今日はアイヌ訴訟とアイヌ施策推進法についてです。


北海道浦幌町のアイヌ民族の団体「ラポロアイヌネイション」(旧・浦幌アイヌ協会)は17日、河川での経済的なサケ捕獲は先住民族の集団が持つ権利「先住権」だとして、これを禁じた法律や規則が適用されないことの確認を国と道に求めて札幌地裁に提訴した。アイヌが先住権の確認を求める訴訟は初めて。

訴状によると、ラポロアイヌネイションは浦幌十勝川周辺に江戸時代から存在した各コタン(地域集団)の構成員の子孫らの団体。明治政府に禁じられるまで生活のために漁をしていたコタンから、サケ捕獲権を引き継いでいるとしている。

原告は、明治政府が北海道開拓のためにコタンの漁猟権を無視して侵害したと指摘。アイヌが漁猟や伐木をしていた土地を国有地とした正当な理由が明らかにされなければ、コタンや権限を引き継ぐアイヌの集団は、自然資源を利用する権利を現在も持っていると主張している。

一方、国は明治以降の同化政策の結果コタンは「消滅」し、土地権やサケ捕獲権などを持つコタンは存在しないとの立場だ。訴訟では、明治政府によるコタンの土地取得の違法性や、ラポロアイヌネイションがサケ捕獲権を引き継ぐ集団に当たるかどうかなどが争点となりそうだ。

同団体の長根弘喜会長(35)は提訴後の記者会見で「アイヌが元々持っていた権利を取り戻す裁判。自分たちで捕ったサケで生計を立てるという目標のため、頑張りたい」と話した。メンバーの差間啓全さん(53)は「世界的にも先住権が戻ってきている中で、日本は踏み込んだことはしていない。他のアイヌも一緒に闘ってもらえれば」と共闘を呼び掛けた。

サケ捕獲は水産資源保護法や北海道内水面漁業調整規則で禁じられているが、道は2005年に伝統的な儀式や漁法の伝承に限り、知事の許可を得れば捕獲できるよう規則を改正した。

水産庁は「提訴の内容を承知しておらずコメントできない」とした。道も「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
関連記事は以下となります。

前提として、伝統的な儀式や漁法の伝承に限り、知事の許可を得れば捕獲できるよう規則を改正しており、きちんと手続きを踏めば、制度的に問題は生じないはずです。また、国は明治以降の同化政策の結果、コタンは「消滅」し、土地権やサケ捕獲権などを持つコタンは存在しないとの立場を示しており、手続きを踏めば問題ないはずなのに訴訟を行う地点で、この団体そのものが疑問といった点はあります。

ここで重要な点として、19年4月に成立した「アイヌ施策推進法(アイヌ新法)」がポイントとなります。この法案について紹介します。


概要資料です。


・アイヌ施策推進法・アイヌ政策推進交付金の概要


法案は以下となります。


この法案の目的は、あくまで文化や経済、観光の振興。国連の「先住民族の権利に関する宣言」に盛り込まれたということが大きく、あくまで産業や観光、文化を軸とした事業を軸とした業法的位置付けといったのが狙いとなります。

そして、アイヌの人々が長年求めてきた「先住権」は明記されず、生活や教育の支援も含まれておらず、事業について法律として定めたことに大きな意味があります。

表資料は以下となります。

・内閣官房

・北海道

法律の一部を紹介します。
第七条 政府は、アイヌ施策の総合的かつ効果的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 アイヌ施策の意義及び目標に関する事項
 二 政府が実施すべきアイヌ施策に関する基本的な方針
 三 民族共生象徴空間構成施設の管理に関する基本的な事項
 四 第十条第一項に規定するアイヌ施策推進地域計画の同条第九項の認定に関する基本的な事項
 五 前各号に掲げるもののほか、アイヌ施策の推進のために必要な事項

3 内閣総理大臣は、アイヌ政策推進本部が作成した基本方針の案について閣議の決定を求めなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。
5 政府は、情勢の推移により必要が生じたときは、基本方針を変更しなければならない。
6 第三項及び第四項の規定は、基本方針の変更について準用する。

第十条 市町村は、単独で又は共同して、基本方針に基づき(当該市町村を包括する都道府県の知事が都道府県方針を定めているときは、基本方針に基づくとともに、当該都道府県方針を勘案して)、内閣府令で定めるところにより、当該市町村の区域内におけるアイヌ施策を推進するための計画(以下「アイヌ施策推進地域計画」という。)を作成し、内閣総理大臣の認定を申請することができる。

2 アイヌ施策推進地域計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。

 一 アイヌ施策推進地域計画の目標
 二 アイヌ施策の推進に必要な次に掲げる事業に関する事項
  イ アイヌ文化の保存又は継承に資する事業
  ロ アイヌの伝統等に関する理解の促進に資する事業
  ハ 観光の振興その他の産業の振興に資する事業
  ニ 地域内若しくは地域間の交流又は国際交流の促進に資する事業
  ホ その他内閣府令で定める事業
 三 計画期間
 四 その他内閣府令で定める事項
これを見ると、アイヌ政策推進本部が作成した基本方針の案について閣議決定が必要となりますし、あくまで産業や観光、文化を軸とした事業を軸とした協会法といった位置付けで、抜け穴となっていたアイヌ文化振興法を廃止するという目的もあるわけですね。

あと内閣府の資料も紹介します。





この法律の特例措置として、さけの捕獲については、2005年に伝統的な儀式や漁法の伝承に限り、知事の許可を得れば捕獲できるよう規則を改正といった形で定義されておりますので、この法案の特例措置と、北海道の知事の許可が必要というところが、重要なポイントとなります。法律に定められてなければ問題でしたが、法律に定められてる以上は、結構無理筋な訴訟のような気がします。

裏資料?は以下となります。

お察し案件なのは言うまでもありませんし、これらを見て、背後にどのような連中がいるかというのは明白だと思います。

この訴訟については、朝日新聞の記事に市川守弘弁護士とあり、この方は共産党お抱え団体の自由法曹団の弁護士となります。

自由法曹団についてはWikipediaを紹介します。


市川守弘弁護士に関する自由法曹団通信の記事は以下となります。


こういった連中が騒いでるだけですし、きちんと定義を定めつつ、文化や事業にはお金は出すが、人にはお金を出さないというのもアイヌ施策推進法の重要なポイントなわけですが、菅さんは特定界隈で叩かれてましたが、いい仕事したと思っております。