない可能性も視野に入れながら、動いたほうがいいかもしれませんね。EUとの交渉が出来るようになるのは、恐らくアメリカとの交渉が纏まった後あたりにはなりそうです。単純な通商協定そのものは現行の踏襲くらいで問題はなさそうですが、それ以外の部分の隔たりは埋まらないような気がするし、そうなると通商協定も難しいというのが現状でしょう。

RECPの件


 日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国による巨大な経済圏の実現を目指す東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合が27日、テレビ会議方式で開かれた。声明では11月の署名を目指す方針を確認し、「大きな進展」があったと強調した。だが、交渉離脱を示唆しているインドは今回も欠席。アジア地域の大国であるインドを除いた15カ国のRCEPでは、中国の存在感が突出しかねない。

 日本からは梶山弘志経済産業相が出席した。関税の撤廃・削減でまだ合意に至っていない分野で進展があったようだ。声明では、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済の回復のためにも、RCEPが重要な役割を果たすと強調。また、「RCEPがインドに対して引き続き開かれている」と表明し、交渉への復帰に向けた働き掛けを続けるとした。

 日本は、インドを含めた16カ国で11月に署名を目指す姿勢を崩していない。だが、対中貿易赤字の拡大を懸念しているインドについて日本政府関係者からは、「妥結時に名を連ねるのは難しいかもしれない」と弱気な声も漏れる。日本はASEAN10カ国と連携を深め、RCEPの主導権を中国と競い合う姿勢だ。
RCEPの件です。インドについては交渉を離脱しており、今回も欠席していることからも、恐らく加盟する可能性は低いように思います。
背景としては以下となります。
上記の記事を見ると、17年のインドの貿易国として、RCEP交渉国が約3割を占めており、交渉国はインドの貿易赤字の65%を占め、特に中国の赤字が全体の4割近くと大きく、RCEPに加盟するとインドの貿易赤字が拡大する可能性が高いです。そういった意味では、インドにとってこれに加わるメリットはないので、交渉から離脱したわけで、インドが再び交渉に加わる可能性は限りなく低いです。メリットがありませんので・・・。

あとはRCEPの問題点は以下となります。

問題点

秘密裏交渉
TPPと同様に交渉過程や内容が非公開であり、リークに頼る以外は市民がRCEPについて知ることができない。

薬価高騰
地球の全人口の約半分(特にサブサハラ地域)がインドや中華人民共和国からの低価格のジェネリック医薬品に頼っている。そして国境なき医師団が結核、マラリアおよびHIVといった病気に対処するために購入する全薬品の66パーセントがジェネリック医薬品である。RCEPの特許・知的財産権条項は、アジア・アフリカの人々のジェネリック医を薬品へのアクセスを遮断しうる。リークされた文書によると、ジェネリック医薬品の流通を抑え、薬価高騰へとつながるような条項を日本と韓国がRCEPに入れようとしているのだという。それはWTO基準をこえて製薬企業に特許の権限を与えるような条項である。

試験データ保護は薬剤に関して言えば特許を超える法的な独占的保護であり、保護期間は政府は特許薬剤と似たようなデータを使う薬剤を認可できず、ジェネリック医薬品の市場への流通が遅れるのである。

インド政府は薬剤特許に規制を設け、薬へのアクセスを維持し製薬会社の収益に干渉することが可能である。だが投資分野ではISDSのような条項が含まれており、製薬会社がそのインド政府を訴えることが可能になる。インドは「発展途上地域の薬局」として知られているが、国境なき医師団によればもしRCEPが合意にいたると、インドはこの地位を失うのだという。
これらを踏まえると、インド抜きで署名するしかないといったのはありますが、「日本はインドを含めた16カ国で11月に署名を目指す姿勢」とありますので、インドの動向等を踏まえて、纏まらない可能性もあるかもしれませんね。